アンティークコインなどをスマホのカメラで真贋を判断するアプリをフラッターでプログラミングする方法(3)
前回の続きとして、アプリの精度や使い勝手を向上させるための追加ポイントや詳細な実装方法を説明します。
V. 実用性向上のための拡張機能
真贋判定の精度を高め、ユーザーにとって便利なアプリとするため、以下の機能を追加します。
1. コインの重さ・サイズの確認
スマホだけでは画像情報しか取得できませんが、次の機能を取り入れると利便性が向上します。
Bluetooth連携: スマートスケールやデジタルノギスをBluetoothで接続し、重さと直径をアプリに自動送信できるようにする。
利用可能なFlutterプラグイン: flutter_blue(Bluetooth接続)、flutter_reactive_ble(BLE通信)
入力ガイド: 重さやサイズを手動で入力する場合、適切な測定手法や参考値をアプリ内で提示。
2. AIモデルの改良
現在の特徴抽出やテンプレートマッチングに加えて、AIモデルに以下の改善を加えることで、信頼性を高めます。
複数視点での比較: ユーザーにコインを異なる角度から撮影させ、画像の3D情報を活用。
例: 数枚の画像から形状や刻印の一貫性を確認。
注意メカニズムの導入: TransformerモデルやAttention層を組み込んで、模様や文字に重点を置いて分析。
3. バイヤーや鑑定士との連携
アプリ単体では限界があるため、プロの意見を参考にできる仕組みを追加します。
オンライン鑑定依頼:
ユーザーが撮影した画像や情報をアプリ内で直接鑑定士に送信。
リアルタイムチャットや鑑定士の評価付き。
信用できる購入先の提案:
信頼性の高い取引先をアプリ内で表示。
取引実績やユーザー評価を参考に。
VI. ユーザー体験(UX)の向上
アプリを使いやすくするための工夫を行います。
1. チュートリアル機能
初回起動時にユーザーに次の内容を案内します。
正しい撮影方法(適切な明るさ、背景、角度)。
重さやサイズを測定する手順。
真贋判定の限界と注意事項。
2. リアルタイムフィードバック
カメラで撮影中に、以下を表示することで撮影精度を高めます。
ガイドライン: コインを中心に収めるためのオーバーレイ枠。
ライティング警告: 十分な明るさがない場合に通知。
3. オフラインモードのサポート
ネット接続がなくても基本的な真贋判定が可能なよう、以下を実装。
モデルを端末内で動作させる。
ローカルデータベースで基本情報を検索。
VII. データの取り扱いと倫理
アンティークコイン市場では個人情報や取引履歴が関わる場合もあるため、以下を徹底します。
1. データセキュリティ
アプリ内で収集したデータや個人情報を保護するために、以下を実施します。
AES暗号化の導入:
データ保存や通信時にAES(Advanced Encryption Standard)アルゴリズムを利用。
セキュリティ性と高速性を兼ね備えた暗号化方法。
AES暗号化の実装例(Dart)
以下はFlutterアプリ内でAES暗号化を行うコードの例です。
import 'package:encrypt/encrypt.dart' as encrypt;
class AESHelper {
static final key = encrypt.Key.fromUtf8('my32lengthsupersecretnooneknows1');
static final iv = encrypt.IV.fromLength(16);
static final encrypter = encrypt.Encrypter(encrypt.AES(key));
static String encryptData(String data) {
return encrypter.encrypt(data, iv: iv).base64;
}
static String decryptData(String encryptedData) {
return encrypter.decrypt64(encryptedData, iv: iv);
}
}
使用方法:
String originalText = "Sensitive User Data";
String encryptedText = AESHelper.encryptData(originalText);
String decryptedText = AESHelper.decryptData(encryptedText);
print('Encrypted: $encryptedText');
print('Decrypted: $decryptedText');
HTTPS通信: サーバーとのデータ送受信時にはHTTPSプロトコルを強制。
2. 利用規約と透明性
鑑定結果があくまで「参考情報」であることを明記。
取引や購入を伴う場合、リスクを説明。
VIII. 実装例:Bluetoothスケールの連携
以下は、デジタルスケールと連携して重さを取得するサンプルコードです。
import 'package:flutter/material.dart';
import 'package:flutter_blue/flutter_blue.dart';
class WeightChecker extends StatefulWidget {
@override
_WeightCheckerState createState() => _WeightCheckerState();
}
class _WeightCheckerState extends State<WeightChecker> {
FlutterBlue flutterBlue = FlutterBlue.instance;
String weight = '0.00';
@override
void initState() {
super.initState();
_scanForDevices();
}
void _scanForDevices() {
flutterBlue.startScan(timeout: Duration(seconds: 4));
flutterBlue.scanResults.listen((results) {
for (ScanResult r in results) {
if (r.device.name.contains("Scale")) {
_connectToDevice(r.device);
}
}
});
}
void _connectToDevice(BluetoothDevice device) async {
await device.connect();
// 偽コード:実際の重さデータの取得に基づく処理を追加
setState(() {
weight = "123.45g"; // 取得したデータを設定
});
}
@override
Widget build(BuildContext context) {
return Scaffold(
appBar: AppBar(title: Text('Weight Checker')),
body: Center(
child: Text('Weight: $weight'),
),
);
}
}
このように、データの暗号化やセキュリティ機能を加えることで、ユーザーの信頼性を高めつつ、アプリの実用性を向上させることができます。