【意外と身近!?】得体の知れない税務調査をカンタン解説
はじめに
こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。
こちらの動画では「税務調査という言葉は聞いたことはあるけど、自分に関係があるのかよく分からない」、という方に向けて、サクッと概要を解説しています。
今回は、この続編ということで、税務調査についてもう少し掘り下げていきます。
具体的には、
・税務調査とはどういうものなのか
・税務調査は拒否できるのか
・税務調査が来たら逮捕されるのか
という、知っているようで知らない疑問について解説していきます。
税務調査の種類
実は税務調査には種類があります。
今回は2種類+αをそれぞれ説明していきます。
任意調査
どんなスモールビジネスであっても税務調査を受ける可能性があります。
で、そのほとんどは任意調査と呼ばれる税務調査です。
ここで一点注意があります。
「任意」調査ではありますが、税務調査自体を拒否することはできません。
なぜなら、税務調査官は質問検査権という権利があるからです。
これによって、納税者は質問に対して回答したり、関係書類等を提示・提出したりしなければいけません。
もし回答を拒んだり、虚偽の回答をしたりすると罰則の対象になります。
罰則は一年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
任意調査の「任意」というのは、税務調査官が帳簿や書類を確認するときに、納税者の同意が必要になる、という意味です。
任意調査の流れは冒頭の動画で説明していますので参考にしていただければと。
ここではポイントだけお伝えすると、通常の任意調査の流れは
①事前通知
②実地調査
③事後対応
④終了手続
です。
つまり、皆さんがもっとも受ける可能性が高い任意調査は、一般的には事前に税務署から連絡があります。
ですので、突然税務調査官が訪ねてくるということは基本的にはありません。
ただし、事前通知をすると調査に支障があると税務調査官が判断する場合は、無予告調査もあります。
無予告調査は突然来ますが、都合が悪ければその場で受ける義務はありません。
税務調査を不利にスタートしないための準備も必要なので、後日に日程調整をするのが無難といえます。
以上が任意調査の概要ですが、もう一度ポイントのおさらいです。
・任意調査であっても税務調査自体は拒否できない
・任意調査では帳簿や書類等の確認をするときは納税者の同意が必要
・通常は事前通知がある(稀に無予告調査もある)
税務調査と聞くと、令状を持った強面の人が自宅や事務所に来て、中を漁られるようなイメージを持つかもしれませんが、そうではないことです。
強制調査
続いて税務調査の2種類目です。
皆さんが「税務調査」と聞いて思い浮かべるイメージはこちらのほうが多いのではないかと思います。
それこそ、テレビやネットのニュースでみるような、裁判所の令状を持った調査官が突然来て、家の中で証拠物件を物色して、段ボールに詰めて持ち帰るのが強制調査です。
強制調査は多額の脱税が見込まれ、悪質性や証拠隠滅の可能性が高いときに行われます。
最近の例だと、パパ活の詐欺罪で問われている頂き女子りりちゃんが名古屋国税局から強制調査を受け、告発されましたね。
ちまみに、任意調査では、申告書に間違いがあると税務調査官の指導に沿って修正申告書を提出して終了になるのが一般的です。
(納得いかなければ再調査や国税不服審判所での審議を経ることになります)
対して、強制調査は告発され、起訴され、裁判を受けます。
任意調査のほうが件数は多いとはいえ、絶対強制調査が来ないとも言い切れません。
それだけ悪質なことをしていれば対象になる可能性はあります。
(補足)行政指導
ここからは税務調査とは異なる形での税務署からの接触形態ですが、件数としては多く身近なものなので解説していきます。
それが行政指導と呼ばれるものです。
税務調査のように税務調査官に質問や検査をする権利はありません。
あくまでも税務署が「間違っているのではないか」とか、「この計算の根拠が欲しいな」と考える場合に、納税者に任意で追加の資料の提出を求めます。
例としてよくあるのは、消費税の還付申告書を提出したあとに、電話で計算の根拠資料を求められるケースです。
仕入税額控除が過大になっていないか、などをチェックするために、支払った消費税の集計表を提出することがあります。
で、この行政指導は法律に基づく「調査」ではないので、断ることもできます。
が、これも断り続けると怪しまれるので、結果的に税務調査に発展してしまう可能性があります。
なので、行政指導であっても適切に対応するようにしましょう。
おわりに
ということで、今回は税務調査の中身や実態について解説してきました。
この中でも税務署からの接触頻度としての可能性が高いのは、任意調査と行政指導です。
つまり、いきなり逮捕されたり、その場で罰金を払ったりする、といった交通違反の取締りのようなことはありません。
ただ、任意調査であれ行政指導であれ、全員が毎年対象になるわけではないので、得体の知れないものであることは確かです。
今回の記事を読んでいただき、怖がり過ぎず、慌て過ぎないように対応していただければと思います。
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