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【知らないと負担増加】もらうインボイスの保存が要る・要らない判定
インボイスはもらう側(買手)が大変
こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。
インボイス制度は、事業者がインボイスと呼ばれる適格請求書を発行する制度です。
で、発行する側(売手)ともらう側(買手)のどちらのほうが事務負担が増加するかというと、もらう側(買手)になります。
なぜなら、もらう側(買手)は、業種、事業規模、経理能力が異なる発行する側(売手)から、インボイスを入手する必要があるからです。
その入手したインボイスが税法に当てはまっているかどうかをいちいち確認しなければいけないので、もらう側(買手)はとても面倒な作業を強いられることになります。
なので、できればもらう側(買手)としてのインボイスチェックは避けたいところです。
この点で、意外にもらうインボイスをチェックしなくて済むケースが結構あります。
Xでも紹介したのですが、図にするとこのようになります。
インボイス制度で事務負担が激変するのが、仕入れ(自社がお金を払う側)のインボイスの保存や確認がいるか・いらないかの問題。
— 島田征樹|税理士 (@mshimada_tax) October 12, 2023
こうやってみると、中小零細企業ではいらないケースが多々あります。
無駄な労力を使わないように、自社や該当取引がどれに当てはまるか事前に確認しておきましょう。 pic.twitter.com/DbUbisl1lx
このnote記事では、いま紹介したフローチャートを、用語の解説をしながらもう少し詳しく深掘りしていきます。
インボイスの保存が不要になるケース
簡易課税or2割特例
簡易課税と2割特例は、売上規模が比較的小さな中小零細企業が、事務負担をかけずに消費税の計算をするために用意されている計算方法です。
特に2割特例は、インボイス制度開始にともなって導入された計算方法になります。
これらの制度は、もらう側(買手)のインボイスは一切消費税の計算には必要ないので、消費税のためにわざわざ確認したり保存したりする必要はありません。
いっぽうで、適用対象者は限られていて、簡易課税は2期前の年間課税売上が5,000万円以下、2割特例は2期前の年間課税売上が1,000万円以下の場合に適用を受けることができます。
詳しい計算については別記事で紹介していますので、こちらをご覧ください。
交付義務免除取引
簡易課税や2割特例を選択しない場合は、原則としてもらう側(買手)はインボイスを保存する必要があるのですが、そもそもインボイスが発行されない取引があります。
代表的な例で言うと、公共交通機関に支払う税込価額が3万円未満の運賃や、自動販売機(ATMも含みます)に支払う税込価額が3万円未満の代金がこれに当てはまります。
こういった支払いって、そもそもインボイス制度が始める前から領収書ってもらえないですよね。
なので、インボイス制度開始後もインボイスの発行義務が免除されています。
会社の経費で役員や従業員がこれらの支払いをしたとしても、インボイス自体もらえないので、帳簿への記載だけでOKということになります。
ただし、対象になる公共交通機関とは、船舶、バス、鉄道のみであることに注意です。
飛行機やタクシーは交付義務が免除される公共交通機関には含まれていませんので、インボイスの保存が必要になります。
少額特例
簡易課税または2割特例の選択をしておらず、かつ、公共交通機関といった交付義務免除取引に該当しない場合であっても、インボイスの保存を省略できるルールがあります。
それが少額特例です。
少額特例は、インボイスの保存がなくても、払った消費税を納税額から差し引くことができる特例です。
この特例は一回の取引が税込1万円未満かどうかで判定し、未満であれば適用されます。
以下の別記事では図解を用いて制度説明していますので、詳しく知りたい方はあわせて読んでいただければと思います。
一点注意点を挙げるとすると、この少額特例が適用できる事業者も、要件を満たした小規模事業者に限られている、ということです。
この要件を満たし、かつ、1取引あたり税込1万円未満であれば、それに係るインボイスは保存しなくてもよいということになります。
まとめ
ご覧いただいてわかるとおり、インボイス制度には、中小零細企業であればインボイスを保存しなくてもよいとするルールがたくさん用意されてはいます。
ただし、たとえば簡易課税や2割特例を選んで事務負担を減らすより、これらを選択せずに事務負担を負いながら納税額を減らす選択肢もあります。
この論点に関してはこちらの別記事で解説しています。
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