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2枚目の名刺(パラレルキャリア)のはじめかた


とても、久しぶりに「2枚目の名刺」について書いてみました。

本業”以外”の取組によって、自分の人生を豊かにし、ときにスキルを高め、大切な無形資産(お金に換算できない資産)を手に入れることもできる、キャリアという観点でも重要度・注目度が上がっている「2枚目の名刺」

2枚目の名刺に関して、多いのが「どうやって始めたらいいんですか?」というご質問です。

そんな疑問にお答えするために、この記事では特に「はじめかた」の部分に注目してお伝えします。


1.はじめに

ここ2年くらい、以前ほど「公務員×2枚目の名刺」について発信しなくなりました。

私にとって2枚目の名刺、つまりは、本業とは別の何かに取り組むということは、人生を変えるキッカケとなったとてもとても大切な概念です。

ただ、2年前に国家資格をとってキャリアコンサルタントとして活動しはじめてからは、ひとのキャリア全般において伝えたいメッセージであったり、当事者として公務員のキャリアについて語ることが多くなったりした一方で、「2枚目の名刺、おススメですよ!」という発信の優先順位はなかなか高まりませんでした。


でも、2枚目の名刺を持つことって、改めてとても素敵なことであることは変わりません。

「べき」とまでは思わないけれど、今何かに悩んでいて、暮らしの中の何かを変えた方がいいかもしれないと思っているひとたちの中には、きっと2枚目の名刺がひとつのヒントになるケースがあります。

それに、とてもありがたいことに、今でも私に「2枚目の名刺って、どうやって始めたらいいんですか?」と訊ねてくれるひともいます。

だから、改めてキャリアコンサルタントとして、

「2枚目の名刺って、どうやって始めたらいいんですか?」

という質問に答えるような記事をお届けします。


2.島田にとってのはじめての2枚目の名刺

私がはじめて2枚目の名刺を手にしたのは、2015年3月でした。当時、同じ地方公務員の仲間と、公務員のキャリアについて考えたり、学んだりする場をつくる任意団体を立ち上げました。

そのときに手にしたのが、私にとって最初の2枚目の名刺。

では、なんで私がそんな任意団体をつくることになったのか。

それは私自身がキャリアについてモヤモヤを感じていたことがキッカケでした。

私は、化学技師としてさいたま市役所に入職しました。ですが、環境対策課での自動車公害対策担当を振り出しに、自動車使用量削減(モビリティマネジメント)や電気自動車等エコカーの普及、スマートシティ等エネルギー政策、果ては国の特区制度の申請の主担当になるなど、環境政策の中でも企画色の強い仕事ばかりを担当していました。

他の化学技師の同世代や先輩たちが、大気汚染の環境監視や検査などで経験を重ね、化学技師らしいキャリアを歩んでいく様子を横目に、私は自分の歩む道がそれらの道から徐々に徐々に逸れていくのを感じていたのです。

そして、それが極まったのが、内閣府/内閣官房への派遣研修でした。

化学技師では前例がなく、一般的には事務屋さんが経験するような内閣府/内閣官房への派遣研修。私の中にはいよいよ「人事は、私にどういうキャリアを歩んでほしいと思っているんだろう?」という疑問が抑えきれなくなりました。

そんな私が選んだのが、自分でキャリアについて勉強することと、自分以外の公務員も近しいモヤモヤを感じているらしいということから、そんなひとたちと語り合ったり学び合ったりする場をつくること。

そうして、私は最初の2枚目の名刺を手にすることになりました。


3.自分のアンテナの感度を信じる

「2枚目の名刺を持つような活動をしたいけど、どうやって始めたらいいんですか?」

いよいよ、この問いに答えていきたいと思います。

とはいえ、「どうやって」というのはその疑問を口にする人によって、具体的な疑問点が異なっていたりします。なので、この記事では、「どうやって見つけるか」「どうやって時間を工面するか」の2点に絞って書いてみます。

まずは「どうやって見つけるか」

つまりは「2枚目の名刺を持つような活動をしたいけれど、どんなことをやったらいいんだろう?」という疑問です。

結論は「自分で見つける」

では、どうやって自分で見つけるのか。

それが「自分のアンテナの感度を信じる」ということ。

2枚目の名刺は本業とは別に、時間や心のリソースを投入して取り組むことです。そのため、できれば誰かに強制されることよりも、自分がやりたいこと、自分にとって意味を感じられることを選ぶのがおススメです。

本業以外の時間に、わざわざ苦行に耐える必要はありません。

じゃあ、自分がやりたいこと、自分が意味を感じられることって何でしょうか? それが意外と分かるようで、分からないんですよね。それが分かっていれば、恐らくは「どうやって見つけたらいいか?」といった疑問は抱きません。子どもの貧困が自分のテーマだと自覚できたら、そういう活動をしている団体を探したり、必要だと思う取組を自分で立ち上げるはずです。

何かやりたい。でも、何がやりたいのか分からない。

そんな時は、自分の心の反応に耳を澄ましてみることをおススメします。テレビで流れるニュース、書籍や雑誌で読んだある場面、SNSでの知人の投稿、日常における自分自身の経験。

そういったことの中で、自分の心が昂ったり、憤ったり、喜んだり、小さくても心が反応する情報があるはずです。私の場合は、それが「公務員のキャリア」でした。

あるひとは大量製造大量廃棄される洋服に心傷めるかもしれませんし、また別のひとは街なかのバリアフリーが気になってしょうがないかもしれません。ジェンダーについて問題意識を持つひともいれば、海外にルーツを持つ世帯の子育てが気になるひともいるでしょう。

日々接する情報の中で、自分のアンテナの微かな反応を見逃さず、その情報のどこに自分の心が反応したのか。それを感じ取ることから、2枚目の名刺で何をやったらいいのかを考えるヒントが得られるはずです。


4.「1週間=168時間」は平等な資源

では、何かやりたいことが見つかったとして、それに取り組む時間はどうやって確保するのか。

それを考えるにあたって大切なのが、「1週間=168時間」は誰にとっても平等な資源であるということです。

時間がない人はいません。

168時間の中から2枚目の名刺に使える時間を捻出できないだけです。

では、どうして捻出できないのか。

それは他の何かに「先に」時間を取られてしまっているからです。

そんな状況でどうにかして2枚目の名刺のための時間を確保する方法は2つです。一つは、何に時間を取られているのか把握すること。もう一つは、優先順位を設定し、できれば2枚目の名刺のための時間を天引きすること。

何に時間を取られているか把握するためにおススメなのが、時間家計簿をつけることです。

時間家計簿(サンプル)

時間家計簿は、どう過ごすかのための時間割ではありません。家計簿なので、実際の時間の使い方を記録します。

15分単位くらいでいいので、毎日、その日に起きてから寝るまで、何をしていたのかを記録してください。そうすると、ところどころ「何をしていたのか分からない時間」が見つかります。実際には、ダラダラと休憩していたり、スマホを見ていたりといった時間なのかもしれません。

そういった「使途不明時間」は2枚目の名刺のための「財源」になります。また、洗い出してみて「こんなに長く時間をかける必要はないな」「思っていたより時間をかけちゃってるな」と思ったものは、優先順位や時間のかけ方を見直してみてはいかがでしょうか。

きっと2枚目の名刺のための時間も、自分の手で創り出すことができるはずです。


5.誰のためでもなく

2枚目の名刺のことを話すと「島田さんが取り組むモチベーションはどこから来るんですか?」と訊かれることがあります。「どうやって始めたらいいんですか?」の次くらいによく訊かれます。

私は「皆さんが、動画を観たり、ゲームをしたり、マンガを読んだりするのは、楽しくてするんですよね。私にとって2枚目の名刺は、それと同じです」と答えます。

ゲームで夜更かしするひとに「どうしてそんなにゲームができるんですか?」とは訊かないのに、2枚目の名刺だと訊かれる。

そこには、どんなに説明を尽しても、どこかで「2枚目の名刺って、いいこと。意識高いこと。社会のためにやること」という価値観が貼り付いているのを感じます。

でも、せっかく自分の時間、つまりは限られた命を費やして取り組むのであれば、最後は自分のためだと感じられることが大切だと、私は思います。それが結果的に、誰かの役に立てば素敵ですが、「誰かの役に立たないことなんてやっても仕方がない」わけではありません。

ましてや、誰かのために取り組んでいるという想いが屈折して「こんなにいいことをしているのに!」と周囲に漏らしたり、ネガティブな気持ちを抱えるようになってしまっては本末転倒ですよね。

2枚目の名刺は自分のために。
自分のためだから言い訳も押し売りもしない。
自分のためだから他人のせいにもしない。

そんな二枚目な姿勢で2枚目の名刺を持つ仲間が増えたら嬉しいです☆



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