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合言葉は「雷雨決行」【しまさんの読むラジオ】


あなたは船を手で漕いで出ています。

いま、雷雨です。

でも船はとっくに港を漕ぎ出して、
港は遥か彼方です。

さあどうしますか?


あくまで比喩ですが、僕にとって、人生とは、戦争か、雷雨のようなものだと感じています。(常にそうかといえばそうでもないのですが、少ないときでも50%の割合は。)

偶然にも、先日8月20日まで参加していたミュージカルを作るプログラムの公演本番までの心境が近かったので、そのときに書いた感想とともにこの話を書こうと思います。

何が失望か絶望か

世界は雷雨のような日々だ、と思う中で、「そうであっても、こう生きろ」と言ってくれる歌があります。

公演の前日、東京に向かう電車の中で聞こえてきた歌でもありました。

ザ・クロマニヨンズの「雷雨決行」がその曲です。

言いそびれたことがあるけど
かき消されていく風の中

何が失望か絶望か
やり残したことなどないぜ

ザ・クロマニヨンズ「雷雨決行」より、改行は筆者追記

気が付いたら、もう目前に迫った本番。

いろんなことを考え、感じ、話す。

でももはやそうなってくると「何が失望か絶望か」なんて考えてられない。

だから、最後の最後「やり残したことは?ないにきまってるだろ?」っていう状態になったんですよね。


今回参加したミュージカルで、僕は「歌が好き」と思って参加したという話を以前にしました。

歌うことくらいは最高に楽しんでる。
だから、ここは最高に楽しもう。
(中略)
ミュージカルを作る過程での大変さは、仲間がいれば何とか行けそう。「昨日の悲しみも、明日への不安も全てしまって」、完成するその時をめがけて、「夢見て笑っていようよ」。

悩みも葛藤もあるから、「生きてるってことが何より素晴らしいってわかる気がするから、朝まで笑っていようよ。」

こんなことまで書いていたんだな、と今見返して思いましたが、考えてみれば見返してもいなかったですね…

でもものすごくダンスしていたので、その大変さもあって、「なぜこんなにもやるのか?」と疑念も沸いていたくらい。向き合ってはいましたが、結構しんどかったです。楽しさもあるけども。

とにかく出口が欲しかった、そして掴んだ


真夜中何度も何回も
暗闇の中を手探りで
ドアノブを求めつまずいた
とにかく出口が欲しかった

ザ・クロマニヨンズ「雷雨決行」より

いろんなことが不安で、ドキドキで。

正解なんてないので、文字通り暗闇の中を手探りで探すように、でも自分を信じてみるしかない。

踊っている姿を見るたびに、ここがよくない、ここ決まってないなどなど、続出する不満。


とにかく、出口が、ほしかった。


オレが知らないオマエがいて
オマエが知らないオレがいて
笑えないくらいかじかんで
同じドアノブを掴んでた

ザ・クロマニヨンズ「雷雨決行」より

そんな中、出口のドアノブを掴んだのは、本当に本当に本当に直前でした。


配役(出るシーンやその出るシーンでの役割)は演出を含めた「コアスタッフ」と呼ばれる人たちが決めるのですが、その人たちからのメッセージを読んだ時でした。

初公演前に、リハーサル室でみんな集まって、お互いをたたえ合う気合い入れをした。

「100日前に書いた、自分に宛てた手紙」と「コアスタッフからのメッセージ」を読んだのと、演出の「心配してないから、存分にやってきて!」と言われたことで、僕がダンスに向き合う答えが出たと思いました。

特に、コアスタッフのメッセージから書かれた「打破」の2文字。 誰が選んだのか分からないですが、この100日間を見事に言い表して、コアスタッフからの思いはこうなのかな?と思っていたものが正しかった、と思えたことがいちばんグッときました。

公演直後に綴った感想の一部です

そう、コアスタッフはわかっていたのです。

打破」する機会を提供してるんだよって。(え?)

たしかに「得意ではない」と明記した記憶はありました。

だからなのかはわからないけども、でもこの「打破」の文字を提示されたことによって、「ああ、ここまでの努力は、そういう期待から、それに応えようとしてきたんだ。あってたんだ」と感じたのです。

そのときに何かをつかんだ気がしたし、実際それが公演で花開いた気がするのです。

最後の最後は「雷雨決行」

それが、この曲の、サビのたびに繰り返されるこのフレーズに入っていたのです。

合言葉は雷雨決行

嵐に船を出す
引き返すわけにゃいかないぜ
夢がオレたちを見張ってる

ザ・クロマニヨンズ「雷雨決行」より、改行は筆者追記

「合言葉は雷雨決行」

どんな気持ちであっても、どんな状況であっても、もっといえば日々戦場、日々雷雨のような中であっても、愚直に向き合い、懸命にファイティングポーズを取り続ける。


時間は早いし、もう目の前の本番に向けてできることは少ない。

何もできない、逆転も難しい。でもその雷雨の中でも「決行」して戦いに出ることだけはできる。


「雷雨だろうと決行」「嵐に船を出す」


それは時間がないから船を出すんじゃない。


もう漕ぎ出でたら、岸には帰れない。否、帰るわけにはいかない。どんな時代であろうと、歯を食いしばって、夢に向かって走り続ける。


今やめていいのか?そんなもんでいいのか?


いややめるわけないだろ?なんとしても決めるんだ。


この勝負、負けるわけにはいかない。


そんな思いを、ちょうど1週間前(8月18日)、携えていました。


僕は、今回のミュージカルを通じて、苦手であろうと向き合う、愚直に戦い続けること、の大切さを改めて学んだ気がします。最後の最後に、初めて「打破」の2文字を提示したコアスタッフにも感謝です。ありがとう。


この感覚で本番を迎えた人が居るのかわからないけど、このくらいの心境の人はいたはずだよなあと思い、筆を(パソコンを)執りました。


楽しいことだらけではない。雷雨の中でも決行するような心境で、そこでも見つける楽しさ、向き合う気持ちがあって、それがステージで弾ける。


そのたくさんの人間模様が見えるから、「多様性」という言葉も「ただ種類が多い」ではない、別の領域が見える気がします。その装置がすごいな、と思いました。


そんなミュージカルプログラム、次の会も決まっていて、2月の公演を目指して稽古が始まるプログラムは参加者を募集しています。

僕みたいなnoteの書き手を見て参加しよう、という奇特な方は少ないかもしれませんが、ぜひ興味あれば。僕自身も9月9日の体験会に参加します。

▼「A COMMONBEAT」100人100日ミュージカルプログラム

今日は「個人として、苦しい中でも乗り切る」話をしたので、次は「でもこういう仲間たちがいて、楽しく乗り切ったのよ」という話でも書こうかしら。

▼ミュージカルプログラム関係のnote


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嶋田尚教(しまさん)
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