俳優デビューと楽曲提供の増加
第1章 『平凡』以前、以後。のドレスコーズ
俳優デビューと楽曲提供の増加
『オーディション』以降、志磨のパーソナルな部分以上に作品自体が評価されていることは、同時期からのタイアップや楽曲提供の急増を見ても明らかである。
作品としての提供はもちろん、早稲田大学での講義(2015年11月6日早稲田祭での講義ショー)や、様々な著名アーティストのトークショーの対談相手に抜擢されるなど、志磨の作家としての実力だけでなく、長年の音楽制作や研究によって蓄積された知識や、観察眼への評価や注目も高まっているのだ。
また、志磨の長年の研究が楽曲の変化として反映されはじめたのも、『オーディション』以降である。志磨が書く楽曲は、美しいメロディを持つという特徴は保ったまま、今までのどの曲にも似ていない曲、聴いたことのない曲、新たな歌詞のパターンがいくつも増えたことも、研究成果としてあらわれはじめた。
自分が歌うために曲を書いてきた志磨が、楽曲提供として誰かの作品のために作詞・作曲をする。そして『オーディション』以降、はじめて俳優として映画やドラマに出演したこと、映画のために作品を書き下ろしたこと( 『GANTZ:O』 “人間ビデオ” )のように、誰かの作品の一部となる経験は、志磨のそれまでのキャリアではなかったことである。
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