4/6(土)面会 もう、こういうのわからなくなっちゃったんだ
コロナで面会が出来なかった誕生日。
夫は43歳になった。
面会が再開されたので子供ふたりを連れて会いに行った
車椅子に乗せられて看護師さんに連れられて来た夫は、長男の顔を見るとぱっと笑顔になり、そしてすぐ泣きそうな表情をして両手で目をおおうしぐさをした。
看護師さんが、そっと、「気持ちが抑えられなくなるようでしたら、声をかけてくださいね」と言った。
はじめは意味がわからなかったけれど、夫の感情が高まって大きな声を出したりするのでは、と思ったのだと、わかった。
本来、面会は2人までなので、子供含めた4人の面会は出来ないのだが、子供が小さいからという理由で看護師さんのご配慮で面会室を借りて、行われた。
顔の皺が増えている。どんどん老けているみたい。
瞳の色素も薄くなった気がする。
手首より下しか動かない右手は、白っぽく、おじいちゃんの手のようだった。
長男が喜んで、持ってきたドラゴンのおもちゃの説明をする。夫は喜んでうんうんと聞いている。
娘は、Kちゃんと同じクラスになったんだよ。明日はTの家に遊びに行くんだよ。KとT、わかる?と私が言うと、「わかるよ。懐かしいなあ。」と言った。
(わかるんだ。)
娘が、持ってきたかいけつゾロリの絵本を見せると、「かいけつゾロリかあ」と言った。
(文字、読めるんだ)
本にある迷路をやってみて、と夫にいう娘。
「もう、こういうのわからなくなっちゃったんだ。」
絶望でも怒りでもなく、少し寂しそうな表情で夫は言った。
夫は、ぜんぶわかって、受け入れているんだな。
記憶力もあいまいだけど、自分の置かれている状況を理解しているんだな。
理学療法士によると、車椅子は片手で動かせる人はいるし、夫も可能なはずだが、高次機能障害のため、車椅子を思うように動かせられないということだった。
夫は、自分の力で移動する能力を失ったのだった。
なんという人生だろう。
それを1番近くで見続ける私の人生も、なんという人生か。
悲しみで胸がいっぱいなった。
転院先を探していることを夫に伝えた。
スマホは?と夫が聞くので、看護師さんに止められた、と説明した。
夫は諦めたような表情で、うん、と言った。
先日渡したラジオはどう?と聞くと、
「うーん、だめだ、わかんない」と言った。操作ができないのかもしれない。
ジャンプは、よくわからないけどいい時間潰しになったそう。
◯差し入れ
からあげ棒
アメリカンドッグ
コーラ
サイダー
揚げ塩せんべい
ポテトチップ
トッポ
ブルボンラングドシャ
こんどは、高次機能障害のトレーニングになるようなものを用意しようかなと思った。