スタディ通信 23年3月号
なんかこないだ歩いてたら、梅が咲いてました。ちょっと前が元日だったような気がするのですが、なんか歳を重ねるごとに時間の流れは早くなる気がします。まぁ、実際そうなんでしょう。
スタディのふりかえり
昨夜は回心に伴う諸感情を足がかりに、回心の重要概念である「受動性」の話をしました。
「受動性」というと、何もせずに寝ているみたいな貧しいイメージを持たれがちなような気がしているのですが、ジェイムズの言う受動性はそういったものではありません。
そうではなく、積極的に受動性を求めていくという非常に高度なことを語っています。ここは、林研先生の『救済のプラグマティズム』が簡潔に本質を解説してくれています。
12ステップにおける「霊的体験・目覚め」の本質を見事に叙述している文章です。
しかし、昨夜も言いましたが、これって「体験しないとわからない」ものなのですよね。どれだけ言葉を尽くしても、言葉だけでは理解できなくて、この受動性における素晴らしさというのは体験しないとわからないのです。
これがわからないから、アル中は自分の力や努力だけを頼るという積極性にしがみつくのですが。
神の導きに導かれるというのは、自分で自分の人生を決定し道を切り開くような雄々しさとは、やはりどこか質的に違ったものでしょう。
そういった積極性をひたすら追い続けたのがビル.Wなのですが、彼はアルコールへの敗北を経て、自分の人生を自分で決定し切り開いていくという信念を捨てていったわけですね。
それはビッグブックにも書かれていますし、彼の人生そのものが証ししています。
ここらへんがどうも伝わりにくいのがもどかしいところですが、まぁ、そういうものなのです。なにかの食べ物の味は、それを食べないとわからないのと同じですね。
しかし、昨夜はこの2年数ヶ月の中で一番リラックスしてスタディの進行ができました。受動性の理解が深まっていくと、なんか楽になっていくのは事実のようです。
参考文献
シレジウス (1992)『シレジウス瞑想詩集』植田重雄・加藤智見 訳 岩波文庫
林研 (2021) 『救済のプラグマティズム』 春秋社
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