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大学紛争の時代、ツイテナイ悩める高校生の薫クンを描いた、爽やか青春小説


【7日間ブックカバーチャレンジ 2日目】
『赤頭巾ちゃん気をつけて』


第61回の芥川賞(1969年上半期)を受賞した、庄司薫の青春小説です。大学紛争の影響で東大入試が中止になった時代を背景に、
「女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか」
と、悩める高校生の日常を捕らえて、軽やかな文体で描き出しています。芥川賞の選考時には三島由紀夫からの評価が高く、単行本の帯にも三島氏が「若さは一つの困惑なのだ」という一文を寄せています。

今の時代にも通じる、青春時代の真理とは

薫クン小説シリーズや著者エッセイで表現された「どうでもいいことからは、逃げて逃げて逃げまくれ」「ギャッと叫んで跳び上がりたくなる気持ち」といった軽妙なフレーズや、ストーリー中にある青年期の繊細で複雑な心理描写が、当時の「ナウでヤングなフィーリング(?)」を持つ若者たちに受けて、『赤頭巾ちゃん気をつけて』(160万部)『さよなら快傑黒頭巾』『白鳥の歌なんか聞こえない』と続く、大ヒットシリーズになりました。現在でもKindle版が、「四半世紀を経てのあとがき」を追加して刊行中です。

また『赤頭巾ちゃん気をつけて』は東宝で映画化もされ(監督は守谷司郎『日本沈没』『八甲田山』)、この時に主役の薫クンを演じたのは、現・東映グループ会長の岡田裕介氏でした。ちょっとぎこちなさげな演技ぶりが物語の中の薫クンにピッタリと、後に見た時に感じたことを覚えています。

当時のエッセイの中で「ピアニストの中村紘子さんみたいな人と結婚して…」と、将来の生き方についての夢を語っていた庄司氏ですが、本当に中村紘子さんとその後ご結婚なさったのにはビックリしましたね。

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