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知床リベンジ!/知床ネイチャーツーリズム EP 5 野生のラッコに会いに行く

北海道に旅行するなら1番やりたいことをやろう…それはシマフクロウと出逢うこと。昨年初めて訪れた知床の2日間の夜だけではシマフクロウとは出逢えなかった。ただ森の奥から聞こえる彼等の鳴き声は神聖すぎた。だから今年、2024年いまふたたび知床へ飛んだ。

40〜50代の人は誰しも知っているテレビ番組「ムツゴロウと愉快な仲間たち」その舞台、ムツゴロウ動物王国は浜中にあった。どんべえと暮らした嶮暮帰島もこの浜中にある。そして、同じく浜中にあるのが霧多布湿原と霧多布岬である。霧多布岬は標高40〜60メートルのテーブル型をした断崖絶壁の岬で太平洋の荒波に突き出た絶景の岬だ。霧多布という名の通り濃霧に包まれることが多く、3日に一度くらいしか晴れないらしい。散策路が整備されているので海岸沿いまで行き、多くの奇岩を見る事ができる。岬には草原が広がり花が咲くだけでなく、鳥類をはじめとした多様な生物が生息している。

絵葉書のような景色がある

今回ここを訪れたのはなにもムツゴロウ動物王国の郷愁に浸るわけではない。実は野生のラッコが観察出来るのだ。一度は消えたラッコだったが、2016年頃から霧多布岬で目撃され始め2024年現在、14頭のラッコがいるという(諸説あり)いまや国内飼育個体が3頭にも関わらずこの霧多布にはラッコが生息する。本来であれば人間がぞろぞろと見に行けば途端に繁殖をやめて消えてしまうのが野生動物というもの。さらに音に敏感なラッコにおいてなおさらだ。しかしこの霧多布岬は断崖絶壁のため人間たちはごく自然な流れで、その断崖の上からしか観察出来ない環境になっている。さらに3日に1回しか晴れないという環境でもあることから、国内では珍しく素晴らしいネイチャーツーリズム的環境が整っているのである。

そこでラッコである。岬にいたとして果たしてラッコとわかるだろうか…?と漠然とした不安のまま現地に向かう。稀有であった。岬からラッコ生息地とされる湾を覗くとすぐ見つかった。大分遠かったが紛れもなくラッコだ。普通の人よりは野生動物に関心のある僕だから見つけやすいというのはあるだろうが、笑っちゃうくらい目視で判別出来た。しかしである、着いた時にはすでに岬は霧に包まれはじめ撮影しても解像は悪い。親子のラッコも観察出来たがやはりこちらも同じ状況。それでも必死に撮影をして4日目を終えた。

こんな感じに見えたらラッコだ

翌、最終日はこの旅で初めての快晴に恵まれた。これはラッコ撮影しないわけにはいかん。今回レンタルしたOMシステムの超超望遠レンズは150-600㎜(35㎜換算300-1200)2倍テレコンを使えば換算2400㎜となる。ラッコを撮るために借りたレンズを使わないわけにいかない。

換算1200㎜テレコンなら2400㎜

晴れたとはいえ2400㎜にするとF13になってしまう。つまりISOは上げざるを得ないため画質は悪化方向に向かう。解像しないためにAFも苦しくなっていく。手ブレ補正は強力だが上手い落とし所を探らねばならない。

いままで手ぶれ補正を実感したことはなかったが2400㎜ともなると如実にブレるのでその効果のほどがよくわかる。シャッターを半押しにすれば酔うほどにブレブレだったものがピタっと止まり被写体を追うことが出来る。こんなにすごいのかと感嘆した。追尾AFを使っても今いち追いかけてもらえないので、半押しにしてブレを止めた上でラッコを追い、良きところで再度ピントをし直して連射するという風に撮影してみた。帰宅後撮影を確認してみるとそれでもブレてしまい、連射始めの1〜2枚が撮れていた。撮れていたと言ってもラッコ自体は明後日の方向を向いていたり、親しか目線がなかったりと撮れ高は少ない。現状はこれが精一杯のようだ。

しかし、晴れると海が綺麗で気持ちが良い。ラッコより水面に目が行くくらい美しい水面である。2度目の撮影では3時間くらい撮り続け、1頭/親子/1頭/1頭とのべ5頭目撃したが1頭の個体が同一個体かは確証が得られなかった。

撮影直後はもう充分撮った感があったが、帰宅後現像してみるともっとこう撮りたかった、ああ撮りたいと欲が出てくる。動物の撮影は終わりの見えぬものである。

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