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二人のアムラン デュオコンサート

9月10日にアクロス福岡シンフォニーホールで行われた、「二人のアムラン デュオコンサート」。マルク=アンドレ・アムランとシャルル・リシャール=アムランという、巨匠と中堅どころのピアニストが共演するとのことで、貴重な機会となりました。

モーツァルトの2台のピアノのためのソナタはシャルル氏の柔らかな歌いまわしをマルク氏が支えるというもので、聴いていてとても心地よいもの。続くショパンの2台のピアノためのロンド、ショパンの憂いに満ちた曲をシャルル氏が叙情的に描き、マルク氏が時々ジャブを入れながら合いの手を打つという感じでした。前半はシャルル氏の美点が良く生きていたと思います。

後半はシャルル氏によるショパンの華麗なる円舞曲から。やはりこの人のショパンは派手さは無いものの、時々憂いを帯びていながら何か内に秘めた情熱のようなものを感じさせるショパンの音楽をとらえているように思いました。C.P.Eバッハのロンドはマルク氏。ここからはマルク氏の本領発揮で、決して目立たないこの曲を明晰かつ独特な演奏で、十分引き付けられるものでした。

後半の2台による作品はメトネルの2台のピアノのための2つの作品から。ブラームスを思わせる重層的かつ歌にあふれた作品で、ここからはシャルル氏の熱演をマルク氏が余裕で打ち返すという、ある意味丁々発止のデュオの醍醐味。そしてグレインジャーによる、ガーシュウィンの歌劇「ポーギーとべス」幻想曲。美しいメロディとジャズ風味な味わいをシャルル氏の熱演、それをリードするマルク氏という、大変楽しめる内容でした。
アンコールは二曲。マルク氏自作のタンゴとシャミアードのシンバルのステップでした。

今回のコンサートは予想以上に丁々発止で、特に後半はそれぞれの個性がでましたが、特にマルク氏の明晰かつ雄弁な演奏の加減が素晴らしく、その点でシャルル氏が胸を借りる展開と感じました。それが自然と入ってくる演奏会、会場も盛り上がりました。

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