JR北海道の経営を立て直す(7)鉄道の不動産開発とはこうやる
前回、鉄道の経営者は不動産開発の経験が必要だ。JR北海道の経営者はそれが無い。今日経新聞の「私の履歴書」東急の野本会長は経験豊富で、東急のトップになった。と書きました。(写真は二子玉川の開発ビル群)
それでは鉄道の不動産開発とは何でしょうか?主要駅に「駅ビル」を建てて乗降客に利用してもらうことでしょうか?それもあります。
しかし鉄道の不動産開発は都市開発です。住宅を作り、オフィスを作り、鉄道の利用を促進する。そして集散する鉄道利用者に飲食、物販、サービスを提供する。その過程で、街全体の印象や品質がアップする。
総合的な事業です。無から有を生じる必要があります。
私の履歴書3月19日は二子玉川の都市開発が書いてあります
以下は履歴書の抜粋です
田園都市線の二子玉川駅は東急グループにとって重要な場所である。1980年代から駅周辺の再開発が検討されてきた.
二子玉川は都心部のようなオフィスの集積が進んでおらず働く場所として認知度が低いことが難点だった。オフィスが主体の第2期計画の工事は当面先送りすることになっていた。オフィス誘致のため1000通ほどアンケートを送ったが、関心があると返ってきたのは十数社程度。社内にあきらめムードもあった。「第1期計画のオフィスだって埋まってないじゃないか。何年か待つべきじゃないか?」。
こういう中で野本社長は、10年に当社を含む6社を発起人とする「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」を立ち上げます。このように方針を明確にして、最後は楽天グループの本社誘致に成功します。単なる「箱もの」つくりでなく、この場所がどう使われるのかを明確にすることがキーでした。15年には第2期計画の工事を順調に終え、二子玉川ライズがグランドオープンを迎えた。
二子玉計画は1980年から構想があり、2005年から本格着工、15年に完成しました。構想から35年、工事でも10年の長期的に一貫した計画が必要です。
(単純に札幌駅に一棟の駅ビルを作ればよいのではないでしょう)
筆者は東京で森ビルの開発も観てきました。最近では「麻布台ヒルズ」で有名ですが、最初はARK(アーク)ヒルズでした。地上げから何十年も根気よく都市開発は進みます。出来上がった時の見事さの裏には、一貫した構想やこの土地は将来このようになる、という見通しが重要です。
既にある鉄路を定時運行する事業とは全く感覚が違うのです。
鉄道の不動産事業は都市開発です。
北海道には「ニセコ・倶知安」「北広島ボールパーク」「千歳ラピダス」というビッグプロジェクトがあります。これらは鉄道の沿線で進んでいますがJR北海道の姿は見えません。
(駅はある、ニセコ、倶知安、北広島、千歳、南千歳など、ただそれだけ)
報道ではJR北海道が考えてるのは札幌駅の再開発だけのようです。それも新幹線の延伸が主体で都市開発ではないです。
本当に残念なことです。