2024.6.30|渡邊雄太の負傷が判明…!ロスターはどうなる?
渡邊雄太が負傷を公表
6月29日、渡邊雄太が男子日本代表のメディアデーならびに自身のSNSで6月上旬に負傷し、先週悪化させたことを明かした。
https://x.com/wacchi1013/status/1806980454043832729
ふくらはぎの肉離れとのことで全治8週間。
7月5日と7日に有明アリーナで行われる韓国戦(SoftBank CUP2024)はもちろん、パリ五輪に間に合うかどうかも微妙なところだ。
渡邊雄太は誰もが認める日本の中心選手。NBAで6年間プレーしたキャリアはもちろん、日本代表においてもその影響力は非常に高い。
復帰に関する考察
渡邊雄太の負傷は一部メディア報道では「8週間」となっているが、8週間の肉離れ(しかも回復途中で悪化させている)はどのくらいで回復するのか。
少し調べてみたところ、競技も受傷部位も違うが、Jリーグ・川崎フロンターレのマルシーニョが2023年3月26日の公式戦で左ハムストリングを肉離れし、全治8週間程度と診断された情報がヒットした。このときのマルシーニョは2023年5月3日の公式戦で復帰(途中出場)しており、この間5週間程度。筆者もこの経緯を見て一瞬期待を抱いたのだが、マルシーニョはわずか2週間後の5月18日のトレーニングで再び同じ部位を負傷し、全治3ヶ月となってしまう(実際には8月6日に復帰)。
今回の渡邊雄太のケースでは、本人もSNSで「かなりギリギリ」と綴っているように、本当に難しい状況にあるといえる。前出のマルシーニョも川崎フロンターレでは主力のひとりだが、絶対に代えのきかない選手ではないだろうし、長いリーグ戦のなかで様子を見ながら起用したにもかかわらず、再び負傷してしまった。
渡邊雄太は日本代表でも中心のなかの中心であり、精神的支柱でもありプレーでも代えのきかない選手といっていい。2023年のワールドカップでは1試合平均35分の出場(チーム1位)14.8得点(同2位)、6.2リバウンド(同2位)、1.8ブロック(同1位)と、攻守両面において相手チームの脅威であり続けた。
渡邊雄太の五輪に賭ける並々ならぬ思いは東京五輪やワールドカップでの様子から我々でも想像することはできるし、ギリギリの状態で強行出場することもあり得るだろう。ただ、ここで負傷を悪化させては(NBAに戻るのではなくBリーグでプレーするとはいえ)彼の来シーズン以降の選手キャリアにも影響しかねない。シーズンの試合数やプレー強度こそNBAの方が高いが、毎週末連戦があり、水曜ゲームも加わるBリーグは肉体的に相当な負担がかかるのは間違いなく、負傷をさらに繰り返す可能性すらあるからだ。筆者の個人的な意見ではあるが、NBAで日本人プレイヤーの歴史を変えた渡邊雄太のプレーを少しでも長く日本のファンや子どもたちに見せてほしいという気持ちもある。
※参考 肉離れはクセになる!?肉離れの対処から競技復帰までのリハビリテーション|佐久平整形外科クリニック
渡邊を欠いた場合のロスターにおけるポイント
日本代表チーム、スタッフとしては渡邊雄太の負傷は当然ながら当初から知っていたはずだし、"プランB"も考えているだろう。我々ファンも渡邊雄太抜きのロスターを覚悟しなければいけないかもしれない。
もし渡邊雄太を欠いて12人のロスターを組まなければいけない場合、筆者は以下がポイントと考える。
1.サイズアップの必要性
渡邊雄太は前述のように2023年のワールドカップで6.2リバウンド(チーム2位)、1.8ブロック(同1位)と、高さの面でもチームを支えていた。少しでも渡邊雄太の高さを補い、リバウンドの獲得、ゴール前での高さを維持するためにはビッグマンのロスター追加が必要になるのではないか。
筆者はインサイドはホーキンソンと八村、吉井(4番でカウント)に加えて、川真田あるいは渡邉飛勇のどちらかの計4名が選出されると考えていた。ただし、リバウンドを考えると川真田・渡邉飛勇が両方とも選出されることも考えられるし、3Pシュートもある井上が選出される可能性もありそうだ。いずれにしても枠がひとつ増える可能性は高まるだろう。3番ポジションとしてもプレーし、オーストラリア戦では9分間の出場ながら4リバウンドを獲得したジェイコブスも非常に有力な候補だ。場合によってはテーブスと佐々木が最後の枠を争うガードに関しても、高さが改めて優先されるかもしれない。
2.シュート力の補強は必要か
こちらも冒頭で記載したが、渡邊雄太はワールドカップではチーム2位の14.8得点をマークしており、大きな得点源でもある。フィールドゴール(3Pシュートと2Pシュートの合計)のシュート試投数はチームトップの平均12.6本にものぼる。渡邊雄太負傷の報を聴いたとき、オーストラリア戦を前に(6月20日)ウイング4人をカットした選択は時期尚早だったのではないか一瞬考えたが、その時期には渡邊雄太の負傷は判明していたはずなので(悪化は考慮されていなかったかもしれないが…)、敢えて高さを優先したのは間違いないだろう。
本来は渡邊雄太&八村のコンビがオフェンスの中心となることを期待していたが、ここは八村にカバーしてもらう(というより1.5人分以上の活躍)しかない。河村とのコンビネーションに期待しよう。
3.精神的な支柱は?
NBAにおける6年のキャリア、2度のワールドカップと東京五輪への出場と、渡邊雄太の経験値はずば抜けている。これまでの日本代表では間違いなく先頭に立ってチームを引っ張っていた渡邊雄太の役割を担うのはやはり富樫しかいないだろう。プレータイムは河村に譲る場面も増えているが、安定したプレーでセカンドガードとしての役割を全うし、ベンチからチームメイトを鼓舞している。さらには渡邊雄太と同じくワールドカップ2大会と東京五輪に出場し、海外でのプレー経験も豊富な馬場にチームを牽引してもらいたい。
おわりに
彼の日本代表に対する気持ちを考えると、もしロスター12名から外れることがあったとしても、チームに帯同したいと申し出る可能性は高いのではないか。オリンピックはバスケットボールだけの大会ではないため、そうした対応が柔軟に行えるのかどうかは分からないが…。