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2024.7.27|パリ五輪 ドイツ戦 寸評|男子日本代表

今回はパリ五輪 ドイツ戦における雑感と出場12選手の寸評です。


1.パリ五輪 ドイツ戦 雑感

ドイツ 97 ‐ 77 日本

昨年のW杯では前半53-31と大きく引き離されたがドイツを相手に今回は52-44と大善戦。後半もオフェンスの手を緩めないドイツに最終的には97失点を喫したものの、八村の奮闘もあり得点は77まで伸ばした。

強化試合でも課題に挙げさせてもらった「オフェンスの組み立て」、「速攻」、「ピック&ロール(ポップ)に対するディフェンス」を引き続き意識して振り返ってみたい。

①オフェンスの組み立て

今月20日に行われた強化試合ドイツ戦で30%(12/40)だった3Pシュートはが今日の試合では35%と向上したものの、成功数と試投数は12/34とドイツの厳しいディフェンスを前に試投数自体が減少してしまったのは課題といえる。

特に河村がベンチに退いている時間帯はペイントタッチの機会がなくなり、3PはおろかFG自体確率の高いオフェンスができなくなってしまった。河村が替えの効かない選手であることはもちろんだが、大きなズレでなくともオンボールスクリーンとボールムーブでオープンショットをクリエイトできるようにしたいところ。

八村が日本でも稀有な「独りで違いを作り出せる」選手であることは間違いないが、河村が不在だとどうしても彼のアイソレーションに頼る傾向がでてきてしまう。八村を起点にするにしても、周りの選手がアングルを作ったり、オフボールスクリーンで八村をより活かす形を作っていかないと「八村の引力」の効力が最大限発揮されない。(よく決めてくれたが)ドイツからすればフェイダウェイジャンパーに持ち込ませれば決められても2点で済み、崩されていないのでシュートが落ちればまずリバウンドは獲得できるため、『八村に20ポイントを奪われる(ただし3Pとアシストは最小限)』というのはドイツにとって計算通りなのではないだろうか。

②速攻

強化試合のドイツ戦、セルビア戦で日本が大きく引き離された要因になったのは速攻からの失点が非常に多かったこと。今日は速攻からの失点が僅か4(前半2)と、大きな課題だった点が修正できていた。

セルビア戦ではオフェンスリバウンドを取りにいった(結果取れない)ことが失点に直結したが、今日はオフェンスリバウンド争いがチームとしてできていたし、リバウンドに絡まない選手の戻りとマークマンのピックアップも非常に良かった。速攻を防ぐファウルをしっかり使えていたというのも大きいだろう。

③ピック&ロール(ポップ)に対するディフェンス

こちらも強化試合のドイツ戦、セルビア戦で日本がかなりやられてしまったシチュエーション。今日のゲームでもシュールダーに破られたシーンはあったが、比江島とホーキンソンのコンビで3Pを落とさせてリバウンドから速攻につなげたシーンなどは素晴らしいディフェンスを見せた。ホーキンソンのドロップ(途中まで下がりながらハンドラーとビッグマンを守る)と比江島のチェイス(ハンドラーを後ろから追いかけてシュートさせない)とポップしたビッグマンへのコンテストは非常に良かったと思う。

また、アウトサイドに出たビッグマン(ボンガやタイス)を捨てるという選択は悪くはなかったが、彼らに決められてしまったのはかなり痛かった(シチュエーション問わず3Pシュート全体は二人で計4本(4/5))。

この試合ではブリッツ(浅い位置でのダブルチームによる強襲ディフェンス)はあったものの、ドイツのプライマリーハンドラーがシュールダーだったためかピック&ロールに対するヘッジ(ハードショウ)はほぼ見られなかった。やはり河村や富樫といったアンダーサイズのガードでヘッジをするとスイッチが起こってミスマッチが発生する可能性が高いからだろうが、後半は吉井をシュールダーに付けていたため、スイッチやむなしでもう少し仕掛けてもよかったのではないかと感じた。

2.出場12選手レビュー

正確な個人スタッツを取得できなかったため、今回は特にプレーの印象を中心に記載。

#2 富樫 勇樹(PG)

14:23 5Pts FG:40%(2/5) 3P:50%(1/2) 2Ast 1TO EFF:4

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