頼まれごとは試されごと
これ講演家の中村文昭さんという方の言葉なんですが、僕が大学生の時にある方から、この言葉と中村文昭さんという方を教えてもらいました。
その方とは今でもたまに会います。
なんというか、すごい自然体な方です。
『頼まれごとは試されごと』とは?
まぁお願いされるって、正直、面倒な事もあると思うんです。
ただ頼まれごとをされた時に、試されていると思って、あっと驚かせるようなぐらいのパフォーマンスを返してあげよう。ってな感じです。
ざっくりしてますが、Youtubeで中村文昭さんの講演を見ていただければ、一発でわかります。
1を求められたら1+αで返してやろう。
あっと驚かせてやろう。
そんな感じです。
前置きが長くなりましたが、大学時代、板前屋さんでバイトをしていたのですが、そこで【頼まれごとは試されごと】を実践した結果について、今日は書こうと思います。
エピソード1【はじめてのおつかい】
板前屋さんでは、ドリンクに製氷機の氷を使っていなかったため、隣のドンキホーテに行って、氷を買って厨房にある大きい冷凍庫にストックしていました。
大体、閉店が近づきお店が落ち着いてきたあたりに、店長から『ファン、明日の分の氷を買ってきてくれ。』と1万円を渡されました。
そうです。初めてのおつかいです。
バイト中に買い出しを頼まれるってなんだか、ちょっとだけ信頼されたような気がして、少しだけハッピーになった事を覚えています。
僕が聞きました。
『どれだけ買ってきますか?』
店長が言いました。
『冷凍庫大きいから買えるだけよろしく!』
(買えるだけ?いいの?本当にいいの?オッケ。俺試されてるね。)
1万円をポッケに入れて、お店の隣に会ったドンキに向かいました。
ドンキについて店員さんに言いました。
『返すのでカート2台借りる事できますか?』
店員さん。
『大丈夫ですよー。』
カート2台、上下にカゴをセットして、カゴ4つ分、ロックアイス40袋を買って、お店に戻りました。
拍手喝采。
自分がスーパースターになった気がしました。
おそらく店長のイメージでは行ってもロックアイス10袋とか、そんな感じだったのでしょう。
今まで、他のベテランパートさんにお願いしても5袋が限界だったそうです。
そこから常におつかいを任せれるようになって、なんか嬉しかったです。
いい意味で求められた事に対して、予想を裏切る事が出来ました。
エピソード2『スプーンで待ち伏せ』
基本的に鮨屋さんでは、ホールもやっていましたが、ドリンクと皿洗い、グラス洗いが自分でいうのもなんですが、めちゃくちゃ早くて丁寧なので、裏方にいました。
基本、カウンターは常連さんで、埋まっています。
バイトをして慣れてきた頃、店長はお通しで美味しい豆腐を人数分出す事に気がつきました。
ただ板前はスッキリさせたいのか、豆腐用のお皿とスプーンは、店長がいつも厨房にきて、自分から取っていくか、僕に『ファン〜。お皿とスプーン○名分くださいー。』って言って、僕が準備をする感じでした。
僕がどちらかというと、飲食のバイトが好きだったので、常に何か、こう、かっこよく、スマートに働きたい!と思っていました。
そこである日、店長を驚かせてやろうと思い、出勤したと同時に予約票を確認し、カウンターに座る人達の人数分の豆腐用のお皿とスプーンを、前もって準備しました。
そしてお店がオープンし、カウンターが常連さん達で埋まりました。
いよいよ、来るはず。店長必殺のお通しの豆腐。
そう思うや否や、
『ファン〜。豆腐用のっ』
俺氏
『どうぞ。お皿とスプーンです。』
究極の先回り。
こればかりは本当に気持ちが良かったです。
店長の目がハートになってましたから。
店長
『や、やるなぁ…』
クールヅラしていましたが、余裕で鼻の下を伸ばしながら、心の中でガッツポーズをしていました。
バイトなのでいい働きをしたからって時給以上にお金を手に入れる事は出来ませんが、その代わり僕は信頼を手に入れました。
それからバイトが足りなくなった時は、『ファンの友達に誰かいないか?ファンの紹介なら絶対にいい子で仕事出来ると思うから。』って言ってもらえたり、緊急事態でバイトがいない時は、シフトが入っていない僕に『ヘルプ!!!』って電話をしてくれるようにもなりました。
もちろんボランティアじゃないので、お金を稼ぐためにバイトをしていたのですが、お金以上に、自分が必要とされる事に対しての喜びとか、たかがバイトでしたが、自分にしか出来ない事はなんだろう。とか、自分の価値とか色を出す事の楽しさに気がつく事が出来ました。
まだまだ無限に話せるエピソードがありますが、キリがないので今日はこれぐらいにしておきます。