「またね」はまた会いたいという意味ではない。
私はよく男の人に誘われる。
この状況をグチにすると、嫌みにしか取られないことにも困っている。
とにかく、誰からも声をかけられたくない。たとえどんなイケメンであろうと。
そんな私にとって「またね」という言葉は、本気の断り文句であるのに、どうしてもわかってくれない相手がいる。
それは、演劇部の後輩、黒崎歩だ。
黒崎君は、照明や音響をしたくて演劇部に入ってきた。他にも演出や脚本専門の部員もいるのだからおかしなことではない。しかし、黒崎君ほどの容姿があれば、普通は役者を選