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短編小説集『空の飛び方』

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短編集
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#純愛小説

 僕は、君に送る言葉を探している。なぜなら最近、君が冷たくなったから。  目覚めてすぐに、スマホの通知をみた。  まだ、夜は明けていない。暗闇の中にスマホの画面が浮かび上がる。通知がないものを開いたところで、届いているはずはなかった。  ベッドに入ったのは0時を少し回った頃だった。それから、目覚めるのは三度目。僕は毎夜、こんなことを繰り返している。  待っているのは、付き合ってひと月になる彼女からの返信だった。  本当なら、電話をかけて声を聞きたいくらいだが、僕は彼女の電話

「またね」はまた会いたいという意味ではない。

 私はよく男の人に誘われる。  この状況をグチにすると、嫌みにしか取られないことにも困っている。  とにかく、誰からも声をかけられたくない。たとえどんなイケメンであろうと。  そんな私にとって「またね」という言葉は、本気の断り文句であるのに、どうしてもわかってくれない相手がいる。  それは、演劇部の後輩、黒崎歩だ。  黒崎君は、照明や音響をしたくて演劇部に入ってきた。他にも演出や脚本専門の部員もいるのだからおかしなことではない。しかし、黒崎君ほどの容姿があれば、普通は役者を選