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短編小説集『空の飛び方』

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短編集
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1995年1月17日早朝

5時46分00秒  胸騒ぎがして、目が覚めた。  辺りはまだ暗い。室内とはいえ、朝の空気は冷え切っていた。隣で眠る幼い息子の寝息以外は何も聞こえなかった。  子供の体温は高い。  布団の中で手を伸ばして、そっと引き寄せる。背中にうっすら汗をかいている。手のひらに、息子の心拍と呼吸のリズムが伝わってくる。  小学生になってから、急に成長した気がした。痩せているけれど、肩も背中もしっかりしてきた。  突然、爆音がした。何が起こったのかがわからず心臓が早鐘をうつ。  確かに、体が