柔道に望んだこと

こんにちは、シキです。最近急激に寒くなりましたね。風邪には十分ご注意ください。

さて、今回は久しぶりに柔道の話です。先日、全日本柔道連盟から出されいた「柔道のこれからを考えるアンケート」に回答しました。思いつきで回答してしまったので、ここでアンケート項目をなぞりながら、詳しくお話しようかなと思います。よかったら読んでいってください。下記にアンケートのURLを貼りますので、柔道を知ってる方、知らない方、経験者、未経験者問わず回答をいただけますと幸いです。↓

なお、アンケート回答後に以下記事を読んでいただいた方がいいかと思われます。選択に影響を与える可能性があります。

誘導の意図はございませんので、そちらご理解いただいた上で読んでいただけましたら幸いです。

1.柔道への関わりとイメージ

では、まず序盤の項目ですね。年齢、性別の入力後に、現在の柔道への関わりという項目が出てきます。私は大学柔道を引退したものの、部活にはちょこちょこ顔を出してるので、愛好者に分類されますね(おそらく)。

次の柔道へのイメージの項目は、選択式です。一通り見た感じ、まぁ柔道が持たれがちなイメージが並んでいます。競技者からの観点から感じられる項目もありますね。私は、何を選んだか実はあんまり覚えてません(笑)確実に選択したのは「仲の良い」です。柔道は狭い世界で、段階が上がれば上がるほど知り合いが増えていきます。もともと人口の多い競技ではないので、練習試合や合宿で一緒になって、学校の垣根を超えて交流することが多々あるのです。私も違う学校の柔道仲間がたくさんいます。まぁこの辺は界隈の身内意見ですね。というか、どの競技でもレベルが上がっていくほどに知り合いだらけになるのは同じだと思います。柔道は少し顕著かなとは思いますが。

イメージの次は、柔道をするにあたった良い点とつらい点です。これも順当な選択肢だなと思います。個人的な良い点は、やはり友達が増えることかな、と思います。柔道には、錬成会という合宿形式が存在します。2~3日かけて行う総当たり式の練習試合ですね。1日の練習試合スケジュールが組まれており、時間と各校同士の同意があれば、申し合わせによる再戦も可能です。有名な大きい練成会がいくつかあり、私もその中の1つに参加していました。この錬成会では、人数が少ない学校同士が組んで合同チームを結成するケースがけっこうあります。私もそっち側の人間でした。

一緒に食事をしたり、同じ部屋で生活したり。会話も、柔道に関することだけではなく、勉強や趣味の話、なんでもしていました。また、県内・県外問わない混成チームができるので、全く知らない土地の話を聞けることも新鮮でした。学校が違っても、同じチームになれば団結力が生まれます。最終日には、お互いの勝ちを喜び、負けを悔しがる仲間になれています。そして次に公式戦の会場で会うときにも、お互いをリスペクトしながら、全力で戦うことができるのです。この時にできた仲間は、私の一生の宝物です。

つらい点は、いっぱいあるので3つにまとめるのは難しいな、なんてひどいことを考えていました。趣味で柔道を続けられる環境は、そう多くありません。そもそも大人向けの道場が少ないですから。私がいた道場は、基本中学生まででしたが、大人の初心者の方や、柔道環境を求めていらっしゃった高校生・大学生・社会人の方もちらほら通っていたように思います。ただ、指導がマメなわけではなかった(中学生以上は、基本自由稽古)ので、大人の初心者の方の無茶苦茶な技で怪我をした中学生もいました。私もそれで太もも肉離れしたことがあります。町道場とはいえ、やはりきちんと指導できる人や環境が揃っている必要があるなと思います。

現役選手、特に女子選手にとって鬼門なのは減量・増量です。私も中学時代減量をしていましたが、生理期間と被ったときには死を覚悟していました。通常の減量でも後半は落ちないのに、中盤から落ちなくなってメンタルは崩壊。後半に入る頃には気力という気力がなくなります。こういう経験から、基本的にナチュラルな体重で試合に出ることがいいと思っています。でも、勝負に勝とうと思うと、やはり階級選びは重要視されてしまいます。これも戦略ですからね。無理のない範囲での体重調整を行ってほしいところです。

怪我のリスクは、それはもう高いです。様々な怪我がありますが、頭を打ったり首の骨を折ったり、身の危険を感じるような怪我もあったりします。私は道着に足の指が巻き込まれて折れるというヘンテコな怪我をしたことがあります。病院に行くか迷ってる間に治りました。

暴力的なイメージですが、この辺は改善されてきてるんじゃないかなと思います。ただ、もしこれからお子様に柔道をさせたいと思っている方がいれば、道場選びは慎重になられることをおすすめします。過剰な勝利至上主義、体罰のはびこる道場、この辺に当たったら確実にトラウマです。ソースは私()

私が当たった体罰道場は少し特殊で、「お前らみたいな弱い奴らを試合に出しても意味ない。試合には出さない」と私たち全否定が基本スタンスでした。勝たせたいとかそういうのもなかったです。勝ってほしいから、という気持ちは微塵も感じられませんでした。ただ、道場内でも普通に強い選手は何人かいました。特に私の前後の代は大会に出れば入賞するレベルの子が何人もいました。たまに別の先生の口添えで試合に出ては、みんなでなんとか勝ちを拾ってきても、次の稽古のときには1時間の説教(稽古時間は全部で1時間半)。こんなことばっかりだったので、「試合に出ても、失うものも得られるものもない」という思想が身に付いてしまいました。ましにはなったものの、今でも試合は好きではありません。大学でも、強制されたもの以外試合には出ていません。

勉強や仕事との両立が難しい点は、否定しにくいなぁと思います。そもそも、柔道の世界は勉学が軽んじられているように思います。本当はそうではないかもしれないですが、私はそう感じていました。日本のスポーツ界全体の傾向でもあるかもしれないですね。私は、両親がアスリート系の人たちだったのですが、「勉強は本当に大事。スポーツは何が起こるかわからない。勉強もした方がいい」と柔道と勉強の両立を熱心に勧めていました。今となっては大正解だと思います。ただ、本当にしんどかったです(笑)部活やって、家帰ったら19時。ご飯食べて、風呂入って、ちょっとゆっくりして、21時から23時まで勉強。テスト期間の部活休みであればそこから少しだけ筋トレをして寝る。テスト前の詰め込みが体質に合わなかったので、恒常的に勉強していました。しんどかったです。

ちなみに、テスト期間もトレーニングしてました。だいぶのんびりしていましたが。マスクをつけて音楽5、6曲分くらい走ったら、坂道ダッシュ5本。これだけですね。マスクトレーニングは中学生の頃からやってました。母に「顔の肉が取れるよ」と吹き込まれて意気込んでました(笑)

閑話休題。高校卒業後の進路は、私の体感だと、6割柔道で進学、2割柔道関係なく進学、2割専門学校だと思います。あと、看護系に進む人が多いように感じますね。理学療法士とか。自分が大きな怪我をした人は特にその傾向が強かったと思います。

前述した怪我のしやすさも仕事との両立を妨げる原因だと思います。私も膝の靭帯を切ってる間、バイトではかなりご迷惑をおかけしました。受け身ができればたいていの怪我は防げますが、それでも怪我してしまうときはします。難しいところですね。

2.柔道界の話と、私のルーツ

柔道への印象の話が終わり、次はもっと具体的な話になります。好きな柔道家は?という質問ですが、これはもう決まったいます。48㎏以下級の角田夏実選手と、78㎏以下級の濱田尚里選手です。具体的にどこが好きと聞かれると困るのですが、見ていてワクワクする試合をしてくれるのは、このお二方だと感じています。あとで気づいたのですが、お二人とも寝技のスペシャリストなんですよね。私は寝技が苦手なので、憧れみたいなのがあるのかもしれないです。

話が少し逸れますが、高校時代、先生に「立ち技はセンスが必要だけど、寝技はセンスがいらない。やった分だけできるようになるから初心者でも強くなれる」と教えられていました。なので、うちの学校は寝技にかなり時間をかけていました。初心者の多い学校ではありましたが、合宿で寝技をやればそこそこの確率で勝ちを獲ってきていたので、先生の言葉は本当なんだなと思いました。高校時代に、A4用紙1枚分ぎっしり書かれた寝技一覧をすべてマスターすることを命じられ、全員で四苦八苦しながら反復練習していたのが懐かしいです。立ち技が重視されがちな今なので、もし伸び悩んでいる方がいれば、寝技に力を入れてみるのもいいかもしれません。

さてさて。次は経験年数。私は今年で18年目になるので、10年以上の項目にチェック。4歳から畳の上でゴロゴロしていました。始めたきっかけは、親が柔道好きだったからです。今まで柔道を続けてる人間の中では割と少数派なきっかけなのではないかなと思います。家には『YAWARA!』と『柔道部物語』が全巻揃っていて、幼き私はセリフを覚える程読み込んでいました。両親は柔道経験者ではなく、私が柔道を始めたのちに母が柔道を始めました。現在は有段者です。これは、環境さえ整っていれば何歳からでも始められることの証明だと思います。この事実が、どなたかの励みになればいいなと思います。

ここから、今後も柔道を続けるか、という質問へと続く。この答えはもちろん「はい」です。けれど競技者として生きるつもりはないし、愛好者として穏やかに柔道をしていくつもりです。

今後も続ける理由の選択肢を一通り見たのですが、「当てはまるものがほとんどないな…?」と思って、その他の欄を利用しました。柔道を続けたいと思うことに細かい理由など何もなくて、ただ「柔道が好きだから」。これに尽きます。

ではなぜ好きなのか?と尋ねられても、上手に回答できる自信はありません。とても明るく透明性のある世界とは言いづらいし、閉鎖された環境であるがゆえに変化しにくい。痛いし臭いし怖いし、なかなか人に勧めようとは思わないです。それでも、私は柔道が好きです。この世界に育ててもらって、人生が変わるほど嫌なことも経験したけれど、それ以上に美しいものを見せてもらいました。何度畳に倒れても立ち上がる人たち、痛みと戦いながらも高みを目指す人たち、自分と戦い続ける人たち。柔道を通じて出会ってきた人たち全員、私の生きざまを変えてくれた素敵な方たちです。そんな人たちと出会わせてくれた柔道が私は大好きだし、洗練された技を目の当たりにしたとき、感動を超えた何かに巡り合えます。だから、ずっとこの競技を愛していきたいのです。試合嫌いで選手としては落ちこぼれですが、柔道家である事実は、ずっと変わらないと思っています。

3.柔道界に期待すること

途中の事務的な質問に関しては飛ばします。で、最後の自由欄。柔道界に期待することですが、けっこう長々書いてしまったので記憶が消失しました(笑)

忘れた中でただ一つ思うのは、「子どもたちが続けたいと思える環境作りをしてほしい」ということです。私は小学生時代、指導者に恵まれず、仲間全員とどん底のような柔道生活を送りました。中学で別の道場に移らなければ、きっと柔道を辞めていたと思います。移った先で、尊敬できる大好きな先輩、後輩に出会うことができました。続ければ光を得られる可能性が高い。けれどそれは結果論であって、「今」続けたいと思える環境がなければ、なんの意味もないのです。

後輩が竹刀で殴られて泣いている姿を、今でも覚えています。忘れたことなんてありません。きっと一生忘れないです。私は親にも叩かれていたので別に痛くてもいいけど、どうして一生懸命やっている後輩を殴って、詰って、追い詰めなければならなかったのか。痛みによる教育をその場しのぎでしかありません。殴られた方は、叩かれた方は、一生忘れないです。あのときの痛みがあったから頑張れた、という人だっていると思います。それを否定するつもりはありません。ただ、繰り返しになりますが、それは結果論なのです。もっと違う指導方法があったかもしれないし、その方が強くなれたかもしれない。同じ結果論であるならば、暴力的な痛みが伴わない方が、双方のためだと思います。願わくば、この世から体罰すべてが消えて、柔道を始めた子がずっと笑って努力できる世界になりますように。

あとは勉強の面ですね。柔道界に限らず、スポーツ選手はセカンドキャリアを見据えて学びを続けていく必要があります。そりゃ競技と勉強を両立して続けるなんてめちゃくちゃしんどいです。私はなんとかやりきったものの、「柔道と勉強は両立できるよ」と説いても、「それはあなたが特別だからでしょ?」と言われてしまう始末。そう返されたとき、とても腹が立ちました。私は天才でもなんでもないです。毎朝電車の中でうとうとしながら小テストの勉強をして、授業も眠いながらノートを取って、テスト前は部屋に引きこもって勉強をしていました。どんなことでもコツコツ続けないと、それが柔道に対する姿勢として現れてしまう、と感じていました。2つの努力を続けていくことが才能だなんて言われてしまったら、私がやってきたことを否定されたような気分になります。柔道を通じて、「当たり前」のことを当たり前にやる大切さを身に染みて学んだからこそ、頑張れていたのですから。

まぁ勉強を頑張るかは個人の自由ではありますから。そこはいいと思います。ただ、朝比奈選手のように、勉強も柔道もハイレベルな環境で努力している人を理解できないような世界ではいてほしくないです。勉強も柔道も、思うままに努力し続けたっていいと思うし、それはとても尊敬できることだと思います。全員で「応援しよう!」という風潮になれば、同じくハイレベルな両立をする人も増えると思います。それはきっと、柔道界のレベルアップにもつながるでしょう。

5.最後に

ここまで長々書きましたけど、あんまり中身のないこと書いてる気がします。感情論になってしまってる部分もありますし。ただ、こういう視点や考えもあるんだな、というのを知ってもらえればうれしいです。

私は社会人になったら、子どもたちと柔道をできたらいいなと思っています。毎回の稽古に参加するのは難しくても、「柔道は楽しいし面白いよ」ということを伝えていければいいなと思います。

これから、柔道界がもっと面白くて明るくて素敵な世界になっていくことを祈っています。いつかきっと、私が苦しかった過去が報われる日がくると信じています。「柔道は最高の競技だから一緒にやらない?」と人に勧められるような競技であってくれれば、とても幸せなことです。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。柔道を好きな方・そうではない方にも、読んでいただけたのであれば幸いです。

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