ピボットテーブルで見えた真実
営業部の美咲は、毎月恒例の売上報告書の作成に追われていた。
膨大な取引データをもとに、「担当者別」の売上をまとめなければならない。
手動で集計するのは苦行そのもの。作業は深夜にまで及び、残業続きの日々が続いていた。
そんなある日、営業部の先輩、鈴木一郎がふと声をかけた。
「美咲、それ手動でやってるの?ピボットテーブル使ってみたら?」
鈴木はいつもキザな態度で、美咲のことを親しげに名前で呼んでくる。そのなれなれしさに、美咲は少し苦手意識を抱いていた。
「ピボットテーブル?名前は聞いたことありますけど、正直何をするものかよく分からなくて…」
鈴木は美咲のデスクに近づき、彼女が使っているExcelデータを見ながら説明を始めた。
「簡単だよ。これ、取引データをまとめるための魔法みたいな機能なんだ。」
鈴木はまず、データ全体を選択し、リボンメニューから「挿入」→「ピボットテーブル」をクリックした。
そして、画面に表示された設定ウィンドウを示しながら続けた。
「たとえば『担当者別』でまとめたいなら、行に『担当者』、値に『売上金額』をドラッグするだけ。」
鈴木が設定を終えると、美咲の目の前に、商品別売上の集計表が瞬時に完成した。
「これで何十行ある表も手計算しなくていいんだよ。すぐに他のパターンも作れるから、担当者別や地域別の集計も簡単だ。」
美咲は目を見開いた。毎月何時間もかけて作っていた集計表が、たった数分で完成したのだ。
「これ、魔法すぎませんか!?もっと早く教えてくださいよ!」
鈴木は笑いながら答えた。
「ピボットテーブルは使いこなせれば最強の分析ツールだよ。これからは自由自在にデータを操れるようになるはず。」
その日以来、美咲はピボットテーブルを駆使して効率的にデータをまとめるようになった。作業時間は劇的に短縮され、残業はゼロに。さらに空いた時間で報告書にグラフや視覚的な要素を追加し、上司からの評価も上がった。
ピボットテーブルで変わる未来
美咲は、毎月の業務がスムーズに進むようになっただけでなく、データ分析の奥深さにも興味を持つようになった。「ピボットテーブルを知る前と知った後では、仕事の世界がまるで変わった」と彼女は言う。
「Excelは単なる作業ツールじゃない。使いこなせば、自分の仕事も人生も効率化してくれる最強のパートナーだって気づいたんです。」
「鈴木先輩、営業もできるし、仕事も早いんだ!」
美咲は少し鈴木を見直したのであった。