vsいわき 0-3

 自陣に攻め込まれる時間が続きながらも45分間は失点せずに進めていったものの、後半立ち上がりにセットプレーで失点するとそこからズルズルと追加点を許し、終盤の追い上げも実らず敗れた前節。自分たちが取り組んできた形で1点を返せた部分は数少ない光明であるものの、その取り組みの成果を出すまでに失点が嵩んでいるのも事実であり、何とも複雑な心境。

 2024シーズン最終戦、乗り込む今節の相手はいわき。戦い方は分かっているが、分かっているとて簡単に攻略できる相手でないことは確か。
 これまでチームを上位カテゴリに導いてきた田村氏との2年目のシーズンは主力選手が大量に栄転していったところからスタートしたが、大きなダメージは感じさせず、少し前まではPO進出の可能性を残していた。3バックでWBが幅を取り、縦に速い攻撃を仕掛ける。サイドに強みを持ちつつ、頂点の谷村が開眼してゴールを量産している。シンプルながらもボールの動かし方は洗練されているので、迂闊に相手の土俵で勝負しようとすると返り討ちに遭う可能性も高い。ただ、直近5試合勝利がなく、尚且つ3連敗中。

 失うものは何もない。最後にこのエンブレムを付けて何を示すのか。インテンシティを高くしてくる相手に対して出方を間違えると致命傷になり得る。ハーフスペース走られること、逆サイドが内側に入ってくることは承知している。中途半端に捕まえに行くのではなく、意思統一したうえで一気に相手に襲い掛かりたい。

メンバー

 ウチは前節から3枚変更。大畑→中塩、樺山→北川、平松→佐川。出停明けの中塩がスタメンに戻り、有給で一足早くシーズンを終えた平松に替えて佐川。

 対するいわきは眼前で優勝セレモニーを見せられた清水戦から3枚変更。立川→田中、石田→下田、西川→坂岸。田中はこの試合が現役最後のゲームとなる。

前半

 いわきのキックオフで始まった始まった試合は立ち上がりからいわきのペースで進んでいく。いわきはIHのところで優位性を持ってサイドでガンガン仕掛けてくる。ウチは北川・梨誉・和田といった面々でボールを引き出して前を向こうとするが、相手が深追いして前を向かせないとタイトに寄せてくる。

 13分、いわきが狙い通りサイドからの形でゲームを動かす。ロングキックの跳ね返しからヘディングの応酬となったが、仙波が確保しようとしたボールを山下が突く。そのままルーズボールとなったが山下の足元に転がり、山下は谷村に付ける。谷村は瀬畠を背負いながら右に向かい、外に張った加瀬へ。加瀬は深くまで運ぶのではなく、DFラインと櫛引の間に速いアーリークロスを入れる。中塩が足を伸ばすこともできず、櫛引も前に出れない絶妙なボールにDF2人の間に走り込んだ山口が足を伸ばして右足の裏でプッシュ。
 谷村から加瀬に出たシーンでの有馬のランニングにも少し引っ張られ、誰がクロッサーに行くかはっきりしないままだった。クロスに対する対応は下がりながらで難しいが、ファーにももう1枚フリーがいたし捕まえられていなかった。

 先制した勢いそのままにいわきは攻勢を強める。18分、ウチが左サイドでボールを奪われると、そのボールを拾った加瀬がシンプルにDFラインを越すフィード。これに反応した谷村が胸でコントロールしてから右足を伸ばしてシュートを放つが、左に逸れる。

 更に25分、大森から右サイドの加瀬に長いボールが通ると、加瀬はまたもアーリーで今度はファーに柔らかいボールを供給。ファーでフリーの山口がワンタッチでグラウンダーのクロスを入れるも小柳がクリア。しかし、クリアがアマを直撃して有馬の元にこぼれる。有馬は2人に寄せられながらも身体を反転させながら強引に右足を振る。シュートは枠を捉えていたが、櫛引が素晴らしい反応を見せて手に当ててコースを変えたことでバーを直撃。何とか防ぐ。

 ウチは佐川にターゲットにしてセカンドを拾えればという思いもあったが、大森に身体を密着させられて自由を奪われる。また、ようやくボールが収まってチームとして重心を上げようとするとタクティカルファウルでプレーを止められ、流れを作ることができない。いわきの強かさもあるが、ウチのビルドアップの出所が分かっている分、相手の寄せに捕まえられてしまう。
 また、いわきのWBがウチのSHの背中を常に取るのは噛み合わせ的に仕方ないが、SHもSBも付けない位置でボールを引き出され、その内側のIHも誰が見るかはっきりせず、そうこうしているうちに自由にボールを蹴らせるだけの時間とスペースを与えられた。ウチのラインを下げる意識が強いことも相俟って、ボールホルダーへのアプローチは不足気味。

 37分、ウチが一度クリアしたもののウチの自陣右サイドで山口にボールを掻っ攫われ、山口から中央の柴田へ。柴田は最終ラインの背後に柔らかいボールを入れると、抜け出した谷村が頭に当ててコースを変える。しかし、このシュートも櫛引が足に当てて防いだ。

 ATのアマのミドルまで1本のシュートも打てず、ほとんど防戦一方に近い状態で45分を終える。最少得点差で進んでいるのがせめてもの救い。

後半

 後半になり、ウチはビルドアップ時に仙波が小柳の横に立ってエドとの距離を補完して繋ぐなど、相手のプレスに嵌められないように微修正を加えた。前3枚の距離感も近づけていたように映る。しかし、それだけで流れが変わることはなく、依然としていわきがボールを支配する時間は長い。

 明らかに相手が球際の部分を強調してくるのに対し、ウチはフラストレーションを溜めることになる。思うよう行かないままどんどんファウルでプレーが止まり、相手がセットされた状態からウチはリスタートとなるので、スペースもあまりない。

 60分、いわきは加瀬→五十嵐、坂岸→大迫の2枚替え。
 ウチも62分、梨誉→惇希、和田→風間、北川→樺山の3枚替え。アマと風間がCHとなると思われる。

 高い位置を取る相手WBの背後のスペースを狙おうとしている雰囲気はあったが、上述の通りプレスの餌食となって思うように前進できないのと、そもそもそこまでボールが到達しない。個々ではアマが意地を見せるように体を当てて奪うなどもしていたが、劣勢を変えるほどの何かはなかった。

 71分、ウチは佐川→河田で最前線を替える。

 74分、ハーフウェー手前で柴田が右の五十嵐へ浮き球のパス。これを五十嵐がワンタッチで有馬へ渡す。有馬は五十嵐にリターンしようとしたが、そのパスがウチの選手に当たってディフレクトし、谷村の元に転がる。谷村はPA内に入り、右45度から左足でシュートを放ったが、またしても櫛引が何とかシュートストップ。

 78分、いわきに追加点。右からのCK、山下のアウトスイングのピンポイントのボールにニアで山口が合わせた。
 ウチのゾーンの内側から外側に出ていき、ニアストーンの河田の手前で勝負された。

 残り10分余りを残しての2点差を跳ね返せるパワーは今のウチにはなく、ボールは持てど効果的な攻撃はできず。

 89分、自陣でのクリアを合わせて4本のワンタッチパスで局面を打開され熊田が抜け出す。最後は右にプレゼントパスを送り、そこに走っていた有馬が身体を投げ出しながら押し込んだ。

 J2の舞台での最後の試合は今シーズンを象徴するかのような3失点での敗戦となった。

雑感

 長い90分、そして長い38試合がようやく終わった。降格が決まった後の試合は特に意義も見出しにくいし、モチベーションにもばらつきが生じるのも無理はない。チームとしての体をどの程度成していたかも分からない。そしてそれを我々は知る由はない。戦い切ったという部分しか現状では収穫を見出すことが難しい。

 試合に関して言えば、クロスへの対応・セットプレーといった典型的なパターン、そして開始20分以内での失点という、シーズンを通して悩ませてきた悪癖がそのまま出た。
 枠内シュート0、xGが0.07っていうあまり見たことない数字なのも切ない。最後までゴールに近付くことすらほぼできないままだった。

 やっとシーズンが終わった。正直、最後の方は見ていてもピッチ上で怒ることを直視できなかった。ピッチ内外で不穏な空気が流れ、SNSでは身も蓋もない罵詈雑言が飛び交い、辟易とした。一先ずオフでこの地獄のような環境から離れられることが嬉しささえある。
 来季の編成がどうとか考えるような状況ではないし、そもそもクラブとして自分たちをどういう風に位置付けていくのか。そりゃ、体裁としては1年で復帰しますと言わなきゃだけど、とてもではないがチーム・クラブを取り巻く状況は降格してすぐに勝てるようなものではない。経営面でも停滞は続くし、営業収入は伸び悩んで久しい。果たして、このクラブが苦しみながら上位カテゴリにいる意義は何なのか。
 勝てりゃ何でも良いって考え方も1つの正解だと思うし、3部に行ったら流石に今シーズンよりも勝ち星が増えて、それで満足感を得るのかもしれない。ただ、昨シーズンPOへの光をほんの僅かに感じ、それを掴みに行こうとした2024シーズンがこういう結果となった。一寸先は闇であり、前回昇格した時よりも確実にリーグとしての難易度は上がっている。

 歪なクラブ体制は今に始まったことではないし、必ずしも経営と成績はセットにはならない。ただ、今のままでは共倒れになりかねない(というより、そうなりつつある)。オフの3か月でリフレッシュして、何だかんだで試合を見ることにはなるとは思うが、少なくとも現時点ではこれから先に希望を見出すことはできない。

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