vs長崎 0-2
立ち上がりにサイドを揺さぶられて失点すると、そのままズルズルと失点を重ねて敗れた山形戦。土居とディサロの絶妙なポジショニングで捕まえにくくなった部分はあったが、そもそも相手に限定を掛けに行くタイミング・場所があやふやなままボールを運ばれていたのが痛かった。立ち位置を変えて処置を施し、何とかもぎ取った1点を次に繋げることができるか。
2戦連続のアウェイ、九州の地に乗り込む今節の相手は長崎。鬼門中の鬼門。
開幕前にゴタゴタがあった末に監督就任となった下平氏の元、チームは開幕から順調に勝ち星を重ねて一時は抜け出した感があったが、8月頭の水戸戦で22試合ぶりに敗戦を喫すると、そこから一気に勢いがなくなり8戦未勝利に。それでもPO圏内には位置しており、前節のいわき戦で8試合ぶりに勝利を手にする。未勝利の時期は疲労の蓄積によってプレスの強度がやや落ちていたことが大きく響いていた。運動量の求められる逆三角形のIHがスペースをカバーできずに中盤の底の秋野の脇が晒されていた。暑さが少しずつ収まってきたことで、ようやく本来の強度が戻ってきたようだ。ジェズスは完全にJ2軍縮条約違反だし、フアンマ・エジガル・ギリェルメと誰がいても破壊力はリーグ屈指。上2つとの差は少し開いたが、自動昇格も射程圏内ではある。
厳しい戦いになるのは誰もが分かっている。苦境で何を表現できるのか。兎にも角にも0で抑える時間を長くしたうえで、一刺ししたい。
メンバー
ウチは前節から2枚変更。瀬畠→樺山、河田→平松。最近の試合では不可欠なピースとなっている瀬畠が契約上出場不可のため、仙波を1列後ろに置いて樺山をスタメンに。仙波の相方はアマではなく風間。トップは古巣対戦となる平松。ベンチには長らく離脱していた北川が帰ってきた。
対する長崎は勝利したいわき戦から2枚変更。照山→田中、フアンマ→ジョップ。照山は前節脳震盪のためプロトコル上出場できず、フアンマは累積警告による出場停止。
前半
コイントスに勝った秋野がエンドチェンジ。ウチのキックオフで試合が始まる。
序盤はウチはノーリスクで長めのボールを使って陣形を整える。長崎は前線のパワーを活かそうとしつつ、基本的には後ろから繋いでリズムを作る。
11分、長崎がこの試合最初の決定機を作る。ウチが深い位置まで攻め込んでいき、惇希が左足を振ったが安部にブロックされてコースが変わり、田中がクリア。このクリアボールが長崎右サイドのスペースに転がっていくとギリェルメが回収してそのままスピードに乗ってバイタルまで運ぶ。数的同数の局面で右を回ったジェズスとDFを引っ張ろうとダイアゴナルに走ったジョップがやや被ったが、ギリェルメはジェズスを選択。ジェズスは左に少し転がして巻くようなシュート。これが小柳に当たってコースが変わり、櫛引の横を抜けていくがポストに当たって跳ね返った。
ウチとすると肝を冷やす場面だったが、長崎の出足の鋭さの恐怖を植え付けられるには十分の形。
ウチも14分に惜しいシュートを放つ。櫛引の間接FKの長いボールはクリアされたがセカンドボールを梨誉が拾う。一度外側を向いて風間を使うように見せて内側にターンしてギリェルメを剥がし、秋野が寄せてくる中で右足で斜めのパスを刺す。ライン間で浮いた樺山が上手くターンして左足でシュートを放ったが、僅かに上に浮いた。
長崎はジェズスとギリェルメのところで入れ替わりながらボールを引き出していき、どちらも推進力を見せる。2人を筆頭に敵陣に入ると一気にテンポアップしてくるので、ウチも撤退する際には長い距離のスプリントを余儀なくされる。
ウチがボール保持した場面では長崎は安易に喰い付かないので、後ろは結構ボールを持つことができる。長崎の両WGの背中にウチのWBが幅を取ってボールを受けるところが出口にすることはできているが、そこから先に刺し込む場所は流石に苦労する印象。詰まった際には梨誉と樺山を裏に走らせる。
28分、長崎のチャンス。エドがクリアしようとしたところを澤田がブロックし、安部が回収。安部→澤田→秋野→米田→秋野→安部と左サイドで細かく繋ぎ、ハーフスペースを走った澤田に安部からスルーパス。PA近くまで抉った澤田がマイナスに転がすと、PA手前で待ち構えていたギリェルメが左足で合わせる。低い弾道で放たれたシュートは枠を捉えていたが、櫛引が見事な反応を見せて防ぐ。
33分、ウチに決定機。敵陣浅い位置のスローインの流れからウチは一旦後ろで作り直すと、長崎は追いかけてこないで自陣でブロックを作る。すると、仙波がCBの脇に下りてきてボールを受け、右足でDFラインの後ろに落とす見事なフィード。ここに平松が抜け出してGKと1対1を迎える。バウンドを合わせて右足でコントロールしてからシュートを放つも、ここは若原が何とか足に当てた。
一瞬の隙を突く仙波の完璧なパス、平松の抜け出しのタイミングも抜群だったが、最後に若原に上回られた。
その後も長崎は後ろではある程度時間を掛けて回し、前線のパワーを活かして前進をしていくが、それほど攻め急がず時間を進める。
45分はどちらもネットを揺らすことなく折り返す。
後半
後半どこかのタイミングで長崎がギアを上げてきた際にウチがどこまで耐えられるかが勝負の鍵だと思ったが、後半開始早々に試合が動く。
47分、長崎左サイドのCK。ギリェルメのストレート系のボールをファーでジョップがスタンディングでヘディングすると、ゴール前で安部がプッシュ。ライン上で樺山がケアしており、当然ながら安部はオンサイドだった。
ファーでジョップとヴァウドが2枚重なっていたが、ウチは梨誉1人で対応せざるを得なかった。惇希がボールにチャレンジしようとしたが、スクリーンされて動けず。
後半立ち上がりに先制に成功したことで、長崎はかなり楽に試合を運べる状況にはなった。
53分、ウチにこの試合最大の決定機。重心上げて押し込んでいた局面で酒井から右大外のエドへ。エドは樺山とのワンツーで一気に右サイドを突破して深い位置まで侵入すると、低いクロスを入れる。ヴァウドの背後から回り込んでマークを外した平松がニアで合わせるも右足ヒールではミートしきれずに左に逸れていった。
エドのスプリントに加えて樺山との関係性で崩していったが、数少ないチャンスを仕留められなかった。
60分、ウチは平松→河田、樺山→北川の2枚替えで最初のカードを切る。
67分、長崎はジョップ→加藤で強度の維持を図る。
長崎はジェズスを一応は頂点に置くような配置にしつつ、加藤と局面によって入れ替わる。ジェズスは低い位置まで顔を出してボールを受けたがるが、ウチはそこを捕まえるのが困難なので前を向かれ、そのまま運ばれる。
ウチは仙波と風間を中心に何とかボールを動かして前進を試みてはいるものの、球際での強度で長崎が上回っており、なかなか思うようにいかない。
75分、試合を決定付けるゴールが生まれる。最終ラインでパスを回す中で小柳から酒井へのパスがズレて澤田が回収。澤田がそのままバイタルまで持ち込むと、ジェズスが澤田の方向に斜めに走って酒井と小柳を引っ張り、スペースを作る。澤田はそこのスペースに走ったギリェルメに渡すと、ギリェルメはオープンに置いて勇利也との間合いを空け、右足でループ。柔らかいシュートがゴールに吸い込まれ、差を2点に広げた。
得点直後の76分、長崎はギリェルメ→増山、澤田→笠柳の2枚替え。2点目を生み出した2人が揃ってお役御免。
ウチは78分に梨誉→佐川、84分に風間→アマ、勇利也→中塩。佐川と河田を前で並べて、右に北川、左に惇希。ただ、北川は内側に入ってCBからボールを受け、外に開くエドにボールを供給する役割を担う。
85分、長崎は青木→山田、秋野→中村でクローズの姿勢。
終盤は敵陣には入るも効果的な攻撃はできず、0-2のまま終了。
雑感
結局04年の天皇杯準々決勝から諫早では1勝もできないまま終えることとなった。新しいスタジアムでウチがプレーできる機会はいつか訪れるだろうか。
今節の結果を受け、9月中に降格が決定する可能性が出てきた。残留の芽がある限り諦めてはならないが、今更どうこう言える状況でもない。腹を据え、目の前の相手を上回るべく戦う。