vs仙台 0-0

 局面での強度を強調してくる相手に対して真っ向勝負で戦い、全く引けを取らずに折り返すと、相手が数的不利に陥ったところを契機に一気に押し込んで仕留めた前節。勿論ボールの動かし方では継続して取り組んでいる部分が表現できている場面があったが、大前提として相手に向かっていく姿勢にフォーカスしていた。それがどう積み上がっていくかは別問題として、そもそものチームとして戦うという要素が今までよりも見えた点、そしてそれが結果に繋がったのはポジティブ。

 久しぶりの勝利を掴み取り、その勢いのまま迎えるホーム連戦の相手は仙台。前節と同じようには進むとは思えない。
 森山体制初年度となる今シーズンは序盤はスタイルが浸透せず勝点を積むペースも鈍かったが、徐々に安定感が出てきた。6・7月はやや停滞したものの、清水を撃破すると勢いを取り戻す。4-4-2のオーソドックスな形ながら、プレスの追い込み方が整理されていてなかなか掻い潜るのが難しい。片方のサイドに圧縮されていき、ボールをロストすればすぐに逆サイドにボールを解放されて仕掛けられる。ボールを保持する局面では中島が落ちて顔を出しつつ、右サイドで縦に勝負してくる印象。攻守ともに速さがある。

 前回対戦時は監督交代後の初戦だったが、立ち上がりにセットプレーで先手を取られて苦しんだ試合だった。相手のプレスをウチが如何にしていなせるか。中途半端なプレーをすれば一気に喰われるだろう。1stプレスを剥がしに行くか、リスク回避でサイドでポイント作らせるか。いずれにしてもチーム全体でハッキリとさせて入りたいところ。

メンバー

 ウチは前節からスタメンはノーチェンジ。前節は契約上出場できなかった小柳と1試合スキップしたエドがメンバーに復帰。

 対する仙台は勝利したいわき戦から4枚変更。真瀬→内田、有田→相良、中島→オナイウ、エロン→菅原。前線2枚の組み合わせを変えてきており、郷家が2トップの一角に入る。菅原は5月8日以来のスタメン。

前半

 ウチのキックオフで始まると、立ち上がりはどちらも長いボールで様子を見る。仙台はどちらかというと右側でオナイウにスピードで勝負させたいという意図のあるボールが入ることが何回か。

 ウチの最初のシュートは7分。酒井から右サイドのコーナー付近に大きなボールを入れるも、菅田が確保。ただ、河田が背後から追っていき駆け引きで入れ替わる。それでも菅田が球際で強さを見せてボールを分捕って相良に付ける。そこに仙波が前を向かせないようにタイトに寄せ、田頭とサンドして奪い切る。田頭から河田にボールが入り、河田は田頭のランニングを囮にしながら中にターンしてPA内に侵入し、後方の仙波に落とす。仙波は迷わずに左足を振ったが、シュートは林の正面に飛んでいった。

 ウチは仙台のプレスにも臆せずに後ろから繋ぐ姿勢を明確に打ち出す。噛み合わせとするとWBのところで間違いなく優位にはなるので、そこを意識してのボールの動かし方。
 仙台も無理にハイプレスではなく、特定のシチュエーションを狙っている。風間を1stプレス隊2人で挟み、アマには主にオナイウがケアしていたが、ウチのCHからCBに後ろ向きのボールが入ったところでFW+片方のSHの3枚がCBをそのまま掴みに来る。
 これに対してウチは序盤こそ相手SBの背後にボールを落として重心を押し上げていた。しかし、1stプレスを掻い潜ってアマに縦を刺し、さらにはすぐに惇希に渡して前進していく。オナイウがやや喰い付き過ぎてスペースが空くので、そこを有効活用。
 右では仙波が上手く顔を出してパスコースを作りつつ、要所では田頭を背後のスペースに走らせていた。仙波が兎に角ロストしない見事なターンを何度も見せており、ボールを落ち着けるポイントとなった。

 仙台はなかなかリズムを作ることができず、後ろでボールを動かすことが多くなる。しかし、この試合では悉くフィードの精度を欠いており、SHに付ける1つ飛ばしたボールがタッチラインを割ることがとても多かった。それによってタッチ数が少なくなったからか、オナイウのコントロールミスも目立ち、いまいち押し込めない。
 また、仙台がプレスで嵌めに行くに際して、良い時には奥山が内側に入って梨誉を潰してボールを奪うことができた。それとともに、奥山が内側にそのまま入ってハーフスペースで仕事をしようとする。何度か勇利也と惇希と梨誉の誰がチャレンジするかがぼやけることがあった。

 ただ、ウチもボールは持たせつつも大きな問題は生じなかった。レフェリーのジャッジにも相手より先にアジャストした感じがあり、徐々に球際で上回り始める。厳しい場面でも上手くファウルをもらってプレーを切り、冷静に対処できていた。前半終了間際に悪質なプレーを繰り返していた相手選手にカードを叩きつけた。

 終盤にややヒートアップしていたが、スコアレスで折り返す。

後半

 後半開始から仙台は試合に入り切れていなかったオナイウを下げて中島を投入。中島をトップに置き、郷家をサイドに出す。

 52分、ウチの決定機。林のパントを酒井が跳ね返し、仙波がセカンドを確保。鎌田を背負って引っ張られながらも仙波がロストせずに前を向き、向かってきた内田の逆を取って剥がす。ボールを置いてきたので一旦スピードダウンして風間へ。風間は左サイドで高い位置を取っていたアマへ繋ぐと、オーバーラップしてきた惇希の勢いを殺さない絶妙なボールをアマが出す。惇希の柔らかいクロスは林に弾かれたが、そのこぼれ球が仙波の元に飛ぶ。左足ボレーで合わせたが、シュートは林のいる場所に飛んでしまった。
 仙波のセンスの良さでスルスルと抜けていった。ボディバランスと独特の間合いで相手の守備を翻弄。風間→アマ→惇希の流れもとても良かった。これだけ押し込むとフィニッシュまで持っていける。

 55分、ウチは田頭→エドで最初のカードを切る。やや田頭は不満げな様子なのも無理はないが、あくまで強度の維持を考えてなのと、単騎で突破できるエドでより前進したいという思惑。

 61分、仙台も菅原→エロン、相良→有田の2枚替え。エロンで推進力とパワーをもたらし、有田はスピードでエドをピン止めさせる狙い。

 しかし67分、仙台にアクシデントが生じる。有田が自慢のスピードで酒井にプレスを掛けてボール奪取。そのこぼれを拾ったエロンが際どいクロスを入れ、櫛引がパンチング。そこからの2次攻撃も何とか跳ね返し、梨誉が身体を張ってファウルを貰ってプレーが止まった。
 すると、エリア内で有田が座り込む。酒井からボールを掻っ攫った際にボールの上に左足が乗ってしまい重心が崩れると、次に左足を着いた際に芝生に上手くポイントが噛まずに滑ってしまい、そこに体重が乗った。恐らくハムの肉離れであろう。スピード系の選手の宿命。一度は立ち上がるも左足に体重を掛けることができず再び座ってしまい、担架でピッチを後にする。

 70分、続行不可能となった有田に替えて松下。松下は元々準備していたが、急遽変更。エロンを中央に移して中島と並べた。
 同じタイミングでウチは河田→佐川、梨誉→平松の2枚替え。

 71分、ウチのチャンス。最終ラインの瀬畠から大外の惇希に繋がると、惇希は自ら運んで敵陣に入り、平松が空けたスペースを活かして佐川に斜めの楔を刺す。佐川はややバランスを崩しながらもターンして右に持ち出し、そのまま右足を振る。しかし、菅田のブロックに遭った。

 中島が1列落ちて顔を出しながらリズムを作り、最前線ではエロンがポイントとなる。ウチもそこまで慌てることなく対応しているが、セットプレーも含めて仙台の迫力を受ける時間も生じる。

 84分、仙台は鎌田→工藤。
 ウチもアマ→樺山、風間→小柳の2枚替え。中盤のセカンドボールを回収できなくなるのは辛いのでテコ入れ。4-4-2にして、小柳と酒井のCB、瀬畠と仙波のCH。中盤2枚のユーティリティ性に助けられる。前に出たいのは山々だが、リスク回避の部分もある。

 90+3分、仙台の決定機。自陣で仙波から惇希のパスがショートしてしまい、何とかリカバーしようとしたが奥山が確保して前に運び、左の松井に付ける。松井から中島にボールが渡ると、中島はエロンとのワンツーから右足でシュート。速いテンポで繋がれてシュートまで至ったが、櫛引が抜群の反応でセーブ。

 最後は体力面からかなり厳しかったが、スコアレスドローで終わる。

雑感

 仙台が攻めあぐねていただけに、ウチとすると何とか1点をもぎ取って3ポイント積みたかったという思いはある。

 仙波が効いていたし、アマも言わずもがな。中盤で簡単に失わずに前進できるのはチームにとってとても大きい。ボールを動かす点では瀬畠の存在も欠かせないし、勇利也が高い位置にとって相手のマークをズラすのも大事。惇希が後半は特に縦に仕掛けて陣地奪いに行けるのも良かった。内容としては改善されているからこそ、ここで連勝できればと…。

 しかしながら、前節の強度をデフォルトにして戦うことができている。ここから点を取るためにまた取り組み続ける。

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