vs千葉 0-1
試合前日に降格が決定した状況下、左サイドを崩して先制に成功したものの、ビューティフルゴール2発で引っ繰り返され、何とか追いつくも終了間際に試合を決められた熊本戦。監督の試合後コメントにもある通り、今シーズンを象徴するような内容だった。最後の部分で寄せられない。相手のシュートが素晴らしかったのは勿論だが、そこに至るまでに防げる要素があったとは思う。
残り試合が少なくなるが、現チームで1つでも勝点を積むために乗り込む今節の相手は千葉。POを目指し、調子を上げてきている。
昨シーズンは夏場に大型連勝を果たしてPOまで駆け上がったもののヴェルディ相手に散った。今シーズンも昇格候補と目されていたが、思うように勝ち点を積めずにいた。それでも、ここにきてエース小森が大爆発。無双状態という表現がしっくりくる活躍を見せ、あっという間に20ゴールに乗せて得点ランクトップを走る。シーズン途中に一時メンバーから外れることもあった横山が隣でハードワークしてくるのも厄介。SHもSBも推進力を持っており、そこで高い位置までボールを運び、最後は前線の役者が仕上げる。トランジションも早く、勢いに乗せると防戦一方になりかねない。
前回対戦時は前から掴みに行くも中途半端で剥がされ、ズルズルと前進を許していた。小森が最も危険だというのは誰しもわかるが、そこより前でハッキリとしたプレーができるかどうか。
メンバー
ウチは前節から2枚変更。勇利也→中塩、風間→アマ。ベンチには佐川が戻る。メンバー発表時はいつもの3-4-2-1かと思われたが、実際に試合が始まると4-4-2で構えた。対千葉では4-4-2でブロックを敷くチームが多いこともあり、千葉戦限定の変更かと。
対する千葉は前節から1枚変更。ドゥドゥ→横山。前節は出場停止だった横山が復帰。
前半
円陣後にダッシュするスタイルの両チーム。円陣が解け、千葉のキックオフで試合が始まる。
どちらもエンジン全開ではなく、濡れたピッチという点も考慮して穏便な入り。
千葉はまず小森を探すことはしながらも、田中と杉山を高い位置まで張らせて、そこでパワーを掛ける。
それに対し、ウチは相手のSHが高い位置にいることを逆手にとって、その背後に惇希と樺山がポジショニングしてスペースを活用し、SBをチェックに来させながら少ないタッチで中央にボールを叩く。ただ、ボール保持時は右片上げの3バックのように振る舞い、エドが内側を取る。
22分、ウチのチャンス。小柳から右大外に張ったエドにパスが出ると、一度小柳に戻し、今度は仙波を経由して再びエドが持つ。エドはパスを受けた後に見せた2つのタッチで正対する田中のタイミングを外して中に渡してスプリント。同じタイミングで樺山が下りてきて小川を釣り、それによって生まれたスペースにアマがボールを解放。エドがそのままPAまで持ち込んで右足でシュートを放つ。低く抑えたシュートだったが、鈴木がセーブ。
千葉は常にサイドで起点を作ろうとするのは間違いない。で、ウチはそこを捕まえるために4枚にしているはずだが、4枚がかなり内側に絞っているので、千葉のSHにサイドのスペースを空けているような状態に。そこに当然SBも上がってくるのでウチもSHを下ろす必要があるがなかなか大変である。何度か背後を取られるような動き出しからニアゾーンまでボールを運ばれていた。が、その分中は分厚くしてあるので、何とか跳ね返す。
33分、左サイドを突破した千葉が先制。ゴールキックの流れから佐々木がボールを持ち、ライン間で浮いていた横山に楔を打つ。ここに小柳がチェックに行くが、横山はワンタッチで左の小川に付ける。小川も2タッチ目で右アウトに掛けた縦パスをタッチライン際に転がす。そのパスに反応した田中がスプリントし、エドのディレイ気味のタックルにも倒れることなくPA内深くまで侵入。寄せてきた瀬畠の股を通して横山にマイナスのボールを送ると、横山は左に押し出してから左足でシュート。一度はエドと小柳がブロックするが、こういう時にボールがこぼれてくるのがエース。小森が左足のヒールで流し込んだ。
縦パスを受けた横山のところを潰せなかったことで一気に難しい状態にはなった。結局枚数が少なくなって千葉が使えるスペースが広がることに。
先制はされたが、球際の部分はかなり厳しく寄せている。アマと仙波が自由にさせないように戦っているし、平松がプレスバックしてくれるのもやはり大きい。何度か中盤で引っ掛けてカウンターになりそうな場面があったが、ミドルサードでウチもパスミスが多く、バイタルまで行く前にロストしてしまう。繋がったとしても少しずつズレていて時間を貯金を失い、相手に帰陣するやチャレンジする猶予を与えることになるので、勿体ない。
最少得点差のまま45分を終える。
後半
後半は立ち上がりからオープンな展開が続く。ただ、人数掛けてスペースが広がっているというよりは、どちらのチームも局面打開のパスが繋がらなくてトランジションで引っ繰り返されている。なので、一見するとゴールに近付いているような感じはあるが、どちらも連鎖的にミスが発生して攻守が入れ替わっている。
また、試合を通してあまり笛を吹かないレフェリーの基準もあり、より展開が落ち着かないのと、やや無謀にも映るコンタクトが横行していく。吹かないなら吹かないで良いのだが、両チームともにフラストレーションを着実に溜めている。
57分、ウチの右サイドのCK。仙波のアウトスイングのボールにファーでフリーとなった瀬畠が右足で合わせるも、ボールは鈴木の正面に飛んだ。
59分、ウチは平松→佐川、惇希→和田の2枚替え。和田と佐川を前に並べて、梨誉を左に移した。
61分、ウチが1つ形を作る。梨誉が自陣の低い位置まで戻ってインターセプトすると、そのまま2枚に挟まれながらも前に運び、佐川にボールが渡る。佐川はワンタッチで右サイドの樺山に大きく展開。樺山は大好物のシチュエーションであり、相手に向かうようにしながら縦に仕掛けていき、右のエドではなく斜め前の和田に刺し込む。和田はヒールでのワンタッチで樺山にリターン。樺山はそのままシュートではなくトラップを選択したが、相手に引っ掛かった。それでも、こぼれ球を仙波が右足でシュート。しかし、インに掛かってしまい、ボールは左に逸れた。
毎度思うが、佐川はこのシーンのようなサイドへ振る際のパスが上手。梨誉の頑張りから始まってサイドの展開もゴール前でのゴールの動かし方も人の動き方も良かっただけに、樺山の所で仕留めたかった。
千葉が自陣で3ライン引いているので、ウチは何だかんだで押し込む時間が続く。千葉はボール奪取しても前に小森しかおらず、そこを目的地に設定しても途中でボールを失う。ウチの攻撃のターンが続く。で、バイタル手前でウチもロストするので、やはりバタバタした展開。
64分、千葉は杉山→椿、エドゥアルド→田口の2枚替え。
74分、ウチは樺山→河田。河田と佐川の2トップ。そして、この交代前も中盤まで下りてゲームメイクしようとしていた和田を1列落として真ん中を3枚のような雰囲気。一応和田はRSHではあるが、かなり中寄りでプレーしてエドを前に押し出している。
79分、千葉は横山→ドゥドゥ、田中→岡庭の2枚替え。
86分、ウチはエド→田頭、アマ→風間で最後のカードを切る。
ウチは外回りで何とかゴールを目指したが、千葉のブロックを崩すことはできず。
最終盤には仙波のDOGSOっぽいプレーを発端に大荒れ。ウチとするとそもそもハンドだろっていうアピールだが、あれを自然な位置と判断したらしい。で、仙波の所は4要素のうちどこかが欠けたという判断なのは間違いない。
距離はまあ近くはないけどゴールガラ空き、走る方向はゴールに向いていた、ウチは櫛引が出ていたから中に風間しかいない、ドリブルをしている最中でボールは岡庭のコントロール下。映像を見る限りはレッドが妥当としか見えない…。そして、仮に4要素が揃っていないとしてもSPAで黄色は出るはではなかろうか。ただ、試合を通してSPAっぽいファウルは両チーム何度かあるが、すべてカードを出していなかったのは確か。従前のファウルと質が違うだろうと言われればその通りなのだが、何故かSPAでは出さなかった。その結果試合が荒れ始めて、こういう事態を招いたのは何とも。
ウチとすれば次節の出場停止選手が出なかったのは救われたが、試合自体は0-1で終了。
雑感
警戒していたはずの小森にやっぱりやられるという分かりやすい結果になった。試合を通してどちらも決定機らしい決定機は少なかったが、そういう中で確実に一発で仕留められると勝点に結びついていく。
4バックで噛み合わせて守りやすくはなったし、潰すポイントもはっきりさせた。ただ、それでも千葉のSHとSBに手を焼いた。ファイトする部分もあるし特段内容が悪くもなかったが、あんまり点が入りそうな気配もなかった。惇希とエドでサイドを殴って前進というのはいつも通り希望はあったが、相手もサイドに強みがあり、どちらがサイドで前に出れるかによって局面は変わった。
次はダービー。譬え降格が決まっていたとしても、ダービーで負けてよい理由なんて1つもない。死なばもろとも(そもそもウチも死んではいないけど…)。