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少年隊プレゾン『愛史』を観た

 少年隊3人が、立場の違いもある中、団結するファンタジーです。

バーンズ(ニッキ)……国際警察イチの切れ者
印田(インディ:カッちゃん)……新聞社カメラマン
ソロ(ヒガシ)……マフィア幹部で大泥棒

 プラス、ストーリーの鍵である王子役が藪宏太くん、ネタバレするとヒガシの弟チラノが佐藤アツヒロ兄さん、風間俊介くんもいる!

 少年が、「流れる星に勇者の夢を見た」「僕は名前を探してる」と歌っています。
 そして物語は、「レグルスの瞳」という宝石をソロが盗むところから始まります。国際警察イチの切れ者バーンズは「必ず捕らえてみせる」と燃えています。印田も後を追います。
 バーンズはソロの乗る飛行機を打ち落とす。「国際警察イチの切れ者から逃げられると思うなよ!」この口上はここまでで二度繰り返されているので、強調してみました。
 ここでジュニアいじりコント、バーンズが早速下ネタを投入し……なんだかんだでバーンズは崖から落ちてしまう。

 先に墜落したソロは、自分の名前を忘れています。宝石は手元にあり、「大事なものだというのはわかる。なんだこの輝きは……」心を動かし、体も踊り出します。腕の筋肉が美しい。
 そこで、ソロは川で溺れる少年を救います。「このヌシ(魚)を捕まえたものは勇者、きっとこの国を救ってくれる」と、ソロを勇者の谷に誘います。
 国の長老はおそらく風間ぽん? 舞台メイクが濃いですがおそらくそうだと思います。「王子を助けていただき感謝、あなたを歓迎」。国の民はヤーヤー! ヤー! と、どこかで聞いたことある単語を発し喜びます。
 ソロは、国に設置してある像について触れます。【白い鷲】と【この国を守る大きな獅子】だそうです。ソロがヌシを捕まえたことで、神様の住まいである像に白い鷲が帰ってくる、と。しかしその鷲には片眼がない。この片眼は誰かに奪われ、それから水が涸れ始めたそう。
 王子は自分の名前を持っていない。ソロも「俺も名前がないんだ」と言うと、王子に「ドラえもん」と名前をもらいました。このあとストーリー上あまり呼ばれていなかったけど。

 ソロは、ひとりになったとき、自分の持っている宝石を片眼に入れてみました。なんと入った! そのとき、
「ちょっと待ったあ!」
 新聞カメラマンの印田登場です。
 宝石を持って警察に行こうとするソロを止めます。そうか、ソロは過去の記憶がない故の行動ですね。
 しかし印田は「忘れちまったのか。俺たちパートナーじゃないか♪」と、それとなくソロの手から宝石をもらおうとし、ソロもなんとなく避け、牽制し合っています。印田の思惑を知ったソロ。印田は自己紹介代わりにソロ曲「Legends of Dreams」を歌いました。謎を追うカメラマンらしい歌詞。私はインディージョーンズの冒険をあまり知りませんが、印田はここから来ていますよね?
 そしてさらにバーンズがやってくる。「2コーラス以上は駐車違反だ!」この錦織バーンズ、これから、ことあることにソロ曲警察をして小言を言っています。
 印田には「悪者」呼ばわりされて、3人で宝石の取り合いが始まる。バーンズとソロのアクション。
 バーンズはソロがマフィアだと告げ、ソロ自身はびっくりしている。 ここでさらに新人物登場、アツヒロ兄さんの【チラノ】です。 ここで印田の「話がどんどん膨らんでねぇか?」ごもっともなメタ発言。
 バーンズはソロに「チラノは殺し屋」と教えます。「本当になにも覚えていないのか」と続ける。これ、伏線です。
 チラノの軍はソロをボコボコにし、「ソロどうしたんだ、あんたの名前だろうか、人殺し!」と叫ぶ。ソロは「人殺し……?」と、なんのことか見当がつかない様子。
 そこで地震が! チラノは逃げます。小ネタとして、バーンズは地震が苦手で、お腹を壊しています。ぽんぽんぺいん。
 ソロはふたりの前で「俺は一体何者なんだ。チラノは俺を人殺しと言った」と落ち込んでいます。そりゃあ自分の名前すら忘れて人殺しと言われたら自分の過去が気になりますよね。
 ここで、印田が【アルタイルの祭り】について触れます。「白い鷲を呼ぶお祭り。アルタイルの夜だけ現れて人々に命の輝きを与える」いわゆる不老長寿の祭りのようです。
 ここから印田の長回し。めっちゃかっこいい。
「獅子の星降る夜。満たされし光が獅子のたてがみに宿るとき、2つの瞳の涙が闇の帳を解き放ち、天を追う命の翼が姿を現す」(私、植草さんの演技や台詞回しめちゃ好きなんですよね~)
 ここで、この長回しの意味を解いていきますが、像にはなぜか「印田」の落書きが。これも伏線!
 そして、またまたチラノ来襲。バーンズは「戦争が始まるぞ。ここで引くな!」とまで言う。ここで、警察軍の下っ端たちがそれぞれ戦争の苦しみを叫び出す。「錦織さん台詞が長いんです~!」ここはニッキのプロデュースなのか。確かに最近、戦争を題材にした舞台やってましたね。
 バーンズも打たれてしまう! ソロとチラノの戦いも。ここでなんと王子がソロをかばって打たれてしまう。 
 落ち込むソロと、「どうして限りある命を無駄にするの」と歌う王子。なんか、名前を言ってはいけない人物の思想を感じる……。
 勇者の谷の民は、「涙と悲しみの歴史なんだ!」「勇者(ソロ)、絶対に白い鷲を蘇らせて」と迫る。
 そして、王子がソロの腕の中で息絶える。ソロは、「もし白い鷲を蘇らせることが出来たら、王子は生き返るのでは」と気づく。確かに、アルタイルの祭りは「不老不死」をテーマにしていましたね。
「あの宝石を私に……」とソロが言いかけたとき、
「ちょっと待った!」
 バーンズが復活しました。
「そいつに宝石を渡すんじゃねえぞ。あいつは王子を殺した」
と、事実かどうか怪しいことを主張する。ドロドロしてきた。印田は、この流れでは、どっちにもつかない言動をしています。
 バーンズは「宝石は俺がもらうぞ」。印田は「俺も行こう。この国の行く末を見る義務がある」と新聞社カメラマンらしい発言。
 
 一方ソロは、ひとり苦悩しています。自分の過去を思っているようです。
「俺は人を傷つけることを何度も何度も……」
 ここでソロのソロ(だじゃれ)「Bad Luck, Good Luck」。00年代のJ-POPで好きです。しゃがんだり立ったりする振り付けだけでも体幹が強くて美しい。

 バーンズたちの話に戻ります。
 バーンズは「どいつもこいつもフルコーラスで……」とご立腹。またメタ発言。「獅子の星降る夜……」の長回しのおさらいと、謎解きです。
 この流れで、印田のひいおじいちゃんが像に落書きした過去が明かされる。そうなんだ。
 それはさらっと流され、勇者の谷の面々の言動を印田は「(勇者は)まるでいけにえじゃねーか!」と怒る。
 バーンズも「そうやって犠牲にしてきたのか」と、だんたん谷の民を責める立場に。「どれだけの命を奪ってきたのか……」と、中盤暴力を振るっていた人物像が変わったようになる。命の尊さを語っていると、流星が流れて大きな音がする。
 バーンズは「いいとこだったのに!」と悔しそう。

 もう何回目か? チラノ来襲。バーンズの戦車を奪われている。「まだピッカピカの戦車だぞー!」と焦っている。やっぱり、バーンズはどこか憎めない。
 すると、どこかから列車の汽笛の音がします。
 印田は言います。「この先に貨物列車が通る。あんた(バーンズ)は先回りして列車をぶんどってくれ。俺はそのあいだ、戦車を線路に誘導する」。すごいこと言うじゃん!
「王子を助けてやりたい」という意思でバーンズと印田の心は繋がります。
「この国に夢と希望を取り戻す! インディーだー!」

 ここで冷静なチラノ登場。「ありきたりな青春ドラマを車の中で5分待った!」。この作品の怒濤のメタ発言、嫌いじゃないです。
 印田は、チラノの車を誘導しています。
 一方バーンズも「国際警察が貨物列車強盗とはな……」。バーンズは、他の出演者の長い歌披露後に「やつは免停だ!」とか言っていましたが、バーンズ自身が罪を犯すことになる!
「頼んだぞ、印田……」
 そして印田は、「Love history」を熱唱。タイトル『愛史』回収ですね。
 余談ですが、植草さんの歌声や曲自体はとても素敵なんですが、悲劇や争いを美談にするようで、過敏になってしまいます……。これもあの人物の思想か。

 披露後、バーンズはやっぱり「フルコーラスで歌いやがって! 駐車違反だ!」と、いつもの軽口。
 印田も「この国を敵をとったぞ……」と満足そうですが、チラノはまだ生きている!?
 バーンズも「あいつのしぶとさはゴキブリ以上だ」と吐き捨てる。アツヒロ兄さん、結果としてかなり出番ありますね。
 チラノは【ファミコンのコントローラー】を持っています。なんと、バーンズの持つ時限爆弾の装置を奪われてしまいました。
 どうしてあんなものを、と責められたバーンズは「いざとなったらこの国を木っ端みじんにして、ひとりで逃げようと……」、また、さらっとすごいこと言った。
 操作方法がわからないチラノに「貸してみろ」と言って、一時は奪い返すことに成功しましたが、結局はチラノの手に。
 一番大事な時限爆弾はどこにあるのか! 爆発するまでに探さないと。

 一方、ソロは……。静かに過ごす彼のもとにチラノがやってきます。
「昔はふたりで荒らし回ってたじゃねーか」
 箱座りで黙っているソロ。
「実際あんたはひとり……殺した」
 王子のことでしょうか。ソロは、はっとして顔を上げます。
「おまえは血を分けたきょうだいなんだ」チラノの衝撃の告白。しかしソロは、
「俺はおまえをきょうだいだと思ったことはねえ」
「うそだ……あんちゃん! うそつくなよ!」
 チラノはソロを刺そうとしてもみ合いになり、最終的にソロがチラノを刺してしまいます。
 ここから、チラノの弟節が炸裂します。
「あんちゃん、その目だよ。やっぱり同類だ」
「小さいころ俺をいじめてた近所のガキを殴り殺したあんちゃん」
「母ちゃんを毎日殴ってた父ちゃんを刺し殺したあんちゃん」
「あんちゃん! 俺をひとりにさせんなよ!」
 チラノは倒れてしまいます。
 ソロは必死にチラノの名を呼びます。チラノは、過去にソロが自分のために病院を回ってくれた記憶を口にし、ソロはそれを再現する。
 やっぱり愛すべき弟だったのじゃないか。
 チラノは、「もうすぐ国ごと吹っ飛ぶ……早く逃げろ」、そう言って息絶えます。
 これは私の考察ですが、ソロからすれば、王子とチラノ、ふたりを殺してしまったのですね。前者は致し方ない状況でしたが。苦しい記憶の再生産をして、ソロの精神は大丈夫なのだろうか。
 と思ったところで……ソロの耳に王子の声が聞こえてきます。俺を呼んでいたのはお前だったのか、と、前向きになった模様。

 バーンズと印田は、時限爆弾を探し続けています。すると、そこへソロが。「その爆風を使えないか」。
「俺が爆風に乗って空に駆け上がり、2つの瞳の涙を掲げてみせる」
 ここで、例の口上「獅子の星降る夜……」を思い出してみましょう。
 3人で、「満たされし光は、満月の光」「獅子のたてがみは、レグルス獅子座の1等星」などと、思い出しています。その隅でバーンズは、「ねぇ爆弾あるの覚えてる?」とビクビクしている。でも「死んだらどうする。まだ伝説を信じてるのか」と、最後までリアリスト。
 ソロの長台詞。
「何も起こらないかもしれないが、王子が信じた伝説を信じたい。どうしようもない人生の俺が、初めて生まれてきた意味を知った。オレを信じてくれないか」
 印田も、「あの子の夢を叶えてもらいたい」と、前向き。
 バーンズは、「特別独房を用意して待っている。戻ってこい」と。
 そして、ソロは飛行機に乗ります。バーンズが用意したようです。
 ソロは、「俺の命くらい、いくらでもくれてやる!」と言って、高い空へ……。
 爆発の風景が流れます。
 印田は「ダメだったか」、バーンズは「最後まで信じろ」と言葉を交わし……すると
大鷲の像が動きました!
 そして、王子が生き返りました。「翼の音が聞こえた。そしたら勇者の声も聞こえた」ここで、全体の歌に入る。
 ソロも飛行機に乗りながら歌います。チラノも優しく歌っています。
 王子は、「この国を作った勇者の名前を継ぐ」と、ソロの名前をもらいます。王子は冒頭で「名前のない」ことを歌っていたので、良い結末ですね。
 印田は「愛の歴史だ!」と、「Love history」を歌った伏線回収を。

 全体の感想は、けっこう筋が通っていて良いな〜と思いました。私はファンタジーがあまり得意ではないのですが、すっと頭に入りました。
 強いて言うなら、ソロが王子を愛する動機が少し弱かったかな? あと、錦織バーンズの歌唱が少ない。メタ発言や下ネタで十分存在感ありましたが。

 もっとプレゾンを観るぞ〜。

【お知らせ】
 2024/12/1(日)に東京ビッグサイトで開かれる、文学フリマ東京39というイベントに、この文章などを載せた評論同人誌を出します。
 スペースは、【I-57】、花とダイヤと申します。場所は、ホール出口の近くですね。アイドル芸能評論のところに居ます。

I-57 花とダイヤ

 今回の評論同人誌には、同じく東山担のゆらりさんをゲストに招いています! めちゃ良い原稿でした。みなさんにも読んでほしい!
 私のブースには他にも、東山担から旧ジャニーズ問題を追った『かつての花』、メイドカフェでスタエンオタクのメイドさんの交友を深める記録『アキバに帰る』もあります。
 とにかくよろしくお願いしますという気持ちでいっぱいです。
 よろしくお願いします。