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【映画】『バジーノイズ』

-はじめに-

最低でも週に1本観ようという目標だったのだけれど、先週は観ることができずとても残念に思い、今週こそは観ることができたので感想を書いておこうと思う。
今回は、『ブルーピリオド』を観たときに印象的だった森先輩を演じていた桜田ひよりさんが出ているとのことで選んでみた『バジーノイズ』という作品。


-鑑賞日-

2025/02/22(土)


-感想-

同じような毎日を過ごしていくということ

冒頭の雰囲気から、とにかく息苦しい。
自分は、ただ同じような毎日を繰り返すことが決して悪いとは思わないし、何よりも清澄(川西拓実)のように没頭する「なにか」があるのであれば、なおさら、良いことですらあるかもしれないと思う。
ただ大事なのは、選んでそうしているのか、ただそうなってしまっているのか、ということだと思う。その意味で、清澄の場合はとても苦しい毎日だったのだろうと感じた。
そしてこうなると、ずるずるとそのままになっていってしまうことがきっと多いどろうけれど、この作品はそれに向き合うことがテーマのようだった。
そのためのきっかけとして起こった、少し古く感じるようなボーイミーツガールに、思わずツッコミを入れながらも、清澄の世界がここから変わるのだなと思った。

正直、潮(桜田ひより)の行動はかなり恐ろしい。
他人の家の窓を割ったり、勝手に動画をアップしたり。ただそこは物語的にそういう誇張されたキャラクター性として飲み込んでしまうことにして見てみると、なんだか理解できるところも多くある。

「うちな、自分でなんも見つけたことないんや」

これは、冒頭で”没頭する「なにか」があれば”というところに係るのだけれど、このコンプレックスは、自分にも覚えがある。
自分自身に対する失望感やどうせ自分なんてというような絶望感のようなもので、常に心の中に住み着いていて、そうでないものにとてもあこがれる。
だから潮の行動も、そう考えると理解できるところがあるなと思う。

マザーズデイやMISAKI

作中に出てくる脇役というか、周りの人がきちんと存在感があるところがよいなと感じていて、清澄にとってのあり得るかもしれない未来の姿がたくさん出てきていたと思う。
その中でもマザーズデイのボーカルの洋介(奥野瑛太)やドラマーのMISAKI(円井わん)がそれぞれのやり方で色々なものと折り合いをつけようとして、けれどまだもがいている雰囲気がとても心に残った。

「他人だけど、〇〇」

陸(柳俊太郎)が恋人に言われた言葉がとても印象深い。

「他人だけど、恋人」

どうせみんな他人というのはよく聞くけれど、それ以外ないよね、というアンサーな気がした。

選んでやること

同じ構図が使われたり、対比がされていたりが多いなと思った中で、特に印象的だったのは、潮がいなくなりやがて一人で制作室に籠るようになっていった清澄のもとに、潮たちが扉をぶち壊すように想いをぶつけにいったシーンだった。
代り映えのない同じ毎日過ごすようになった清澄が部屋に籠っていたところは以前と一緒だった。
その上で、以前は潮が窓を割って強制的に世界を壊してくれたけれど、今度は自分で扉を開けることを選んだことが大事だったと思う。

「一人でいれば面倒なこともない。変な気持にもならん」

清澄の言葉にはとても共感するけれど、それをわかってても扉を開けた清澄の決断がとても素敵だなと感じた。


-あらすじ-

DTM(デスクトップミュージック)を題材に斬新な音楽表現とタイムリーなテーマ性でSNSを中心に話題となったむつき潤による同名コミックを、大ヒットテレビドラマ「silent」の風間太樹監督のメガホンで実写映画化。
マンションで住み込みの管理人をしながら、自分の頭の中に流れる音楽をPCで形にし、部屋でひとり奏でることに没頭する青年・清澄。人と関わることをせずシンプルな生活を送る彼に、上の階に住む女性・潮が挨拶をしてくる。失恋したばかりだという彼女は、毎日清澄の部屋から漏れ聞こえてきた彼の音楽を楽しみに聴いていたと話す。自分の音楽を誰かに聴かせようなどと思っていなかった清澄だったが、潮が何気なく投稿した演奏動画によって、彼の世界は大きく変わり始める。
人気ボーイズグループ「JO1」の川西拓実が清澄役、「交換ウソ日記」の桜田ひよりが潮役でれぞれ主演を務め、潮の幼なじみ・航太郎役で井之脇海、ベーシスト・陸役で柳俊太郎が共演。

2024年製作/119分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2024年5月3日

(引用)

-予告-



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