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アナスターシャ〜「ごめん」の拡大解釈と役割〜

アナスタシア。目覚めた、復活した女。

25thシングル収録曲で個人的に最も評価が高いのが2期生曲『アナスターシャ』。今回はその歌詞を紐解いていきたい。

*個人の見解です。
*MVには触れません。

この曲を紐解いていくにあたっては登場する人物及び言葉を明らかにする必要がある。ここでは歌詞を順番に追っていくかたちを取りたい。

1A
岬の先を
ロシアの貨物が
ゆっくりと通り過ぎてく
そのコンテナに
何を乗せるのか?
夢はどこへ向かうのだろう

貨物列車が地平線をゆっくりと走ってる、という情景。この場合の地平線は勝手な例え。そして「ロシア」はただの記号であり、佐々木琴子のためにこのワードが出てきたのだろう。この貨物は選抜とまでは言わないが乃木坂46の中心を指しているのではないだろうか。乃木坂46はどこに向かっていくのか、何をもって前に進んでいくのか。

1B
その上空を旋回してる
たった一羽の渡り鳥よ
何度 陽が沈み 何度昇れば
遥か彼方の大陸に辿り着く?

「その」とは「ロシアの貨物」であり、「たった一羽の渡り鳥」は堀未央奈だろう(乃木坂工事中スタジオライブ振付より確定)。とするならば時間軸は堀未央奈が1人で選抜にいた7thシングル『バレッタ』の時期になる。どれだけ頑張れば乃木坂46の中心に、そして乃木坂46の行く先に辿り着けるのか。

1C
ごめん アナスターシャ
約束を守れずに…
あの夜の僕には
勇気がなかった
ごめん アナスターシャ
君はまだ若すぎて
止められなかった
愛すことのその重さ
背負えなかった僕さ

ここで1A、1Bが現在から過去を見ていたことがはっきりする。『バレッタ』期に約束を守れなかった、約束を果たす勇気がなかったという懺悔。「あの夜の僕」とは堀未央奈以外の2期生ともとれるが、堀未央奈も含めた2期生としたい。「約束」とはおそらく2期生が乃木坂の中心になることであり、当時の2期生がその約束に向かっていく勇気がなかったということなのだろう。そして、「君」もまた2期生のことなのではないだろうか。
では「僕」も「君」も2期生とした時にその違いはいったい何なのか。それは現実と理想であると思う。「僕」は現実の2期生であり、「君」は理想の2期生である。現実と理想とすると少しニュアンスが違う気もするので言葉を変えると、その時間軸における現在地とその時間軸における目指すべき目標地点とも言える。「君」は若すぎて、青すぎて「愛」を止められなかったし、その「愛」の重さを「僕」は背負えなかったという懺悔だ。
2つの懺悔、「ごめん」は同じような内容である。そして「ごめん」に続く名詞は「アナスターシャ」。「アナスターシャ」とは「目覚めた、復活した女」であるが、ここで少し違和感が生まれる。目覚め“た”、復活し“た”、なので女はもう既に目覚めているし復活しているのである。女とは2期生のことであるのは明確だ。ここまでこの曲は現在から過去をを見ていたのではなかったのか。謝っていたのは過去の2期生に対してではなかったのか。

「アナスターシャ」は「目覚めた女」と「復活した女」の2つに分けて考える必要があると思う。「目覚めた女」とは乃木坂46に入りたての2期生のことであり、乃木坂46で戦うという覚悟を持った状態、また、「復活した女」とは1度覚悟を失った2期生が再びその覚悟に目覚めた状態であり、今現在の2期生のことであると言えるのではないだろうか。つまり現在から過去への「ごめん」と現在から現在への「ごめん」の2つが表されているのである。さらに飛躍してしまえば、これらの「ごめん」はただ謝っているのではなく、今は約束を守ることができる、その勇気がある、愛も背負うことができる、乃木坂46の中心として2期生は戦えるんだ、という強い意志を持った決意の言葉なのだ。つまり『アナスターシャ』は懺悔と後悔の悲しげな曲ではなく、決意と誓いで自らを鼓舞する曲であると言えるのではないだろうか。

*2番以降追記したいとは思うけどとりあえず1番のみ。

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