君だけの僕
何も後悔なくこの日を迎えることができた。卒業が発表される前も、されてからも、年末で活動が一旦終わってからも、卒コンの日程が発表されてからも、あれやればよかったとかこうすればよかったとかそういう後悔はひとつもない。
この日を迎えるために、この日のためにこの10年を生きてきたんだって思う。好きになってからたくさん私を救ってくれたその人の最後の姿をこの目で見届けるために生きてきた。きっとそう。
1日目の頭からぼろぼろだった。登場から花道を歩くのはあの子と同じだなとか、お辞儀で始めるのはあの人だなとか、1曲目がここにはないものだったことも白衣装だったとこともフルだったことも嬉しいなとか、何もかもに泣いてしまってた。サイリウム振ることもできないほど涙が止まらなかった。バスラで進めた時間をまた少しだけ戻して、そして再び進めたみたいに、齋藤飛鳥がいる乃木坂46が戻ってきたことが嬉しかった。
やるって信じてたあすさくでの他星。イントロかかった瞬間にブワッとまた涙が溢れてた。2019全ツ当時とは振付もふたりの関係性もパフォーマンスも違っててたしかに対等なパフォーマンスだったし、コーナー頭のアナゴ終わりで着ていた水色衣装がここであすさくで揃えるためだったのもグッときてしまった。曲終わってからのハイタッチとさくちゃんの涙も、次の曲の空扉が始まってもふたりで花道を歩いていたのも、体を寄せ合いながらさくちゃんが拗ねて離れたりしながら一緒にふたりで下手側トロッコに乗って行ったのもぜんぶよかった。めちゃめちゃ泣いちゃった。空扉始まったけどこれは絶対目を離しちゃダメだってオペラグラスでふたりの姿をずっと見てた。ユニット曲で2日とも形を変えずにやったのも、ペアでやったのもこの他星だけで、それはそれだけさくちゃんが特別だったってことで、ライブの構成演出でそれを伝えてくれたのもすごくすごく嬉しかったって思う。
形を変えなかったのはインフルエンサーも同じ。あすやまWセンターを変えずにやったことも同じようにやまが特別だったってことなんだって思う。対等に並んで立てるようになったふたりのインフルはもうとっくの昔にカタチになってて、もうこの先見ることができないふたりのインフルを絶対見逃したくなかった。
Sing Out!は2日ともどっちも今までで1番だった。1日目は乃木坂バンドと。演奏と手拍子とパフォーマンスでひとつになれたのを感じたし、演奏が止まってアカペラで手拍子をしたところはもう感極まってずっと泣いてた。2日目は曲解禁からずっと夢見てた一緒にクラップして一緒に歌うってことが最後の最後に叶った瞬間だった。まさに「この想い届け Clap your hands 風に乗って飛んで行け 愛の歌 一人ぼっちじゃないんだよ Say hello! Say hello! Say hello!」で、前が見えないくらいぼろぼろ泣いてた。大切に大切に繋いできたSing Out!でひとつになることを最後の最後まで忘れずに2日ともやってくれたことが本当に嬉しかった。ありがとう。
アンコールのこれからはMV衣装だったね。とりんぎょに乗って登場したときからちゃんと気づいてたよ。ほんとに上手だったし素敵な歌声だった。「目の前の景色じゃなくて もっと先の自分の道を 考える日が来た さよなら」、ちょうどMVでも泣いちゃう2Bのところ。またひとまわりめちゃめちゃ泣いてしまった。
2日目の影ナレ、菊地さんの抑揚ないアナウンスもコメントもかえってグッときたし、今野さんの言葉とみんなでの円陣と、始まる前からもうぼろぼろ泣いてた。この人たちはずっとあたたかったのを思い出した。嬉しかった、心から。
2日目はもうずっと泣いてた。コール全然できなかった、サイリウムも振れなかった。オペラグラスで表情まで見たくても泣きすぎてて涙がそこに溜まってしまって全然見えなかった。肩にかけたタオルをぎゅってしながら、涙で滲んだ視界をなんとか拭ってその姿を逃さないように目を開いてるだけで精一杯だった。頭のジコチュー、インフル、シンクロの時点でもうこれはダメかもしれないって、ほんとに涙止まらなくて、どうしようもなくて、寂しくて寂しくて仕方がなかった。ううん、そんなこと考えるよりも先に涙で前が見えなかった。
5期生との絶望の一秒前も、4期生とのI see…も、3期生とのトキトキメキメキも、かっきーの言葉も蓮加ちゃんの言葉もぜんぶ嬉しかった。涙を流して予定していた尺よりもずっと時間を取って言葉を届けたかっきーも、乃木坂の未来を背負う覚悟伝える蓮加ちゃんも、それでも最後に「飛鳥さんに〜トキトキメキメキ〜!」ってはっちゃける3期生もみんな大好きだった。ありがとう。
この2日間を通して、後輩たちに乃木坂を託して、乃木坂を託した後輩たちをファンに託して、どこまでも乃木坂を愛して、最後の最後までグループを想って活動する人だった。後輩たちに「乃木坂をよろしくね」って涙ながらに伝えたあとに、「この曲を一緒に歌わせてもらおうと思います」って続く曲名が『人は夢を二度見る』だなんて露ほども思わなかった。だって衣装は2021紅白のお花の衣装だったし、中央のポジションに入ったし、違う曲が頭には浮かんでた。何度思い返しても泣いてしまう。いや、やるかもとは少しは思ってたよ、思ってたけど、でもそれはこの形じゃなかった。こんなにまっすぐやるとは思いもしなかった。泣きながら曲名を言った瞬間に倒れそうになってしまった。イントロでくぼしたそれぞれと目を合わせたのも、一緒に踊ってたのも、落ちサビくぼしたがしゃがんでる飛鳥ちゃんの手を取って目を合わせて、乃木坂を託したような表情をした飛鳥ちゃんが後ろに行って、ラスサビをメンバー全員の1番後ろで踊ってたのも、ぜんぶぜんぶ本当によくて、信じられないくらい泣いてしまった。
本編ラストのここにはないものも。「大切な曲」「みんなが美しく踊ってくれる大好きな曲」。さくちゃんの表情も見えた。バスラで懸命に背負ってくれたの本当に嬉しかったんだよさくちゃん。ありがとうね。こんな素敵な曲を最後にもらえてしあわせです。卒業がここにはないものでよかった。心から思う。ずっと思ってる。
ドレス姿、綺麗だったな。本当に。とっても。最後までグループを愛して、後輩たちを愛して、ファンを愛して、関わるすべての人を愛してた人だった。そういうところが大好きで、だからずっと10年も好きだった。もらった愛を、恩を、返せてたかって言うときっと十分ではなかったって思ってしまうけど、次に繋げて、送っていけたらって思ってる。約束する。
さくちゃんの「これからもここで一生懸命踏ん張って頑張るので」も、「自分で自分を認めてあげられるようになったら、また会いに行きます」も、「お世話になりました」も息できないくらい泣いた。寂しいのに、不安でいっぱいだろうに、それでもお別れだから心配させまいと強くあろうとするさくちゃんを想ってまた泣いてしまう。逆に泣き崩れてしまう与田ちゃんにも、「最後まで頼れる後輩になれなくてごめんなさい」にも、また。梅ちゃんが泣くのを誤魔化して笑っちゃうのもぜんぶ涙止まらなかった。ファンから見えないところでも、知らないところでもグループを想ってメンバーを想ってたくさん飛鳥ちゃんがしてきたことの、きっとほんの一部分だろうけどそれを最後に見せてくれたのも嬉しかった。私が好きだったその人はどこまでもカッコよかった。
グループを去る最後の曲にジコチューを選んだことも信じられないくらい泣いてた。嬉しかった。後輩たちに乃木坂を託すけど、ファンに後輩たちを託すけど、それでも「この瞬間を無駄にはしない 人生あっという間だ 周りなんか関係ない」ってことはこの2日間の、11年間の最後に送るメッセージのひとつでもあったって思ってる。きっと。
上に消えていく退場の仕方、最後もあの人だった。お辞儀で始めて、最後は飛んでいって終わった。名前は出さない、言葉にはしないけど、それでも確かにそこにあった。
今の感情として1番近いのはきっと失恋なんだと思う。苦しい。まだ全然苦しくて、日常に戻っていく他の人たちを薄目で見てる。いわゆるガチ恋リアコみたいな感じで恋してたわけではなくて、付き合いたいとか近くにいたいとか、強がりでもカッコつけてるわけでもなく本当に全くそういうのじゃなくて、アイドルとファンの関係でこの先もずっといたかった。ただそれだけだった。女性アイドルでそれが1番難しいのはわかってるけど、それでもずっと一緒にいたかった。ライブ中、やめないでってまた思ってしまった。もうとっくに覚悟して整理つけてたのに、去年1年は今年がきっと最後だからって後悔しないように過ごしてたし過ごせたのに、叶うわけないのもここでやめる方がいいに決まってるのもぜんぶわかってるのに、それでも寂しくてつらくて、涙止まらなくて、行かないでって何度も何度も声に出してしまった。
ごめんね。わかってる。大丈夫。大丈夫だから。
人生でした。人生そのものでした。
好きになってからの10年には、つらくてどうしようもなかった時期も含まれてて、その度に飛鳥ちゃんに救われて、飛鳥ちゃん自身のつらい時期もきっと重なるように存在してて、そうして一緒に青春を過ごして人生を歩いてきたから。もし次に違うアイドルを好きになって、同じように濃い時間を過ごして、次の10年を生きた先でその人とのお別れがあったとしても、きっと同じにはならない。もう2度とない、人生1度きりの時間だったんだと思う。
あなたのおかげでわたしはこの10年を生きてこられました。大好きでした。世界中の誰よりも。これからもずっと。こんなに1番に想う人は、この人生できっとあなただけです。
あなたと出会えたことが、あなたと過ごした10年が、かけがえのない宝物です。ありがとう。
まっすぐ進んだその先がきっと晴れであることを願っています。
いってらっしゃい。