FicS通信vol.5:キャラクターに表情がついて見える現象

日本はキャラクター大国である。
夢云々を抜きにしてもキャラクター大国である。漫画やゲームのキャラクターだけでなく、サンリオやサンエックスなどから発表されるキャラクター、またトリピーやひこにゃんから始まったご当地キャラブームと、我々の生活にはキャラクターが満ち溢れている。

何故日本はこんなにもキャラクターに満ちているのか。

――という話をすると長くなるので、「キャラクターに表情がついて見える現象」についてのみここでは語ろう。

キャラものグッズはフィギュア、タペストリー、キーホルダー、アクリルスタンド、ぬいぐるみなど多種多様に発売されているが、それらのキャラクターは別に無表情なわけではない。

だかキャラクターに囲まれ育った我々は、キャラクターの表情を〝深読み〟する特殊技能を備えている人が多いのだ。

キティちゃんなどのキャラクターものに多いのが、表情がはっきりと書かれていない、という特徴である。あまり聞かない名称だが、これらを無表情キャラ、略して「ムヒョキャラ」という。
こういった表情に乏しい無表情なキャラクターが流行る背景には、こちらの気持ちや感情によって「表情が変わって見える」という理由があった。
表情のないキャラクターだからこそ、こちらが悲しんでいれば一緒に悲しんでくれているように見え、こちらが喜んでいれば一緒に喜んでくれているように見える。

では私達の持つキャラクターグッズはどうか。

当然表情はある。が、その表情から変わることはない。

『表情の変化がない』=『表情が乏しい』と言えるだろう。いつも同じ表情なのだから、その表情にこちらが慣れてしまうのだ。
そして、ムヒョキャラと同じ現象が起きる。

そもそも笑顔だって、嬉しそうな笑顔・楽しそうな笑顔・悲しそうな笑顔・愁いを帯びた笑顔といろいろある。実際にキャラクター側の表情が変わっているわけではない。変わっていようものならただのホラー現象である。

この現象が起きるのは、表情認知について脳の大脳新皮質・偏桃体、そしてオキシトシンが関係してくる、と思われる。

魂本を読んでくださった方ならここまで言えばもう次の台詞は想像できるだろう。うん。また、なんだ。

詳しい事は現在でも未解明である。

ただ人間自分の感情などにより相手の表情を認識する際もバイアスがかかってしまう。これは事実で、これがキャラクターの表情が変化して見える理由だということはおそらく間違いない。

これは人間同士のコミュニケーションでも起こっていることだ。

例えば仕事でミスをやらかしてしまったとき、笑顔で注意されただけで、相手は本当に気にしてないのにその笑顔が怒っているように見える、とか。

そのバイアスがキャラクター相手に起こっているだけで、こちらの頭がおかしいとかではない。もちろんキャラクター相手にはそのバイアスがかからない人だっているし、そもそも人間同士ですらバイアスがかかりにく人だっている。この現象が起こるかどうかはまちまち、ということだ。

でも自分のバイアスのせいだとしても、相手が自分の感情に寄り添って表情を変化させてくれているように見えるのは、なかなか嬉しいものである。

サポートは新たな知識を得るための本代として使わせて頂きます。"こんな記事が読みたい"というリクエストありましたらツイッターまで!!