FicS通信vol.8:自分の中の彼と次元の向こうの彼との関係
FicS通信vol.1にて、「二次元との恋愛は基本的に自分の中で完成し自分の中でだけ完結します」「あなたの彼はあなただけの彼。つまり彼の存在自体が二次創作です。原作とは切り離してしまった方が楽です」と、書いていました。
そして質問を頂きました。
「自分の中の彼と、次元の向こうの彼との関係はどうなっているのでしょうか」
確かに。すごい曖昧に書いてた。すいません。
だから、あなたが考える”彼”はあなたの中にいるただひとりなのです。
しかし全く原作と別物になってしまったわけではありません。原作やその他知識を得れば彼はどんどんアップデートされていきます。人間だって新たな知識を得ればアップデートされます。これは同じですね。しかし彼らは肉体を持ちません。これが大きな違いです。フィギュアなどのグッズが多数出ようとも、それは彼の形を模した偶像であって彼自身ではない。物理的な体を持たない彼らにとって忘れ去られることはすなわち死を意味すると言っていいでしょう。だから彼らは忘れ去られる事を恐れます。
さて、結局は上記の通りの関係なのですが、わかりにくいですね。
例1:神道における神様と分霊
個人的には、神道における神社の関係に例えるとわかりやすいかと思います。
神がいて、メインの神社があって、分霊を祀る神社がある。
神がキャラクター、メインの神社が原作という舞台、そして分霊が我々の中にいる彼ら。そう考えています。
神道における日本の神々は、無限に分霊することができるといわれており、同じ神様の神社が日本各地に点在しているのは分霊されているからです。
また、神社に一柱の神だけ、というのはあまり見かけません。その土地に関連する神々が何柱か祀られています。また、元は同じ神様でも関連する神話、エピソードが異なったりすることがあり、同じ神様でも一概にこうとは言えません。
これって、キャラクターの解釈をこじらせるオタク達に似ていませんか?
各神社には御神体があるわけですが、御神体って、場所自体もそう呼ぶことがあるらしいです(Wikipediaより)。
我々が信じている彼というのは自分の中にいる彼なので、自分が御神体と言えてしまうわけです。強いな?
例2:インターネットにおけるサーバーとソフトウェア
「原作やその他知識を得れば彼はどんどんアップデートされていきます」と上記に書きましたが、これは神様と分霊というよりはサーバー運営元とソフトウェアに例えるとわかりやすいと思います。
スマホのアプリは定期的にアップデートされていきますよね。スマホ自体のOSだって更新されていきます。私達が知識を得ることによって更新され、原作という運営元のアップデートによっても彼らの情報は更新されていく。
私はそもそも神道における神様と分霊の関係はインターネットの空間にとても近いと思っていまして(まあ攻殻機動隊の影響なんですけれども)、メインのサーバーがあって、そこから各自が好きなように好きなものをダウンロードしていく。神社もその地に祀りたい神様の分霊をダウンロードしてご神体にして、祀る。それは完全に切り離されたものではなく一応薄く繋がったままで、時折アップデートなどの更新が入る。
インターネットと繋がる手段はいくつかあって、そしてそれらをどう使うかは本当にいろいろで、アプリでゲームをするかブラウザでネサフをするか動画を見るか音楽を聴くかエトセトラ、私達が得るものも様々ですし、それらからどう影響を受けてどう動くかも様々です。私達がなんらかの媒介を通して彼らを知った後、彼らは私達の一体どこに宿るのか。実際私達の脳なり心なりに宿っているのかもしません。そして私達は彼らを、創作などの形で昇華させていく。昇華させることによってフィードバックが起き、もしかしたら運営元、サーバーに影響を及ぼすことだってあるかもしれない。けれどそれは自分がフィードバックになるような行動をしなければならなくて、そうでなければそれは完全に自分という媒体の中で完結することになります。一度ダウンロードしたソフトは、オフラインにしたパソコンの中でも使えるように、もう原作という運営元やサーバーが更新されなくなっても生き続ける。
結局彼はどこにいるのか
これらはあくまでも”私の”考えですので、異なる人だっていると思いますし、自分なりの納得のいく考え方を見つけるのもまた楽しいと思います。
私は彼は私の内部かあるいは隣にいるものと思っています。私という媒体で原作と繋がり、そこから私にダウンロードされた彼という一個体で、原作と同一のものとは思っていません。けれど全く切り離されてしまったわけではなく、情報があればアップデートされていくでしょう。もちろん私が彼にふさわしい知識を見つけることがあれば、そのときもアップデートされます。
どんどん知識が増えていき、知見が広がっていく。私がそうして成長すれば、彼も成長する。彼は生きているのです。私達と同じように、情報を経て知識を蓄え知見を広げ、私が生き続ける限り彼も生きている。
彼がいる媒体というのが自分自身では違和感がある、という方もいるでしょう。その場合は媒体、いわゆる御神体がフィギュアだったりぬいだったりタペストリーだったり、彼を象徴する物が御神体となっているのではないでしょうか。
私は多くの彼のグッズを持っていますが、これ!と定まったものは無いし、グッズがなかったとして彼と交流できないか、と問われれば否と思うので、きっと私の彼は私の中にいるんだろうなぁ、そう思っています。
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