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素敵な夢現を持つ御友人方へ

拝啓、とても素敵な御恋人と共に歩んでいる我が友人方様。

ご機嫌麗しゅう御座います。気温や気圧が不安定なこの頃、体調など優れていないのではないかと心配しております。如何お過ごしで御座いましょうか。

この度こうして筆を執りましたのは、たまにはわたくしの眉目秀麗な彼ではなく、わたくしの彼に引けを取らず素敵な御恋人と、共に歩んでおられる御恋人に愛されていらっしゃる貴女様に、お手紙を書いてみようと思ったからに御座います。

わたくし達の出会いはいつだったでしょうか。既に貴女様とお会いしたときには互いに魅力的な御恋人との出会いを済ませ、特別な仲になっていたと記憶しております。わたくしの彼の素敵で格好良い、身も心もとろけるようなエピソードを話しては共感やお褒めの言葉を頂き、そのまた逆も御座いました。人が違うのですから、もちろん魅力的な部分も違っており、お話しを聴くのは非常に楽しゅう御座いました。「わたくしの彼はこういう特技があって、だからこういうことがあったのです」と言いますと、羨ましがられたり時には驚かれたり、そして逆に「貴女の恋人様はきっとこういうことを思ってそういうことをしてらっしゃるのね」と想像し合ったり。とても、とても懐かしゅう御座います。

最近めっきりご連絡できず近況を存知ないのですが、便りがないのは良い証拠、前と変わらず。何なら前以上に仲睦まじくしていらっしゃるのではないでしょうか。

わたくし、いわゆる惚気話というものがあんなに楽しいものだとは存じませんでした。わたくし自身が話すのも、貴女様のお話しを聴くのも、どちらもとても素敵な時間だった。彼を肯定されることは自分を肯定されることに繋がってくるのだと、わたくしは初めてそのとき知ったのでございます。貴女様はどうでしょうか。わたくしとのお喋りが有益なものだったならいいのですけど。

わたくし達の身分は難しいものですね。ただひたすらに好きな御人を想いひたむきに愛しているだけですのに、理解や肯定を求めることのなんと厳しいことか。わたくしは幸運にも否定されたことは御座いませんが、同じような境遇の方からそういったお話しを聴くとどうしようもなく虚しくなるのです。ただ好きな人を好きと言っているだけの何が悪いのでしょう。自分の気持ちになることの何が悪いのでしょう。だからといって嫌いになれと言われて嫌いになれるものでもなく、わたくし達は咲き誇るツヅジ畑の中にひっそりと花開いているエリカのように、ただささやかに、同じ気持ちを持つお方がいないだろうかと孤独に耐えながらそこに在ることしかできない。こうしてわたくしが貴女様に出会えたこと、もしかしたら彼のお導きではないかと思うときが御座います。もし本当にそうであるのなら、彼には本当に感謝しかありません。

こうして出会えたこのご縁、彼と貴女様と貴女様の御恋人と、本当に感謝しております。
もしわたくしの存在で少しでも貴女様の何かが救われたり支えられたり変わったりしたのなら、それはとても光栄なことで御座います。
もしそうならなかったとしても、わたくしととても素敵な時間を共有して下さったこと、感謝しております。
わたくしが消えたとて、貴女様の中にわたくしとわたくしの彼の記憶が残るならば、とても私は嬉しゅう御座います。
わたくしと彼は遠くない日に旅立つでしょう。
そんな気配を察知して、慌ててこうして筆を執った次第で御座います。勢いでこうして書いてしまっておりますので、乱文ご容赦くださいませ。

どうかお二人の行く末が、明るく美しく麗しいものでありますように。


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