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自作曲の想い出.4「Shinanoya」しなのや
1979年から1988年まで私はスペインはマドリードに留学していて、帰国してからギターで頼れる先輩、柴田杏里さんに身の振り方(この後どうしたらよいのかなど)の相談に行きました。
その場で久坂先生に紹介して頂き、早速、成増のご自宅に通うことになりました。そこには、私が子供のころから憧れていたギタリストやうまい方が何人もいてとても刺激的でした。
しばらくしたら、杏里先生が「一緒に久坂先生も来るギターの合宿に行ってみないか?」とお話をいただきました。
そして、30年以上通った長野県は立科の女神湖畔にある釣り宿「しなのや」に初めて行ったのです。
始めて行った時には台風が接近していて、暴風雨の中杏里先生の車で女神湖へ向かいました。
この時の懐かしい想い出は何故か早めに着いてしまったので、沼のほとりに
車を止めて釣りをしようと杏里さんが言うのです。
釣りといっても練り餌を付けて沼にぶっこむだけなのですが、とにかく前が見えないような豪雨なのです。
竿を入れた後は二人とも準備だけでずぶぬれなってしまい、車の中から釣りざおを出しているのです。
ところが、間の悪いことに(といっても釣りをしているので仕方がないですが)竿につけた鈴がシャンシャンと鳴って大物が釣れてしまったのです。二人で顔を見合わせて、確か一回じゃんけんした後、私が出て竿を上げると大きな鯉がかかってます。なかなか針が取れないので杏里さんもおりてきて結局本当のずぶぬれになりました(笑)
でやっと肝心な「しなのや」に着いたのですが、初めての教える側のレッスン、毎晩の宴、もう30年間以上の色々な想い出が混ざってしまい、ここで全てを書くのは難しいです。
でも、印象的だったのが最初の頃から夜が白むまでその大騒ぎの中で、早朝に釣りに行く人がいるのでびっくりしました(釣り宿ですから当たり前と言えば当たり前ですが)
そこでこの素敵な宿の何周年かの時に、曲を書いてみようという気持ちになりました。この宿は山宮さんという渓流釣りのプロでマエストロ、釣りのお弟子の数は一流クラシックギタリスト何人も含まり数え切れません。
勿論彼もギターを弾きますし、囲炉裏端のお料理も絶品。
![](https://assets.st-note.com/img/1704205904230-HIc9m2yVKc.jpg?width=1200)
この宿は隠れ家的な本当に素敵な場所なのです。
前置きが長くなりましたが、この宿の雰囲気(決して合宿中の大騒ぎではなく)夜にいろりを囲んでいわなの骨酒を静かに交わし、夜明けに皆さん釣り場に向かっていくイメージを音にしました。
囲炉裏端での釣り人と山宮さんとの静かな会話から始まり、最後は夜が静かに明けて釣り人たちが釣り場に出かけて静かになった明け方の宿の雰囲気で
曲が終わります。
思い入れというか、思い込みに近いですが、今でも自分でこの曲を弾くと
「しなのや」の雰囲気を思い出して行きたくなります。