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指揮者修業、その9

指揮者の先生に師事した時に習った事や、その後自分でもレッスンの度に整理したことの一つに、フェルマータがあります。
イタリア語ではバス停の事を言いますし、音楽用語も一度止まってから
また演奏を始めるという定義です。
ルネッサンス、バロック、古典、ロマン派、近代と少しずつニュアンスが変わってきているのも事実ですが、楽典の本には「約1.5倍~最大4倍」なども見かけます。まず音符の上に書かれるのですから、その音価以上の音が伸びるのは当たり前ですね。

問題はどの位伸ばすのか?
これはやはり次に来る音楽のテンポに関わってくる問題だと思います。

Prestoのようにうんと早い音楽が一度フェルマータで止まり、その後に
Graveのようなうんと遅い音楽が来た場合、Graveに入るアインザッツとしてロングブレスをしますが、その間が音が伸びたフェルマータだとすると
4倍以上にもなりますし、逆にGraveで止まってPrestoに入るためのショートブレスなら、0.025しかないような場合も考えられます。
下の譜例を参考にしてくださいませ。

後は面白いのは曲の最後の伸ばした音符の上によくフェルマータが書かれますが、最後の休符や、終始線の上にも書かれることがあります。
これは面白いので譜面で説明しますね。

曲の最後の音にフェルマータが付くことは多いですが、決して好きになだけ伸ばして良い訳ではありません。
音価のある音符の上(または下)に書かれているのでその音価を伸ばして
それから音を閉じる動作(アインザッツ)を改めて行いその分が伸びる事になります。

最後の終始線の上に書かれたものは、音を閉じた瞬間にその音楽が
終わりでは無くて、閉じた指揮棒や手が開かれるまでにもう一息あってから
閉じた物を開放する感じです。

この手の音楽関係の事は指揮者修業をしていなければ、考えたことも無かったのではないでしょうか。
でも、棒を振る知識の一つとして確実に使用しますね。





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