【編集秘話】「下咽頭がん ステージ4」の宣告から『歯科医療のシステムと経済』出版まで 水谷惟紗久編集長 From being diagnosed with ``Hypopharyngeal cancer Stage 4'' to publishing the book ``Dental care system and economy''
日本歯科新聞社で発行した書籍の制作の裏側をご紹介する【編集秘話】シリーズ。その書籍が生まれた背景や苦労話など、担当編集者だけが知る著者の人柄や魅力もお伝えします。
今回の【編集秘話】は「歯科医療のシステムと経済 ―18世紀から21世紀まで」の水谷惟紗久(月刊『アポロニア21』編集長)。
「下咽頭がん ステージ4」の宣告!
『月刊アポロニア21』編集長の水谷惟紗久は、40代後半の若さで下咽頭がん・ステージ4の宣告を受け、2018年12月19日に手術をしました。
1カ月後、退院してなんとか働き始めるも、取り切れなかった病巣の治療のため、再び2カ月入院して、放射線や抗がん剤の治療を受けることに。
水谷編集長は、「声を出せないことは何とかクリアしていけると思っていたが、その時ばかりは絶望的な気持ちになった……」と言います。そして、「この先、治る保障もない今、自分が後に残したいことはなんだろう… …」と考え、思い立ったのが、本の執筆だったと言います。
入院中から、本の準備がスタート!
「本なら、発行日が決まっている雑誌と違って、放射線治療などを受けながら、体調の良いタイミングを見て準備が進められる。ずっと、まとめたいと思っていた医療システムの歴史などを本にしよう!
それから、アポロニア21で取り上げてきた大事な内容も、一緒にまとめよう!」 そう考えて、必要な資料をそろえて入院しました。
体調の波に翻弄されながら、【第1章 歯科医療システムの過去と未来】の準備が始まったのです。
看護師さんから、「水谷さん、パソコンのキーボードの音がうるさいって、周囲から苦情が入ってますよ!」と怒られながら…。
安田先生と、久保寺先生にご協力をお願い!
退院後は、接着『月刊アポロニア21』でおなじみ、接着歯学の第一人者、安田登先生に、【第2章「21世紀の歯科が見える15のキーワード】について相談しました。
すると、「水谷君、働きすぎだよ! 病気で入院したんだからもっと休んだほういいよ!」と心配し、執筆・編集をお手伝いしてくださることに。
次に相談したのが、『アポロニア21』で、長年、国内外のデンタルショーについて報道してくださっている久保寺司先生(東京都開業)です。
久保寺先生は、「ちょうど、デンタルショーレポートの流れをまとめる重要性を考えていたので、驚きました」と、執筆を快諾してくださり、【第3章 国内外の展示会から見えたデンタル器械市場の動き】の掲載も決まりました。
「忖度しない」3人組
この3人の共通点を勝手に挙げさせていただくとしたら、ズバリ、極めて「忖度しない」こと。だから、周囲から支持される、本音の報道をしてこられたのではないかと思います。
本の校正では他に、以下の先生方にもご協力いただきました。
赤司征大 先生(ホワイトクロス代表)
二木立 先生(医療経済学者)
深井穫博 先生(深井保健科学研究所所長)
石井拓男 先生(東京歯科大学 社会歯科学研究室)
本の仕上がり日が偶然にも!!
こうしてつくった本が出来上がったのが、偶然にも、水谷編集長の手術日から一年後の2019年12月19日でした!
ちなみに水谷編集長の体調は…。「タバコをやめて、お酒もほとんど飲まなくなったので、ごはんがおいしい!」。料理の腕もどんどん上がっているとのこと。
声が出ないことも、「周りが心配するほど不便はない。電気式の人工咽頭機を使ってるから、取材もできるし……」と、平然としています。
某社長のセリフが傑作です。「水谷さんは元々変わってるから、機械を使って話していても、以前よりもう少し変わった人になったというだけ 」。
心配して応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
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■「歯科医療のシステムと経済 ―18世紀から21世紀まで」の立ち読み動画
【追記】
記事を読んで、「人口咽頭機ってどんなもの?」と思った方も多いと思います。
水谷が話している様子は以下の動画からも、ご覧いただけます。ご興味がありましたら、ぜひ視聴してみてください。
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