こっそり編集者のホンネ「取材先の先生への信頼度が上がる瞬間!」
取材していて、「この先生はすばらしい!」と信頼度のメーターが跳ね上がる瞬間があります。
あくまでも「アポロニア21」編集者限定の感想で、「え、そこ⁉」と思われるかもしれませんが…
1.「分からない」に、ためらいナシ!
「この先生は博識!」と感じる先生ほど、「その理由は分かりません」と答えることにためらいがありません。
「子どものむし歯はなぜ減っているのですか?」など、基本的と思われるようなことでも、「いろいろな要因が考えられますが、厳密には分かっていません」ときっぱり。信頼性の高い論文や疫学調査などの存在を把握できているからこそ言い切れるのだと思います。
「安全」「最先端」「エビデンスが確立されている!」などの言葉を多用する先生は、かえって不安になります……。
【印象的に残っているのは、こんな先生!】
〇歯周病の研究者(落合邦康先生)
「なぜ歯周病は、相当進行しても痛くないのだろう?」と疑問に思ったという落合先生。
「痛い!」という重要な信号を抑えてしまう「酪酸」の存在にたどり着きました!
『アポロニア21』2024年8月号「歯周病はなぜ『痛くない』のか?」
〇言葉の研究者(七沢賢治先生)
言葉を研究し始めたきっかけをうかがったところ、「高校生のときに、“あ”は、なぜ“あ”なんだろう? 言葉は、なぜ文節でつながっているのだろう?と考え続けた」とのこと。
そんな根本的な常識から疑う先生のお話は、深みがありました。
2. 目の前で変化・進化する!
この業界に長くいると、逆に歯科医療の根本的なところが分からなくなっていきます。
歯周病の原因ひとつとっても、「ブラッシング不足」「細菌が…」「咬み合わせが…」「糖尿病が…」など、先生によって注目するところがバラバラです。
取材中、うっかりその先生と異なる考え方について話してしまうと、「歯科医師でもない、素人のくせに!」とムッとされて、へこんで帰ることも少なくないので、考え方が固定している先生と話すときには、あまり他の先生のことを言わないなどの配慮が必要です。
他の考え方について、おそるおそる話してみた時に、「ぼくも以前はそうしていたけど、結局半年ぐらいしか持たなくて」「ああ、その治療は、たしかに〇〇のときには、効果があるかも。試してみようかな」とか、など、柔軟にその場で吸収したり、アドバイスしてくれたりする先生は、深い博識をお持ちなのだと感じることが多いです。
そして、その後も、長―――いお付き合いになることが多いです。
【印象的に残っているのは、こんな先生!】
〇水素水研究の第一人者(太田成男先生/日本医科大学)
「水素水のメリットばかり聞くことが多いのですが、風邪が治りにくくなるから、熱の出始めには飲まないほうがいいと薬剤師の方に聞いたことがあるんですけど……」と恐る恐る言ってみました。すると、太田先生はちょっと考えた後、「たしかにそれはあり得る。水素水は、発熱を抑制するから、ウイルスと戦う邪魔をしてしまうのかもしれない…」というようなことをおっしゃいました。
機序を知っているからこそ、その場ですぐに考えられるのだと感じ、信頼が増しました。
『アポロニア21』2021年6月号「再注目!水素への期待と留意点」
3.「違った!」と思ったら、すぐ訂正!
時々、「この記事はおかしい!」と、編集部にクレームが入ることがあります。
本当に間違えていることもあるのですが、「いや、でもそれは…」と思うこともあります。
しかし、「でも…」と言ってしまうと、ご立腹して電話を切られ、悲しい思いをすることもあります。
しばらくたって、「ごめん。あの時はおかしいと思ったけど、そういうこともたしかにあるんだって、分かった!」など、わざわざ謝ってくださる先生もいらっしゃるのです。半年後だったり、2年後だったり…。
こういう先生とは、長くお付き合いが続くことが多いです。連載陣に加わっていただいたケースも複数あります。
「おかしいことはおかしいと声をあげる」
「間違った!と思ったら謝る」
この2つともが、私たちが「こんな先生にお願いできたら…」と考える執筆者像に合っているのかな…と思います。
4. 対応が早い!
新聞社の特性として、スピードが求められることが多いです。
土壇場で、「取材予定が変更になった!」「やっぱり掲載しないでくれと言われてしまった!」「重要なニュースが飛び込んできた! なんとかコメントが欲しい!」などといったことも珍しくありません。
そんなとき、『アポロニア21』の連載陣、準連載陣の先生は、「対応がめっちゃ早い先生」が多くて、助けていただけるので頼もしいです。
編集長が入院したときも、さまざまな先生にお世話になりました。
この場を借りて、心からお礼申し上げます…。