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【注意喚起】ライブ会場で見つけた忘れ物を、なりすましのサイコパスに騙し取られた話

 こんばんは、しかです。

 今回は、非常に残念な経験を共有しなければなりません。
 記事のタイトルの通り、ライブ会場で見つけた忘れ物を、持ち主ではない方に騙し取られるという事件が起きました。今後同じ事件が起こってほしくないので、注意喚起のために本記事に詳しい経緯を記すことにしました。
 この事件は、いわゆる2.5次元のミュージカル、『ミュージカル刀剣乱舞』(以下「刀ミュ」)の公演で起きました。他ジャンルの方にも伝わるよう、できるだけ一般的な言葉で説明します。心無い犯罪者のために辛い目に遭う方が減りますよう、ぜひ拡散してほしいと思います。

 なお本記事は、忘れ物の持ち主の方より、記事化の許可を受けて執筆しております。私自身が実際に経験した・感じたことを中心としてますが、一部持ち主の方からご提供いただいた情報も含まれることをご承知おきください。

概要

 詳細は長くなるため、まず概要を書きます。

今回起こったことの概要

  • 公演終了後、近くの座席に残っている忘れ物を見つけた

  • 周囲の方と協力し、持ち主を探した

  • 持ち主として名乗り出た人がいたので、忘れ物を渡した

  • 後日、忘れ物が本来の持ち主のもとに返っていないことを知った

 つまり「持ち主」として名乗り出た方は、持ち主の振りをして忘れ物をだまし取った、悪意のある第三者だったことになります。

結論の概要

  • 落とし物・忘れ物をしないように気を付けよう

  • イベント会場で落とし物・忘れ物を見つけたとき、持ち主を大々的に探すのはやめ、会場スタッフにそっと届けよう

  • 座席でものを拾ったときは、後で本人確認ができるよう、座席番号や状況を記録しよう

  • 持ち主を名乗り出る方が現れた場合は、座席番号を尋ねるなどして、持ち主かどうかを確認してから渡そう

  • 貴重品(チケットや財布)だけでなく、グッズも盗難・転売の対象になり得ることを意識しよう

 どうしてこのようなことが起きたのか、そして結論になるかは、詳細に説明しないと伝わらないと思います。長い文章ですが、お時間のある方はぜひご一読いただき、教訓としていただければ幸いです。


実際にあったこと

 2024年10月19日、土曜日、広島グリーンアリーナ。
 私は連番チケットを持っている方に同行させていただく形で、刀ミュのライブ『玖寿 乱舞音曲祭』の下手側アリーナ席にいました。東京から遠征で来ていたこと、良席で公演を見ることができたことから、テンションが上がっていました。

 21時頃、公演は終了しました。退場時は多人数が一斉に移動し、通路が詰まります。私達は、座席沿いに横に移動しながら出口を目指そうとしました。その時、2列くらい後ろを同じように移動されていた方が、こちらに向かって叫びました。

 「そこに何か落ちています!近くの方、拾ってください!」

 一字一句合っているかは微妙ですが、だいたいそんなようなことを言われたかと思います。たまたま一番近くにいた私が拾ってみると、大包平と小竜景光という、刀剣乱舞のキャラクターのぬいぐるみ2体が入った透明のバッグでした。いわゆる「推し」のぬいぐるみで、持ち主にとっては大切なものだということは想像がつきます。
 
 「持ち主の元に返さねば!!」

 私のみならず、周囲の方もそう感じたことと思います。
 今思うと、この時冷静に座席番号を確認すべきでしたが、終演後の高揚した気分ではそこまで気が回りませんでした。

 忘れ物を手にして最初に考えたことは、会場スタッフに渡すことでした。私自身も過去の公演で忘れ物をし、会場に問い合わせて無事に手元に戻った経験が2回あります。このぬいぐるみ達もきっと持ち主の方に届けられるだろう、と思いました。

 不意に、近くにいた方が「大包平と小竜くんのぬいぐるみを忘れた方、いらっしゃいませんかー!」と声を上げました。まだ近くに持ち主がいるだろう、と考えたら自然な行動です。
 私もそれに応えるように、持ち主の方が見えるように頭上に忘れ物を掲げました。持ち主を探す呼びかけは周囲の人にも広がり、いつの間にか10人以上の方々と、一丸となって持ち主を探しているような状態になりました。

 すぐには持ち主は現れず、移動しているうちに会場スタッフの近くまで来たので、忘れ物を託すことにしました。拾った座席などを尋ねられて説明していると……。

 「私のです!」

 退場列の流れをかきわけながら、1人の女性が現れました。
 今思うと、この方は持ち主では無く泥棒なのですが、私は持ち主が見つかったことに安堵してバッグを渡してしまいました。目の前の人が泥棒である可能性など、考えられませんでした。周りの人にも、その方が持ち主のように映ったのでしょう、特に止める人はいませんでした。

 ただ、今だから言えることですが、その方の印象はあまり良くなかったです。公演の最後に会場に撒かれた銀テープを、驚くほど大量に抱えていました。普通は周囲の方におすそ分けするような量で、1人で持ち帰ろうとしているのに面食らってしまいました。そしてその方はお礼もそこそこに、逃げるように去って行きました。今思うと、本当の持ち主ではないのだから、一刻も早くその場を離れたかったのは当然なのですが。
 「大々的に探されていたから、さすがに恥ずかしかったのかな」と納得しようとしましたが、大事なものを取り戻せたというのに、声掛けを行っていた周りの方にお礼を言うわけでもないのです。周囲の方も、似た気持ちだったかもしれません。「持ち主が見つかってよかった」と口にしてみたものの、なんともすっきりしない空気が漂っていた気がします。
 少しもやもやしつつも、なんにせよ持ち主には返せたのだ、自分は徳を積んだのだ、と自分を納得させながら会場を後にしました。まぁ、その認識も違ったんですけど。

 真の持ち主の方も、すぐ忘れ物に気づいて会場に問い合わせました。スタッフ総出で座席の近くを探してもらったものの、会場には無いと言われてしまったそうです。忘れ物が手元に戻らなかったことを(旧Twitter)で以下のようにポストしています。ここに写っているカバンとかわいいぬいぐるみこそが、まさに私自身が泥棒に手渡してしまったものなのです……。

 このポストは3500以上リポストされました。また私自身もなんとなくその後が気になり、X検索などしてみましたが、検索ワードが悪かったのかこちらのポストを目にすることはありませんでした。ただ、周囲にいた方が気づいて、このカバンを拾った人がいたこと、名乗り出た持ち主に渡したことをお伝えしてくださったので、盗難された可能性が高いことに気づかれたそうです。
 その後、持ち主の方はずっと、このカバンを拾った人間、つまり自分のことを探していたとのことで、すぐに気づけなかったことが悔やまれます。

 そしてほぼ一か月が経った11月17日、11月15-16日の千葉公演で落とし物をされた方のポストをきっかけに、「自分もぬいぐるみを拾ったことがある」という話をポストしたところ、持ち主の方が気づいて声をかけてくださいました。そこでようやく、「私は泥棒に大切な物を渡してしまった」という事実に気づかされたわけです。

真実を知って、考えたこと

持ち主を探す行動は間違っていたのか

 自分は「良いことをした」と思っていたのに、実際には泥棒に忘れ物を渡してしまった。つらい現実ですが、知らせてくださった持ち主の方には感謝しています。
 ただ、ぬいぐるみ達が持ち主の元に返ることは絶望的になってしまいました。善意からの行動とはいえ、私自身がそのきっかけを作ってしまったこと、周囲の方々の善意も悪用されたということが、本当に悔しいです。
 持ち主の方は、「あまり気に病まないでください」と優しい言葉をかけてくださいました。私が逆の立場でも、同じことを言ったと思います。あの状況で、会場内に犯罪者がいる可能性を考えて行動することは当時の私にも、周辺で声掛けをしてくださった方々にも難しいことです。

 結果だけ見れば、声を上げて持ち主を探し、中身が見えるように高く掲げたことは失敗だったということになります。ただ、それは持ち主よりも近くにたった1人のサイコパスがいたからです。とはいえ、1人でも悪人がいれば、その善意が悪用されうるということは、今後の教訓にしなければなりません。

どうしたらよかったのか

 悲しいことですが「周囲に犯罪者がいるかもしれない」という考えが少しでもあれば、今回の悲劇は防げたかもしれません。具体的に、どうすれば防げたのかを考えてみます。

 一番いいのは、忘れ物を拾った席を覚え、声を上げて持ち主を探すことはせず、そっと会場スタッフに届けることでしょう。ただ、今回呼びかけを始めたのは私ではないので、その点は私1人の意思ではどうにもならなかったとも思います。その場合も、持ち主と名乗り出た人に座席番号のわかる半券を提示してもらう、または過去に撮ったぬいぐるみの写真を見せてもらうなど、本人確認を行うことで防げたかと思います。また、返却時に忘れ物のカウンターまで行き、スタッフの立ち合いのもと返却するということも効果的かもしれません。

 敢えて「拾わない」というのも選択肢だったかと思いますが、私が拾わなくても他の方が拾ったと思いますし、それはそれで盗難に遭う可能性もあるので、ベストではないでしょう。自分が善意の人間だと信じるなら、まず保護することは大切だと思います。

 いろいろ考えていて、「自分で預かって、持ち主が見つかってから返したらよかったのか……?」とも思いましたが、それは自分が泥棒扱いされるリスクがあるので悪手でしょう。交番に届ければきちんと記録が残りますが、イベント会場や施設での忘れ物や落とし物は、そこで対応してもらうのが普通ですから。

 あと、「ぬいぐるみを盗む人なんていないだろう」という思い込みも、失敗だったと思います。実は今回、別の会場ではチケットホルダーを拾いました。この時は開演前で冷静だったこともありますが、「悪人が持ち主として名乗り出るリスク」がすぐに浮かんだので、周囲の方が気づく前にスタッフの人にそっと渡すことができました。落とした方が探しているだろうということも想像がつきましたが、なりすましが出ることを考え、何を拾ったかポストしたり、Xで持ち主を探すこともしませんでした。
 刀ミュのチケットは、残念ながら10万円以上で転売されていることがあります。人気公演であれば「チケットは高額転売できる」し、自分で観に行くこともできます。悪人は求めるだろう、という考えが頭にありました。
 ただ、ぬいぐるみを他人が奪っていくなんて考えられませんでした。今回拾ったぬいぐるみは、メルカリで見ると1体1万円以上で取引されており、十分に転売可能なものです。グッズも転売の対象になるのだと、認識を改めなければいけないと思いました。

忘れ物・落とし物をしないためには

 今回、一番辛い思いをされているのは持ち主の方だと思いますが、やはり落とし物・忘れ物に気を付けることが第一だと思います。私自身、前述したように観劇時に忘れ物をしたことが2度もあります。観劇前のわくわく、もしくは観劇後の打ちのめされたような気持ちで、落とし物や忘れ物をしてしまう気持ちは大変よくわかるのですが、気を付けるしかないです。
 特に大事にしているぬいぐるみを失くすのは、本当に辛いです。私自身も観劇時ではありませんが、不注意からぬいぐるみを失くしてしばらく落ち込んだことがあります。悲しい思いをしないためにも、大切なものは失くさないように、席を離れるときはしっかり忘れ物を確認して気を付けるようにしてほしいと思います。
 今回の持ち主の方によると、会場の出口や席の構造から、横移動での退場を促され、焦ってしまったことも原因の一つのようです。私はクルマの運転中に焦って事故を起こしてしまったことがあるのでよくわかるのですが、焦ると失敗します。急がなければいけないときこそ、冷静に忘れ物を確認してから移動したいですね。

 加えて、本筋とは別の話ですが、チケットホルダーには特に気を付けてほしいです。チケットホルダーを失くしたというポストを見かけますし、私自身も前述のように拾っています。落としやすく、落としても気づきにくいものだとは思いますが、抽選なり先着なりで頑張って手に入れた他の公演のチケットもろとも紛失するというのは、金額的にも気持ち的にもかなり辛いことです。チケットホルダーを出し入れするときは注意して、カバンに確実にしまい、盗難にも注意していただきたいと思います。

忘れ物・落とし物をしてしまったら

 忘れ物・落とし物をしたらすぐに会場に問い合わせることをお勧めします。今回の持ち主の方は会場への問い合わせのほか、遺失物の届け出もされたそうで、ベストを尽くされたと思います。今回は大変残念な結果となってしまいましたが、犯罪者がいなければきっと手元に戻ってきたはずです。
 なお、盗難の可能性について会場に伝えたところ、運営でできる限りの調査はしてくれたそうです。今回の会場では防犯カメラの画質が足りなかったそうですが、会場によってはそれで犯人が特定できた可能性もあります。忘れ物や落とし物を自分のものにするのは立派な犯罪であり、同様のことを繰り返していれば、いつか捕まります。悪いことはやめましょう!

おわりに

 かなりの長文になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
 今回はかなり運の悪いケースだとは思いますが、人が多く集まるイベントでは、どこにこういった犯罪者が潜んでいるかわかりません。みなさんが同じようなケースに遭遇したときは、この事例を思い出して、冷静に対応していただければ幸いです。
 またこうした悪意ある行動から多くの人を守れるよう、本記事の拡散にご協力いただけると幸いです。この記事がどんなに読まれても、私には1円も入りません。安心して拡散してください。
 ご意見・ご感想などは肯定も否定も歓迎します。また類似の事例などがある場合は、共有いただければ追記したいと思います。下にマシュマロとXの連絡先を置いておきますので、言いたいことがある方はお気軽にどうぞ。

マシュマロとXアカウント

 匿名で言いたいことがある方のために、置いておきます。否定的な内容でも歓迎します(あまり酷いとマシュマロなので届かないと思いますが)
 いただいた内容は、当方の判断で公開または持ち主の方に共有させていただく可能性がある旨ご了承ください。
 なお当方のXはオープン運用で、DMも解放しております。匿名じゃなくても大丈夫な方は、FF外からでも遠慮なくご連絡ください。
 当方のX: https://x.com/shikanabe

マシュマロのお返事


蛇足

 ここから下は、性格の悪い蛇足になりますので、読む方は自己責任でお願いします。
 注意喚起が目的なら書かなきゃいいのにと思う方もいると思いますが、きれいごとだけで終わりにしたくない気持ちもあります。

犯人はどんな人なのか

 さて、重要なことは大体書き終わりましたが、個人的に犯人への怒りがおさまらないので余計なことも書こうと思います。

 記事内で「悪意ある第三者」「泥棒」「犯罪者」「サイコパス」などと罵倒してきましたが、私はこの犯人は、悪い意味で本当に人間じゃないと思います。大勢が見ており、真の持ち主が近くにいるかもしれない状況で、「持ち主です」と名乗り出られるなんて、常軌を逸して胆が据わっています。しかも落ちているものを拾ってネコババするなら「魔が差した」と言えなくもないのですが、他人の手から受け取ろうなんて、出来心でやってしまうようなことではありません。いろいろ言いましたが、「サイコパス」が一番近いと思うし、常習犯の可能性もあるかと思っています。あの大量の銀テープも、友人の分も多めに拾っているという感じではなく、転売する気満々なのでしょう。
 観劇というのはお金がかかる趣味なので、少しでもお金が欲しい方だったのではないか、とも邪推してしまいます。もしかしたら、高額転売のチケットに手を出しているのかもしれません。そこまでしてする推し活が楽しいのかは全く理解できませんが、良心回路がぶっ壊れているサイボーグなのかもしれません。
 いずれにせよ、他人が大切にしているものを盗むこと、善意を利用して奪うことは許されることではありません。私はあまり人を恨むほうではないと自負していますが、この方にだけは、いつか天罰が下ってほしいと本気で思います。

 こうして書くと、民度が低いジャンルだと思われるかもしれません。実際、観劇ルールを守らなかったりマナーの悪い方がいたり、チケットの高額転売が横行したりしていることもあり、しばしば考えさせられることがあります。
 ただ、今回その場に居合わせた方々が忘れ物の持ち主を協力して探そうとしたように、ほとんどの方は優しく、良識のある方々だとも思っています。終演後に「カテコよかったですね~!!」と隣の方に声をかけていただき、話が弾んだこともあります。ランダムグッズで引いたキャラを推している方に無償でお譲りしている方、ファンサを受けた方を周りの人が祝っているのを目撃したこともあります。
 舞台そのものも、人間の強さや弱さに寄り添う内容が多く、時につらい展開もありますが、それも含めて大好きな作品です。今回の音曲祭でも、優しい曲がたくさん流れていて、どうしてこんな公演を観たあとで悪意のある行動をできる人がいるのか、全く理解できません。
 今回、とんでもない犯罪者を目の当たりにしたことで、世の中の厳しい現実を知った気がします。でも、あの日善意から行動されたみなさんには、たとえそれが悪用されたとしても、善意で行動された自分のことを誇ってほしいと思います。また、犯罪者に忘れ物を渡してしまった自分に対して一切責めたりすることなく、むしろお礼を言ってくださった持ち主の方にも、改めて御礼申し上げます。

持ち主を攻撃するのはどうかと思う

 今回、持ち主の方のポストに、心無い返信や引用ポストをしている方がいらしゃったのには心を痛めました。例えば「そんな大事なものを忘れるほうが悪い」といった内容です。
 もちろん、忘れ物や落とし物をしなければこういうことは起こらないのは確かであり、持ち主の方に非が全く無いわけではないと思います。でも運悪く盗難に遭ってしまった方をわざわざ攻撃するなんて、人生楽しいのか?自分の大切な人が同じ目に遭っても、同じことを言うんか?心の病気なんじゃないか、行きづらいんじゃないかと心配になっちゃいますが……一生関わりたくない。該当者は「おだいじに」の気持ちを込めてブロックします。
 必要以上に持ち主の方を擁護するつもりはありませんが、行き過ぎた言動にはどうしても一言言いたかったので、苦言でした。

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