忍殺TRPGソロリプレイ【ハウス・オブ・イーヴィル・スピリッツ】#4
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGのシナリオを遊んだ結果をもとに作成したテキストカラテ……所謂リプレイというやつです。気楽に読めるよ。
そして続き物でもある。前回はここから読めるぞ。
前回ではニンジャ率いるアンタイブディズム・ブラックメタリスト集団とイクサを繰り広げ、この屋敷で起こる怪奇現象の原因に踏み込んだ。
では今回はどうなる? 早速行ってみよう。よろしくおねがいします。
◇推測、そして探索再開◇
「成る程、地下にドージョー」
「ハイ。元は小型の核シェルター、だったみたいです。もしまたニンジャが来ているなら、そこじゃないでしょうか」
リクヨの情報提供にディスグレイスは思案する。事前に提供された不動産情報にそのような施設のことは記載されていなかった。この女が誇大妄想狂という可能性もなくはないが……今はそこしか探す場所が残されていないのもまた事実。
「となれば、皆さんはここでお待ちを。我々が地下の様子を見て参ります。それでよろしいですな、ディスグレイス=サン」
「……ええ。それはもちろん」
エスコートの言葉に頷きつつも、ディスグレイスは眉根を寄せた。どうにも、なにか引っかかる。
ディスグレイス【ニューロン】判定(難易度NORMAL)
(1,2,2,2,3,4,4,5) 成功
「どうかされましたか?」
「……考えていました。マーシレスボム=サンやジゴクマサカー=サンが遭遇した羽虫の群と、我々の遭遇したそれ。どうにも危険性が異なるというか」
ディスグレイスの呟きに、エスコートも同様に思考を開始。彼は何気ない様子でジゴクマサカーを見やる。
「どうですかな、ジゴクマサカー=サン。思えば貴女の仲間たちにも、手ひどく傷つけられた者もいればそうでないものもいたようだ。なにか思い当たる点は」
「ウム……言われてみれば……」
俯き始めたジゴクマサカーは、不意にハッとしたように顔を上げた。
「アルコール」
「……ハイ?」
「襲われた者たちは火吹きパフォーマンスがタッシャでな。ブッダに与するマッポたちが踏み込んできた時のため、その準備をしてきたのだ」
「室内で火を吹こうとするんじゃありません」
反射的に叱責したディスグレイスは額を押さえ、ニューロンを働かせる。一階で出会ったマーシレスボムも、害虫駆除という名目で火炎放射器を持ち込んでいた。あれも後で一度厳重注意しておく必要が……いや、そうではない。
「つまり、火ですか。あの虫たちは火をつける道具の持ち主を重点して攻撃している?」
「……そういうことになるでしょうね」
先んじて推論を述べたエスコートを一瞥しつつも、ディスグレイスは思案する。あの虫たちを操るニンジャがいて、それは火を遠ざけようとしている。何故か? 当然、己のジツに不利益をもたらすからだ。
「ジゴクマサカー=サン。その着火用アルコールとやらを一つ提供しなさい」
ディスグレイスは決断した。
【二階探索トレジャーなど】
魔法陣部屋より「見事なカケジク」回収
ゲストルームよりランダムトレジャー取得
1d6 → 4 「ZBRアドレナリン注射器」
ABBMより「着火用アルコール(グレネード読み替え)」獲得
◇地下へ◇
地下へ続く階段を降り切った先に待っていたのは、埃っぽいコンクリート壁の貯蔵室だ。漂うハカバめいた冷気にディスグレイスはわずかに身を震わせる。自らに宿ったニンジャソウルと共振してからというもの、どうも寒さに弱くなった。
リクヨから提供された情報を元に、エスコートが東側に立てかけられた鉄製の棚をどかし始める。それを横目に、ディスグレイスは部屋の隅にある壊れた棚を覗き込んだ。
トレジャー判定
1d6 → 1 【万札】7→8
古びた万札が紙屑めいて放置されている。虫が潜んでいないか用心しつつそれを回収したディスグレイスは振り返った。情報通り、鉄の棚に隠されていたシェルター扉の前にエスコートが屈み込んでいる。
「見つかりましたか。開けられますか?」
「少々お待ちを。……あの女子大生から提供されたダイアルでは開きませんな。ユタンポ=サンとやらか、中の何某かがパスを変えたか」
エスコート:【ニューロン】判定(難易度EASY)
『○錠前破り』によりダイス+1
(1,1,2,3,3,5)
「もっとも……さして組み合わせがあるわけでもなし……フム!」
カチャン。軽い音を立ててダイヤル式ロックが解除。その手際の良さにディスグレイスは小さく目を見張った。
「手慣れていますね」
「昔はそうした生業を少々……では先行します」
微笑していたエスコートの顔が真剣な表情へと変わる。一呼吸置いてから、彼はゆっくりとドアを押し開けた。
中は闇である。内側から漏れる空気に僅かな香の匂いを感じとり、ディスグレイスは目を細めた。ソウカイニンジャがザゼンの際によく使うそれと同じもの。つまり、ここはドージョーで間違いあるまい。
エスコートの背から覗き込めば、中には『蟲』『忍者』のショドーが壁に掛けられ、カラテ鍛錬用の木人が無造作に置かれている。
「ずいぶんと満喫しているようですね」
「羨ましい限りですな……む?」
部屋に一歩踏み込んだエスコートが訝しんだ。その足元で、プチリ、と軽く乾いた破砕音が響いたのをディスグレイスは確かに聞いた。彼女はゆっくりと下を見やる……
「……これは!? エスコート=サン! その場から離れなさい!」
「ヌゥッ!? イヤーッ!」
?????・??発動
1d6 → 1 失敗
エスコートは横に跳んだ。着地した先でも、またあの軽い破砕音。足元から響く、カサカサとした微かな物音。闇の中に蠢く無数の小さな何か。
「これは……!? イヤーッ!」
ディスグレイスは慌てて部屋の中へと躍り込む。その背後、鉄扉がゆっくりと軋みながら閉じていく。足元に異様な感覚を覚え、ドージョーの中を見渡したディスグレイスは小さく呻いた。
ナムアミダブツ……! ニンジャ暗視力をお持ちかつ心臓の弱い読者は耳を塞がれ目を閉じられたし! ドージョーと思しきその一室の床は、もはや種類も判別できぬほどに大量の小虫たちがひしめき合っているのだ! コワイ!
「成る程、ここが虫の巣……!」
エスコートが脚を這い上がろうとする虫を蹴り払いつつスリケンを構える。これだけの雑多な虫どもが自然に集まるわけもなし。なんらかのジツによって集合させられたに違いない。
「スウォーム・ジツ……!? しかしこれほど広範囲とは……!」
ディスグレイスは同様のジツを扱うニュービーを脳裏に描く。彼らが未熟であったことを差し引いても、これだけの量を一度に操る使い手。額に汗が滲む。
そのとき!
「イヤーッ!」
『蟲』ショドーがはためき、その内側から風めいて一つの影がエントリー! それは青く輝く瞳で侵入者たちを睥睨し、アイサツを繰り出す!
「ドーモ! ムシメヅルです! よくもおめおめと我が楽園に土足で入り込んでくれたな。その報いは受けてもらうぞ」
【ハウス・オブ・イーヴィル・スピリッツ】#4終わり。#5へ続く