泉から湧いてきた美少女と美少年の話
ことの始まりは、あの泉に落ちてしまったところからだ。なんで僕はあんなところでつまづいてしまったのか。未だに悔やみきれない。
次に起きたことは、こうだ。
『落ちてきたあなたは、このいつまでも若々しい少年ですか? それともこの道行く人がつい振り返ってしまう美貌の少女ですか?』
水中で突如出現したその女はにっこりと言った。
無論のこと、僕は首を横に振ったのだ。そんな自分の見た目に自信を持てる年頃でもない。というかこいつの趣味なのではないか? 思わず訝しんだほどである。
その結果、
『あなたは正直者ですね!』
これまたいい笑顔で言い放たれた。それがその女との別れだった。僕の意識は暗転した。
「……で、どうするんだ。これ」
僕は目の前の美少女に言った。次の瞬間、視界が切り替わり、映り込んできたのは可愛らしい少年の姿。
「どうしろってんだ、これ……」
僕は『同時に』頭を抱える。あの女、よりによって体を二つ返してきやがった!