忍殺TRPGソロリプレイ【ブルタル・オロチ・ヴァーサス・アングリー・ドラゴン】#1
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGのシナリオを遊んだ結果を元に作成したテキストカラテ(訳注:二次創作小説)となります。いわゆるリプレイだ。気楽に読めるよ。
今回挑戦したのは……公式のシナリオ、【ドラゴン・ドージョー襲撃】です。
ついに大舞台に挑む時がきた。
挑戦者はオープニングにて発表します。ではいってみよう。よろしくおねがいします。
◇オープニング、あるいはダンゴウ◇
……シックスゲイツ温泉旅行、その数日前のこと。
トコロザワ・ピラー最上階。窓に打ちつける重金属酸性雨と、雲の合間に走る稲光を物憂げに眺める女あり。改造ミコー装束の右袖だけがぶらぶらと虚しくはためく。そのバストは豊満であった。
しばしの間、窓ガラスを見つめていたミコーの女はふと思い出したように傍の小柄な少女へ不安げな顔を向ける。
「その……どうでしょう、キールバック=サン。なにか、こう、おかしなところなど……」
「大丈夫ですよお姉さま! いつにも増してお綺麗です!」
少女は真剣な眼差しで女を見上げる。奥ゆかしいキモノの下に、身体のラインが浮き出るほどに密着したニンジャスーツが垣間見えた。その背後、セーラー服の少女が朗らかに笑う。
「そんな気にしなくても平気だって、ディスグレイス=サン。いきなりケジメやセプクを申し付けられる立場じゃないでしょ? もう」
「貴女はどうしてそうお気楽な……! わかっていますか、シャープキラー=サン? ラオモト=サンからの直々の呼び出しなんですよ!?」
ミコー装束の女……恐るべきヤクザクランの女オヤブンたるディスグレイスは、必死の形相でセーラー服の少女へと食ってかかる。シャープキラー。もはやキールバックと並び、彼女の腹心といって差し支えない存在だ。
ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:8 【体力】:20/20
【ニューロン】:10 【精神力】:12/12
【ワザマエ】:5 【脚力】:4
【ジツ】:7(カナシバリ) 【万札】:0
近接攻撃ダイス:8
遠隔攻撃ダイス:5
回避ダイス:10
【特筆事項】:
【名声】:26
【DKK】:3
風呂により【精神力】+1
【装備】
パーソナルメンポ
【サイバネ】:
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官
【スキル】:
●連続攻撃2、●時間差、●マルチターゲット、●ミネウチ
◉翻弄
★カナシバリ・マスタリー
★ブンシン・ジツ(Lv3)
★毒物無効
★★コブラ・ゲン・ジツ
★★★半神的存在:
このニンジャの【体力】は【ニューロン】×2となる
★★★不滅
★★★アーチ級ノロイ・ジツ
○信心深い
【説明】
右腕を五本の冒涜的バイオ触手に置換したニンジャ。
バイオ触手と強力なカナシバリ・ジツで相手を束縛・屈服させることを好む。
元は自らの性的嗜好を苦に自殺を試みたミコー。現在はもはや堕落あるのみ。
ニンジャ名:キールバック
【カラテ】:6 【体力】:7/7
【ニューロン】:7 【精神力】:8/8
【ワザマエ】:10 【脚力】:5
【ジツ】:4(カナシバリ) 【万札】:15
近接攻撃ダイス:4
遠隔攻撃ダイス:12
回避ダイス:11
【特筆事項】:
【名声】:17
風呂ボーナスにより【精神力】+1
グレーター級ソウル憑依者
【サイバネ】:
▲バイオサイバネヘッド(軽度)
▽生体弾
【装備品】:
*ブラッドカタナ*
タクティカルニンジャスーツ
*クナイベルト*
【スキル】:
●連射2、●疾駆、●時間差、●マルチターゲット
◉スリケン急所破壊
◉タツジン:スリケン
◉シャープシューター
★モウドク・ダート
○信心深い
【説明】
ディスグレイスに拾い上げられたストリートチルドレンのニンジャ。
カラテには乏しいものの、持ち前のニンジャ柔軟性とニンジャ器用さで立ち回る。
ディスグレイスを姉と呼び慕う。ある種狂的な忠誠心の持ち主。
ニンジャ名:シャープキラー
【カラテ】:7(+1) 【体力】:8/8
【ニューロン】:5(-1) 【精神力】:5/5
【ワザマエ】:8(+1) 【脚力】:7
【ジツ】:2(カラテミサイル) 【万札】:3
近接攻撃ダイス:9
遠隔攻撃ダイス:5
回避ダイス:11
【特筆事項】:
【名声】:15
【DKK】:3
風呂ボーナスにより【精神力】+1
【装備品】:
ノダチ
【サイバネ】
▶︎ヒキャク
▷ブースターカラテ・ユニット
【スキル】:
●連続攻撃2、●連射2、●疾駆
◉タツジン:ノダチ
○キラーマシーン教育
○カジバヂカラ(カラテに+1補正)
【説明】
アサシン養育施設「アシサノ私塾」の出身者。
持ち前の身軽さをサイバネ脚で補強し、ノダチで敵を仕留める。
しかしもっとも恐るべきはその執念深さと残忍性だ。
シックスゲイツ温泉旅行への同伴可能性ありという知らせに心うきうきとしていた彼女らは、不意に上司たるソニックブームを通した呼び出しを受けここにいる。ソウカイヤ首領、ラオモト・カン直々に。ディスグレイスの心に浮かぶのは困惑と不安であった。
とはいえ、自分がしゃんとしなければならないのは事実。彼女はこちらを見上げるキールバックを見やる。自分が動揺し過ぎれば、この子にまで不安を与えてしまう。それは、よくない。
ついでに彼女は横目でシャープキラーを見やる。仮にも首領の前に出るというのに、あのどこから調達してきたかもわからないセーラー服姿のまま。時々、この図太さが羨ましくなる。
「お待たせいたしましたドスエ」
「! ハ、ハイ!」
穏やかな声に背筋を伸ばし、ディスグレイスは慌てて向き直る。そこには艶っぽい笑みを浮かべる出迎えオイランの姿。促されるがままに、彼女らはラオモトの待つ大広間へと足を踏み入れるのだった。
◇◆◇◆◇
……その十数分後!
「ムッハッハッハッハッハ! どうだ、ディスグレイス=サン。オーガニック・トロの味は? 貴様は下戸だと聞いておった故、サンシタどもにツキジ・ダンジョンまで取りに行かせたのだ」
「は、ハイ……大変美味しゅうございます……!」
なぜこんなことになっているのか。ディスグレイスは手の震えを抑えつつスシをつまみ、口に入れた。痺れるような旨味がニューロンを刺戟する。しかし今の彼女にはそれを充分に味わうだけの余裕がない。
なにしろ、ラオモト・カンがすぐ目の前にいるのだ。彼はオーガニック・トロ・スシを一度に二つ食べた。隣のキールバックが息を飲む音がやけに大きく聞こえる。
しばし舌鼓を打っていた彼は、ふと気がついたようにディスグレイスを見下ろした。
「随分と緊張しておるようだな」
「アイエッ……その……スミマセン」
「解せぬ。ダークニンジャ=サンやダイダロス=サンも、貴様の働きぶりは評価しておる。ワシとて貴様の忠誠とカラテを疑うまい。なにを怯える?」
「……お、恐れながら。カラテを積んだからこそ、ラオモト=サンのカラテの偉大さがより身に沁みるのです。それを目の前にしての、この震え……どうか、お許しください」
「ムッハハハハハハ! 奥ゆかしい!」
大笑! ディスグレイスは低頭し、こっそりと胸を撫で下ろした。どれだけ自分がジツの研鑽を積み、カラテを鍛えようと。こうした場は慣れない。
その笑いが収まるのを見計らったかのように、黙々とスシを食べていたシャープキラーが朗らかに尋ねた。
「大変美味しいです。アリガトゴザイマス! でも、私たちにスシを振舞ってくださるためだけにお声がけしていただいたわけではありませんよね?」
「イアイめいた率直さよな、シャープキラー=サン。然りだ。貴様ら三人に重要なミッションを与えようと考えておった」
その言葉に、三人のニンジャは居住まいを正した。ラオモトは重々しく彼女らを睥睨し、口を開く。
「中国地方の偵察任務を行っておるヘルカイト=サンより連絡があった。ドラゴン・ドージョーの尻尾を掴んだとな」
ドラゴン・ドージョー! ディスグレイスは小さく息を呑む。死神めいたニンジャスレイヤーや謎多きヤクザ天狗と並ぶ、ソウカイヤに仇なす者共の集まりだ。
自然、その言葉の先は読める。ごくりと唾を飲んだディスグレイスは、おずおずと口を開いた。
「……ヘルカイト=サンと連携し、そのドラゴン・ドージョーを襲撃せよ、と?」
「襲撃では足りん。放火だ。跡形もなく潰すのだ。……貴様らほどのカラテの持ち主であれば、充分可能な仕事であろう?」
その言葉にディスグレイスは小さく震えた。期待をかけられている。あのラオモト・カンから。いつしか自分の立っていた場所を、改めて思い知った気分であった。その横で。
「質問なんですけど、ヘルカイト=サン以外のシックスゲイツを派遣したりはしないんですか? ソニックブーム=サンはお忙しいから無理でしょうけど、アースクエイク=サンとヒュージシュリケン=サンとか……」
「良い質問だな、シャープキラー=サン。足元をおろそかにするわけにはいかぬ。貴様とて知っているだろう? アマクダリ・セクトなる羽虫めいた連中のことは」
「……アー、そちらの調査に当てているんですね。成る程。わかりました!」
シャープキラーは満面の笑みを浮かべた。その隣、ディスグレイスは気が気ではない。なぜこの子は相手が誰であろうと変わらず接することができるのか。高層ビル間の綱渡りを見せられている心地だ。
気を取り直し、ディスグレイスは質問を追加する。
「ミッションについては了解いたしました。しかし如何にシックスゲイツたるヘルカイト=サンがご協力くださるとはいえ、我々だけでドラゴン・ゲンドーソーを討ち果たせるかは……」
「貴様らしい慎重な意見よな、ディスグレイス=サン。だが安心するがいい。貴様らにキリフダをくれてやる」
言ってラオモトは二度手を叩く。それに応じてオイランたちが運び込んできたのは、厳重にロックされたアタッシェケース二つである。
「まず、ヨロシサンが開発したアンタイニンジャウイルスだ。名をタケウチという。効果のほどは実証済み。貴様らほどのカラテあらば隙の一つは作れよう? そこへこれを打ち込むのだ」
「へぇーッ! ねぇディスグレイス=サン、」
「いいですよ。貴女が持っていなさい」
「ヤッタ!」
目を輝かせてアタッシェケースの片方を抱え込むシャープキラー。それに呆れつつも、ディスグレイスは残るアタッシェケースへ視線を向ける。
「では、これは?」
「バンザイ・ニュークだ」
「バッ……!?」
あっさりと言い放たれた正体に、ディスグレイスは言葉を失った。地形ごと吹き飛ばす威力を持つ小型戦術核! ラオモトが豪胆に笑う。
「ムッハハハ! 厳重にロックしてある故安心するがよい。もしタケウチを持ってしても長引くようであれば構わん。これでドージョーごと吹き飛ばせ」
「は、ハイ……了解しました……」
ディスグレイスはおそるおそるバンザイ・ニュークケースを手に取り……それを流れるように右隣のキールバックへと渡す! ギョッとしたように目を丸くしたキールバックは、それでも奥ゆかしくそれを受け取った。
「ディスグレイス=サン、貴様には……そうだな、非常時の補給物資をくれてやる。役立てるがいい」
ラオモト=サンからの下賜
・ディスグレイス:「ZBRアドレナリン+オーガニック・トロスシ+オーガニック・スシ+トロ粉末」のセット
・キールバック:「小型戦術核バンザイ・ニューク」
・シャープキラー:「試作型タケウチ・ウィルス吹き矢」
ディスグレイスらは恭しくオジギする。窓の外、重金属酸性雨の向こうで落雷が空を切り裂いた。
◇予備調査◇
ラオモトとの会食を終えた直後。ディスグレイスは資料室でY2K前後の公的電子データアーカイブを洗い出していた。ヘルカイトから送られてきているドージョー候補地と照らし合わせ、その拠点位置を絞り込もうというのだ。
ディスグレイス:【ニューロン】判定
[1,1,2,2,2,3,4,4,6,6] 成功
「……ここか」
やがて推測を終えたディスグレイスは、携帯IRC端末よりヘルカイトに候補地を送信。数十秒後に届いた返信を見てほくそ笑む。読みどおり。その後ニンジャブリーフィングを交わし、合流日程に猶予を作ることに成功した。
(念には念を。準備はしすぎるくらいがちょうどいいでしょう)
すでに事務所に戻っていたシャープキラーへ連絡を送り、金庫から準備資金を引き出させてからディスグレイスは資料室を後にした。
アジトと思われる地域には電気も水道も、ましてやIRC通信網もない。故に、この情報連携をドラゴン・ドージョーが知ることはない。彼女は微笑した。
ドラゴン・ドージョーの命日は明日となろう。
準備余暇獲得
グレアリング・オロチ【万札】120→50
ディスグレイス【万札】0→50
キールバック【万札】12
シャープキラー【万札】3→23
ブラックマーケット
ディスグレイス:『*ムチ*×2』『伝統的ニンジャ装束』購入
【万札】50→0
キールバック:『サイバーサングラス』購入
【万札】12→2
シャープキラー:『パーソナルメンポ』『伝統的ニンジャ装束』購入
【万札】23→3
【ブルタル・オロチ・ヴァーサス・アングリー・ドラゴン】#1終わり。#2へ続く
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