忍殺TRPGソロリプレイ【コモン・シーヴス・ナイト】エピローグ
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ(訳注:二次創作小説)となります。気楽に読めるよ。
そして続き物でもある! 前回のお話はこれです。
今回は主にリザルトと余暇の様子を描く。ではいってみよう。よろしくおねがいします。
◇リザルト◇
「……ドーモ。シャープキラー=サン。アベレージです」
困惑アトモスフィアの中、アベレージは代表してアイサツを返した。シャープキラー。知らぬニンジャではない。昇格したディスグレイスの後釜としてスカウト部門の筆頭補佐に任命されたニンジャの一人。性格、フットワークともに軽い。
シャープキラーはにこにこと怪訝な顔をするニンジャたちを見渡した。そして唐突にハンドベルトUNIXを起動させる。
「というわけで、無事にミッションは達成。これで問題ないですよね? ケントゥリオン=サン」
『ええ、確認しています。オツカレサマデス。皆さん』
聞き覚えのある電子音声が発せられ、アベレージは思わず顔をしかめた。コールドブラッドが声を上げる。
「なァ、どういうことだよ? なんでアンタがこんなとこに来てる」
「私? 私はほら、保険の保険! もしここにザイバツのニンジャが詰めてたら事だから!」
「ハ? ザイバツ?」
「そ。……実際、相当迅速に仕事をこなしていましたし。説明したらどうです?」
『フム』
ハンドベルトUNIXの向こう側のニンジャが黙り込む。わずかコンマ数秒のことだ。改まった様子で彼はアイサツした。
『実際、彼らにはまた協力してもらうことになるでしょう。もはや偽装の必要もない……ドーモ。私はケントゥリオン……ではありません。ソウカイ・シックスゲイツ、ダイダロスです』
「……は!?」
コールドブラッドがたじろいだ。アベレージは目を丸くする。他の二人も口には出さねど相当に動揺しているのが感じ取れる。無理もあるまい。ソウカイ・シックスゲイツともなれば、ソウカイヤ所属者であればその名を知らぬ者などいない。それほどまでに高位のニンジャだ。
『現在はオンセン宿よりこの通信を行っています。私の片手間の仕事に協力していただけたこと、感謝していますよ』
「ハ……それは、ドーモ……いえ! なぜわざわざこのような迂遠な形で!?」
『ツクル・マシン・システムズ社にザイバツのスパイ疑惑があったためです』
端的な返答にアベレージは言葉を失う。その様を楽しげに眺めながら、シャープキラーが言葉を継いだ。
「アベレージ=サンはハッキングしてたから把握してるよね? このカイシャがキョートにオムラの兵器を横流ししてたってこと。その横流し先がどうもきな臭くてさ……でもそれ以上のガサ入れに踏み込めなかったんだよね。ここ、一応はソウカイヤの庇護下だしさ。ほら、ソンケイの問題ってやつ」
「……エット、ボクらとどう繋がってくるの? それ」
不思議そうに首を傾げるライデンキャット。その疑問に電子音声が答える。
『当初のシナリオでは、「無軌道なニュービーが空白地帯を狙って取り立てを行う」ことになっていました。つまり貴女です。ライデンキャット=サン』
「ンで、まあ……私も一応スカウト部門だしさ。ニュービーのことは一通り把握してる。いくらなんでもライデンキャット=サン一人じゃ無理だろって思って、そこからダイダロス=サンと軌道修正した」
「……つまり俺に声がかかったのはお前のアドリブか。シャープキラー=サン。理由はなんだ」
「いや、いつも書類仕事ばっかりしてるからたまには現場出たらどうかなーって思って。ディスグレイス=サンとも相談したら是非そうしろって言われたし」
「あの女……!」
アベレージは思わず顔を覆う。今や雲上の存在となった元同僚、ディスグレイス。あの裏のある微笑が目に浮かぶようだった。ちなみに彼女もシックスゲイツ温泉旅行に同行しているはずだ。
キャバァーン! UNIXがフロッピーディスク内蔵プログラムの終了を告げる。数秒の間を置いて、ダイダロスが声を上げた。
『……成る程。ツクル社はやはりクロ。どころかここをザイバツの前哨基地として提供する心算でしたか』
「ワオ。お手柄じゃない、アベレージ=サンたち」
『既に潜入しているらしいザイバツニンジャの潜伏箇所と思しき座標。そして“大使”(Ambassador)。……これは早々にラオモト=サンの御耳に入れる必要がありそうです。シャープキラー=サン、後はよろしくお願いします』
プツン。通信が切断され、沈黙が戻る。シャープキラーは肩を竦めて苦笑した。
「エート……とりあえずネコソギしたものはみんなで山分けしてもらうとして。そうだな、ここのオフィスももらっちゃっていいんじゃないかと思うよ」
「それはありがたいが……書類申請がいるな」
アベレージは溜息をつく。面倒事というのは、思いもしないところから湧いてくるものだ。彼は明日からの仕事をどうするかを考え始めた。
◇リザルト◇
ドロップ等【万札】41
ノボリ×2売却【万札】41 → 51
ゲイシャ売却 1d6 → 4 【万札】51 → 55
【余暇】2獲得
◇余暇開始:模様替え◇
翌朝! ガラ空きとなったオフィスの壁にカケジクを掛けたアベレージは数歩離れてバランスを確認し、頷く。部屋の隅には香炉。書類作業の合間にザゼンをすることも可能になったというわけだ。
『元』スモトリ部屋ではヘブンリリーフが木人を設置している頃合いだろう。ニンジャが四人ともなれば、ドージョーはいくつあってもいい。しかし、と彼は改めて思う。突然自前のオフィスを所有する事が許されるとは。何が起こるかわからないものだ。
アベレージは伸びをする。せっかくの休暇だ。有意義に使わせてもらうとしよう。
◇模様替え◇
「木人」「香炉」「偉大なるショドー」「見事なカケジク」をワンセット購入
【万札】55 → 33
◇分配◇
アベレージ【万札】18 → 22
コールドブラッド【万札】32 → 36
ライデンキャット【万札】13 → 18
ヘブンリリーフ【万札】0 → 20
ライデンキャット、「○ピンハネ」により【万札】 18 → 19
◇余暇:1日目◇
「キエーッ! キエーッ!」
シュギ・ジキ部屋にて。地下ドージョーから聞こえるヘブンリリーフのカラテシャウトを聞き流しつつ、アベレージはブラックマーケットで手にいれたマキモノの解読に挑んでいた。前回はニューロンが焼けるような体験を味わったものの、ジツを身につけた今は安定して読み解くことができるようになっている。
(カトンの力を多少は引き出せるようにならんと、ニンジャはおろかスモトリ相手にも役立たんからな……)
今回のミッションにて、文字通りの火力不足を思い知らされたアベレージはマキモノを熟読。そこに記されたノウハウを着実に吸い上げていく。
アベレージ:ブラックマーケット
マキモノ購入・即使用
【万札】22 → 7
【ジツ】1 → 2
1d6 → 4 ニューロン減少なし
そのときだ。廊下から響く軽い足音にアベレージは顔を上げた。それと同時、フスマが勢いよく開いて入室したのはライデンキャットである。
「アー、いたいた。アベレージ=サン、仮眠室使ってもいーい? 眠くてさ……フアア」
「好きにしろ。……トレーニングでもしてきたか?」
「んーん。バイオサイバネ手術」
のそのそとアベレージの側までやってきたライデンキャットは、その顔を近づけると大きく口を開けた。そして鋭いバイオ牙を示して説明する。
「これにねー、バイオ毒腺? そういうのを埋め込んでもらったんだ」
「成る程。また物騒な」
「ニヒヒ……うまくいけばスモトリくらいひと噛みでイチコロかもね。それはそれとして、じっとしてたから眠くなっちゃった……フアア!」
渋面を作るアベレージから顔を離し、ライデンキャットはまたも大きくアクビ。そのまま部屋を後にしようとして……思い出したように振り返る。
「そういえばコールドブラッド=サンはー? 今朝から見てないけど」
「あいつならオンセン合宿だ。シャープキラー=サンと一緒にな」
「オンセンかァ。いいなー」
「カネを貯めたらお前も行ってくるといいさ」
「そんときはみんなで行けると面白いかもねー」
ケラケラと笑いながらライデンキャットは退室。アベレージは溜息をつき、マキモノをしまいこんだ。あとはデスクワークの時間とするか。
コールドブラッド:カラテ合宿withシャープキラー
【万札】36 → 6
ライデンキャット:バイオサイバネ手術
【万札】19 → 9
『△毒牙』獲得
ヘブンリリーフ:カラテトレーニング(累積)
【万札】20 → 14
1d6 → 3 振り直し
1d6 → 4 失敗
◇余暇:2日目◇
翌日。重苦しい灰色の雲の下、アベレージは元ツクル社オフィス外周を走り込んでいた。ふと思い立っての脚力トレーニングである。自分以外の三名に比べ、自分の動きは少しばかり鈍い……そのように感じたからだ。足手まといは好ましくない。
「よォ。精が出るな」
そこに声をかけられ、アベレージは静止。見るとPVCレインコートを着込んだ人影がこちらにやってくる。アベレージは目を細めた。
「ドーモ。コールドブラッド=サン。オンセンはどうだった」
「ドーモ。アベレージ=サン。まァそこそこだ。オンセン楽しむ暇、あんまりなかったな……」
どこか疲れた様子で笑うコールドブラッドに、アベレージは思わず首を傾げる。確かにやや早めに切り上げてきたようにも思えるが……
「シャープキラー=サンのやつ、ああ見えて結構スパルタ指導だったもんでな。ゆっくりしてる暇がなかったんだよ」
「ほう? 彼女が? ……それで、成果の方はどうだ」
「そこそこだ」
数度カラテ・ストレートを空に打ち、コールドブラッドはニッと笑う。それだけで充分だった。アベレージは微笑した。自分もまた、成果を出さねばならぬ。
コールドブラッドに断りを入れてから、アベレージは再度トレーニングへと戻るのだった。
アベレージ:スキルトレーニング
【万札】7 → 2
1d6 → 5 『◉常人の三倍の脚力』獲得
コールドブラッド:カラテ合宿
1d6 → 6
『成長の壁』突破
【カラテ】6 → 7 【体力】6 → 7
『●連続攻撃2』獲得
ライデンキャット:ザセントレーニング
【万札】9 → 6
1d6 → 3 成功
【ニューロン】1 → 2 【精神力】 1 → 2
ヘブンリリーフ:カラテトレーニング(累積)
【万札】14 → 8
1d6 → 5 累積効果により成功
【カラテ】5 → 6 【体力】5 → 6
【コモン・シーヴス・ナイト】終わり
◇後書き◇
アベレージとその仲間たちは新たなアジトを手にいれた! よかったね! というわけで、このメンツで後編に挑ませてもらうことになると思います。間に一個別のシナリオを挟んでもいいかもしれないけど、そうするとアベレージが多分【名声】ラインに引っかかる……
余暇を終えた四名の能力はこんな感じになった。
ニンジャ名:アベレージ
【カラテ】:4 【体力】:5/5
【ニューロン】:4 【精神力】:5/5
【ワザマエ】:4 【脚力】:3
【ジツ】:2(カトン) 【万札】:2
近接攻撃ダイス:4
遠隔攻撃ダイス:4
回避ダイス:4
【特筆事項】:
【名声】:4
【装備】:
パーソナルメンポ
タクティカルニンジャスーツ
【アイテム】
ZBRアドレナリン注射器、トロ粉末、オーガニック・スシ、ウイルス入りフロッピー
【スキル】
◉常人の三倍の脚力
【説明】
ソウカイヤのニンジャ。悲観的な性格の持ち主。
そのニンジャネームも「ソウカイヤにおいて特筆すべき点のない
平均的なニンジャの一人に過ぎない」と己から名乗っているもの。
ニンジャ名:コールドブラッド
【カラテ】:7 【体力】:7/7
【ニューロン】:4 【精神力】:4/4
【ワザマエ】:6 【脚力】:4
【ジツ】:2(ヘンゲヨーカイ) 【万札】:6
近接攻撃ダイス:7
遠隔攻撃ダイス:6
回避ダイス:7
【特筆】:
【名声】:4
【DKK】:2
【アイテム】:
ウイルス入りフロッピー、トロ粉末
【スキル】
●連続攻撃2
○指名手配犯
【説明】
ハッカーを専門にツジギリ強盗していたオイランスラッシャー。
ニンジャとなった折に得たジツによって巨大なトカゲめいた姿を
変化することができる。いざというときの切り札だ。
ニンジャ名:ライデンキャット
【カラテ】:5 【体力】:5/5
【ニューロン】:2 【精神力】:2/2
【ワザマエ】:4 【脚力】:3
【ジツ】:0 【万札】:6
近接攻撃ダイス:6
遠隔攻撃ダイス:5
回避ダイス:5
【サイバネ】:
▲バイオサイバネヘッド(軽微)
△毒牙
【アイテム】:
トロ粉末
【スキル】
○ピンハネ
【説明】
アクセサリー感覚でバイオサイバネを置換するアニマルパンクスの少女に
ニンジャソウルが憑依。面倒なことはカラテで押し通し、上司の前では
猫をかぶってピンハネ。しぶとくニンジャ社会を生き抜く。
ニンジャ名:ヘブンリリーフ
【カラテ】:6 【体力】:6/6
【ニューロン】:3 【精神力】:3/3
【ワザマエ】:5 【脚力】:3
【ジツ】:2(カラテミサイル) 【万札】:0
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:5
回避ダイス:6
【装備】:
巨大ハンマー(大型武器読み替え)
【アイテム】:
トロ粉末
【スキル】
○アンタイブディズム・ブラックメタリスト
【説明】
ボンズめいた風貌のソウカイニンジャ。過去はアンタイブディズム・ブラックメタリスト
の一員として暴れ回っていた。暴動鎮圧時にニンジャとなって
生き延びたことからその名をつけられる。皮肉なものだ。
カラテは強いがニューロンが低め。この中では一番頭が冴える部類になるアベレージには是非頑張ってもらいたい。
それではここまで読んでくださった皆様方! そして楽しいシナリオを書き上げてくださった黒鷺あぐも=サン! ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!