ゾンビ護配送団の憂鬱

「待って……!」

両手を前に翳し哀願する少女……正確には『元』少女へ、キリィは無慈悲に剣を振るった。
変色した肌、光のない眼。相手がゾンビーであることは明らかだ。見過ごしたら禍根を残す。故に斬る。
果たして刃はゾンビーの身体を斜めに断ち切った。

『テメーッ!商品に傷つけやがったな!』

が、その後の出来事はキリィの想像を超えていた。
ゾンビーのそれではない声音の罵声とともに、噴出した緑色の粘液が襲いかかってきたのである。

………

『ナクア、どうだよ?なんとかなりそうか?』
『黙って修繕に集中させて』

野良騎士を覆い尽くし、窒息死させた緑の知性粘体ことショゴーはやるせなく震える。一方では、ゾンビー少女の背中から這い出した大蜘蛛が、分断された『商品』の継ぎ接ぎを忙しなく行なっていた。
限りなく新鮮な状態で死体を運搬。ショゴーは自分たちの任務を思い出し、憂鬱になった。この場合、始末書を出さなくてはならないのだろうか。

【続く】

#逆噴射プラクティス

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