これはよくある観察日記です
それは目覚めてすぐに、自分が見知らぬ地にやってきたことに気づいたのだと思う。はるか宇宙から見たこともない乗り物でやってきたそれは、辺りを見渡して一声鳴いた。見慣れぬ場所に置かれたストレスか。この地を離れたことのない私は想像することしかできないが。
幸運にもそれには傷ひとつなく、動くことに支障はないようだった。
私にとっても嬉しい誤算だ。新しい種を飼育したいと思っていた矢先に、ゲージ随伴で元気な生物がやってきてくれるとは。
二つの足で立ち、五本の指を備えた二つの腕を持ち、頭は一つ。きっと珍しい生き物だ。
まずは食性を調べねば。果実は食べられるだろうか? 毒にはならないだろうか? 私が簡単に提供できるのはそれだけだ。
ゲージの中に這わせた蔦から、私はそれを観察し続ける。
不意にゲージが揺れた。外の子がじゃれついたのだ。やれやれ。あいつにも躾が必要か。
【続く】