忍殺TRPGソロリプレイ【キャット・インバイト・ビッグマウス】#1
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGのシナリオを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ(二次創作小説)となります。いわゆるリプレイだ。気楽に読めるよ。
今回挑戦させていただいたのは、黒鷺あぐも=サンの【カム・カム・ハピネス・オア・キューソ】です。
いろいろあってマネキネコを求めるうちに、ネオサイタマの危機を救うことになる……そのような感じのシナリオだ!
ニュービー三名向けのシナリオであり、かつアジトを購入ないし入手したニンジャ向けということ。そのためグレアリング・オロチ一派の壁越えしてないメンバーで臨みます。詳細はオープニングで。
では行ってみよう。よろしくおねがいします。
◇オープニングな◇
「マネキネコを買いに行きたいのです」
ツチノコ・ストリート。その一角にある雑居ビル13階に居を構える、グレアリング・オロチ・ヤクザクラン事務所にて。オヤブンの代理として帳簿をつけていた老ソウカイニンジャ、エスコートは目を丸くして発言者を見上げた。
ニンジャ名:エスコート
【カラテ】:4 【体力】:4/4
【ニューロン】:5 【精神力】:5/5
【ワザマエ】:4 【脚力】:2
【ジツ】:3(ムテキ) 【万札】:0
近接攻撃ダイス:4
遠隔攻撃ダイス:6
回避ダイス:5
ハッキングダイス:11
【特筆事項】:
【名声】:1
【装備】:
家族の写真
【サイバネ】:
▶︎サイバネアイ
▶︎▶︎生体LAN端子+
【スキル】:
○錠前破り
【説明】
かつてはスラッシュ&ハックの錠前破りとして名を馳せた男。
ニンジャ器用さで障害を取り除き、ムテキ・アティテュードで味方の盾となる。
そのニンジャネームは彼のワザマエから来たものだ。
「その……アー……すまないね、カテドラル=サン。突然の話なもので面食らってしまった」
「ああ、いえ。こちらこそ申し訳ありません。気が急いてしまっていたようでして……」
丁重に詫びを入れるエスコートに対し、発言者……身の丈8フィートを悠に超える巨体の女もまた、申し訳なさそうに頭を下げた。ゆったりとした純白のニンジャ装束。その背からは天使めいた白い翼が生えており、一種の神聖さすら感じさせた。
彼女の名はカテドラル。エスコートと同じくグレアリング・オロチ・ヤクザクランに所属するニンジャである。
ニンジャ名:カテドラル
【カラテ】:5 【体力】:14/14
【ニューロン】:5 【精神力】:5/5
【ワザマエ】:3 【脚力】:4
【ジツ】:3 【万札】:6
近接攻撃ダイス:5
遠隔攻撃ダイス:3
回避ダイス:2
【特筆事項】
【名声】:1
【ジツ】:
ビッグカラテ
【体力】に+【ジツ】値、『回避ダイス』に−【ジツ】値の補正
『●連続側転』使用不可
【アイテム】:
オーガニック・スシ
【サイバネ】
▲バイオサイバネ胴体
△バイオ飛行翼
【スキル】:
●頑強なる肉体、●突撃、●薙ぎ払い、●飛行移動
○信心深い
【説明】
ニンジャとなった折の肉体変化を奇跡と見做され、
弱小カルト団体の巫女として担ぎ上げられていた。
隔離した生活を送らされていたため世情には疎い。
カテドラルは小さく咳払いし、深呼吸。改まった様子で穏やかな視線をエスコートに向けた。彼女のバストは豊満である。
「その、ディスグレイス=サンへのお祝いを考えていたのです。カイシャの社長になられたり、ええと……オイナリサマの……」
「表向きはオイナリサマ喫茶だね。アドバイザーの意見を取り入れたものらしいが」
「ええ、それです! キツネはなんにでも化けられるので衣装自由、というのはタノシイ試みですよね。……ああ、いえ、ゴメンナサイ。話が逸れました。ええと」
「だいたいわかった。メデタイ事が続いているというのに、我々クランのマンバーからはなにもお祝いができていないのは事実だ。これを機にマネキネコを送ろうと、そういうわけだね」
「ハイ、その通りです! さすが、エスコート=サンはご慧眼ですね!」
無邪気なソンケイの視線を向けられ、エスコートはやや面映い気分となった。カテドラルはヤクザやニンジャという立場にしてはほとんど擦れていない。今でもなおその純真さを保っているのは、本人が世間を把握していないからか、それとなくオヤブンのディスグレイスが便宜を図っているからなのか。なんともいえない。
ともかく。
「その提案自体には私も賛成だ。しかし、なぜマネキネコを?」
「それは……」
「爺さん! マネキネコ買いに行こうぜ!」
口を開きかけたカテドラルを遮るように事務所扉が音を立てて開かれる! そしてズカズカと入り込んできたのは、ヤクザスラックスにヤクザジャケットを着込んだ少女だ。この者もまたグレアリング・オロチ・ヤクザクランのニンジャ。名をシングルラブルという。
ニンジャ名:シングルラブル
【カラテ】:4 【体力】:4/4
【ニューロン】:4 【精神力】:4/4
【ワザマエ】:2 【脚力】:2
【ジツ】:3(ブンシン) 【万札】:7
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:2
回避ダイス:4
【スキル】:
○テッポダマ
◉滅多打ち
【説明】
小規模ヤンクチームの元チームリーダー。抗争の果てにニンジャとなる。
ジツを頼りに無鉄砲な殴り込み行為を繰り返していたところをスカウトされた。
同じジツを操り、自分より高いカラテを持つディスグレイスにソンケイを抱く。
エスコートは再び目を丸くする。カテドラルに続き、二人目のマネキネコ購入提案者だ。なにか示し合わせでもしたのだろうか?
もっとも、そうでないことはカテドラルの反応から十分に伺う事ができた。
「まあ。シングルラブル=サンもマネキネコを?」
「ン? カテドラル=サンじゃん、久しぶり! そうそう、ソウカイネットで最近流行ってるだろ、アレ。そういやウチにはないなーって思ってさ。出世頭たるディスグレイスのオネエサンの事務所なのにだぜ!?」
「……ああ、うん。事情は理解したよ」
豊かな白髭の奥でエスコートは苦笑を浮かべた。席を立ち、部屋の隅の金庫からいくらかの資金を引き出す。そして二人の女ニンジャたちへと振り返った。
「そういうことならば急いだ方がよさそうだね。流行りものはすぐになくなってしまいそうだから」
その言葉に、カテドラルとシングルラブルは顔を見合わせて笑いあった。
◇本編開始:セタガヤ・ダルマ・マーケット◇
所変わってセタガヤ・ディストリクト! この時期になるとテンプルへと続くストリートの車両通行が禁止され、代わりにマネキネコの露店が所狭しと並ぶ。セタガヤ名物のマネキネコ・マーケットだ。
巨大バルーン・マネキネコやサイバネ・マネキネコを見学に訪れた観光客たちの間をすり抜け、エスコートたちは奥まった場所に位置する店へと向かった。ソウカイネットによると、本物のイマトヤキ・マネキネコを販売している穴場スポット。
しかし。
「たった今売り切れちゃいましたねー」
「そうですか……」「「エエーッ……」」
あっけらかんとした対応の店員に、エスコートはそう呟くことしかできなかった。ついてきたカテドラルとシングルラブルが至極残念そうな顔をしているのは、見なくてもわかる。
「シツレイですが、他に扱っていそうな店に心当たりはありませんか。お世話になっている方にどうしても贈りたいもので……」
「いやー、たぶん他の店にもないんじゃないかな? 最近品薄なんですよ、イマトヤキ」
「ンなこと言って隠してやがるんじゃねえだろうなッコラー!?」「だ、ダメですよシングルラブル=サン!」
食ってかかろうとしたシングルラブルを、カテドラルが慌てて背後から羽交い締めにする。シングルラブルも決して小兵ではないとはいえ、カテドラルに比べたら体格差は歴然だ。そのため、吊り上げられた子どもがばたばたと手足を振り回すような有様となっている。
ぽかんとその様子を見上げる店員を前に、エスコートはやや考え込む。そして顔を上げた。
「他に扱っていそうな場所などありませんか」
「ゴウトク・テンプルとかどうですかね? なにせマネキネコ発祥の場所ですから。誰かが奉納してるかも」
「成る程……あと一つ。『たった今』売り切れたと仰いましたな。よければ直近に買っていった方をお教えいただいても構いませんか? 直接交渉がしてみたいのです」
「アー、それくらいなら。ここらでは見かけないカネモチのおじいさんですね。身なりの良い人でしたから、きっとカチグミですよ」
「ドーモ」
礼を言いつつも、エスコートの表情は暗い。相手がカネモチとなれば、わざわざこちらの交渉に応じる可能性は低いと考えたからだ。とはいえ、行ってみなければ始まるまい。
エスコート:人探し判定(【ニューロン】・難易度NORMAL)
(1,3,3,3,5,5,6) 成功!
「アリガトゴザイマシタ。……行こう、カテドラル=サン。シングルラブル=サン」
「エッ? アッハイ」「オイ! いい加減降ろせって!」
てきぱきと店を後にするエスコートを、シングルラブルを抱えたままのカテドラルが追う。エスコートはやや思案しながらストリートの雑踏を見つめていた。カネモチがこうした場所を一人で訪れるか。否だろう。おそらく数人の護衛をつけているはず。彼は静かに動き出した。
◇◆◇◆◇
……そして数分後! エスコートらはマネキネコ購入者と思しきカネモチを見つけ出したというわけなのだ! マーケットの外れにて、時折咳き込みつつも周囲の屈強なガードマンになにか指示を飛ばしている。
近づくエスコートたちに、数名のガードマンが警戒の視線を向ける。エスコートは奥ゆかしくマッタのポーズで敵意がないことを示し、カネモチへ言葉を投げかけた。
「お取り込み中のところスミマセン。お伺いしたいのですが、マネキネコ・マーケットでイマトヤキを購入されたのは貴方ですかな?」
「ウン? ああ、そうだ。そうなのだが……ゴホッ! 今ちょうど紛失してしまってね」
「まあ。どこかに落とされたのですか?」
カテドラルの言葉に、カネモチは黙って首を横に振った。そしていくらか躊躇いつつも彼女を見上げる。
「そうじゃないんだ。その……ネズミなんだよ」
「ハイ?」
「あの店を出た途端、突然ネズミの大群に襲われてね……ゴホッ、ゴホッ! あれよあれよという間にイマトヤキを奪われてしまって、ゲホーッ!」
「オイ、オッサン。平気かよ? ずいぶん具合悪そうだぜ」
シングルラブルが眉をひそめた。然り。先ほど忙しなく指示を飛ばしていたはずのカネモチの顔色は急速に悪化しつつある。どころか、周囲のガードマンたちの中にも咳き込む者が出ているほどだ。
「す、スマナイね。どうにも喉が、ゴホッ! とにかくイマトヤキを奪ったネズミたちは下水道に逃げ、ゲホッ! 逃げ込んで、ゴホッ! 何処か近くの洞窟に……オゴッ、オゴゴーッ!?」
エスコートは目を見開き、カネモチから距離をとる。おお、見よ! カネモチの全身に浮かび上がる黒い痣を! そこから噴き出す夥しい血を!
「これは……!?」
「「「「アバーッ!?」」」」
驚愕するエスコートたちの前で、周囲のガードマンたちも同時に発症、出血死! な、ナムアミダブツ!
「な、ナンデ……こんな……こ、幸運を失ったから、なのか……?」
顔面を血で染めたカネモチは、うわ言めいた呟きを残して絶命した。ブラッドバスめいた凄惨な有様にエスコートは顔をしかめ、カテドラルは青ざめる。いくらニンジャといえど、ここまで尋常ならざる死に様を直視することはそうそうない。
その死骸に歩み寄ったのはシングルラブルだ。屈み込み、カネモチの死体を調べ始める。
「し、シングルラブル=サン!? アブナイですよ!」
「ア? アブナイっつーならもうアブナイだろ。これがビョーキで感染るもんだとしてさ、オレらもここまで近づいてんだぜ?」
「……成る程。理にかなっているな」
エスコートは頷く。よくよく考えるのならば、これほどまでに症状が急速的に進む病気などありえない。ニンジャ第六感のざわめきも感じない。エスコートはシングルラブルに並び、死骸の調査を始めた。
「フム……病状は、そうだな。ペスト、というのに近いかもしれん」
「感染ンの、それ?」
「感染はするが、ここまで即効性のあるものではないはずだよ。仮にこれが自然発生していたら、マネキネコ・マーケットは既にアビ・インフェルノ・ジゴクだ」
「あ、そっか。もっと血反吐にまみれて死んでるやつがいてもおかしくねえな」
「マーケットでそういう騒ぎが起こっている様子はないですけど……」
8フィートの高みから雑踏を見渡したカテドラルが呟く。やや考え込んでいた彼女は、すぐにエスコートへ視線を転じた。
「自然のものではない、ということは……ジツですか?」
「そう考えたほうが『自然』だ」
「野良ニンジャだぜ、絶対。ソウカイヤのニンジャがここまで無軌道にやるかよ」
シングルラブルが吐き捨てる。簡単なニンジャブリーフィングを終えたエスコートは状況判断。カネモチのイマトヤキを奪ったというネズミの群れ。その裏にニンジャの影があるというのか。
「……ソウカイヤに報告するにしても、これだけではデータが足りん。カテドラル=サン、シングルラブル=サン。少し調査するが、よいかな?」
「アッハイ。異論ありません」「オレもそれでいいぜ」
選択肢:ニンジャの調査に乗り出す
エスコートは頷き、立ち上がった。サイレンの音が近づいてくる。面倒な事情聴取に巻き込まれる前にこの場を離れるべきだろう。
「さて、どこから手をつけるべきか……」
「ゴウトク・テンプルじゃね? あそこにもイマトヤキがあるんだろ」
「そうか、そちらにも被害が及んでいるかもしれませんね」
側の雑居ビル屋上まで退避し、集まるヨロシ救急車と野次馬を見下ろしながらニンジャたちは再度のニンジャブリーフィングを交わし、風めいてマネキネコ・マーケットを後にした。
◇調査:ゴウトク・テンプル◇
ゴウトク・テンプル。その発祥は江戸時代にまで遡ると言われる。歴史あるテンプルなのだ。境内には奉納された大小様々なマネキネコが所狭しと並べられている。まるで混雑率300%にも達する悪名高いネオサイタマ満員電車を思わせる、一種異様な光景だ。
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……」
参道に五体投地して一心不乱に祈りを捧げるホームレスと思しき男を避けながら、エスコートたちは本堂へと赴く。マルニミカン紋の描かれたノーレンをくぐると、出迎えたのは黄金ブッダ像と経を唱えるボンズ住職だ。カテドラルが静かに両手を合わせた。彼女は信心深い性質なのである。
「オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン……拙僧になにかご用ですかな?」
「オジャマシマス。スミマセン、少しお伺いしたいことが……」
「オレら、イマトヤキ探してるんだ! このテンプルに奉納されてるかもしれないって聞いてさ。カネは払うから、譲ってもらえねーかな?」
エスコートの言葉を遮るように、シングルラブルが交渉を切り出す。しかし住職は困ったように眉根を寄せた。彼女の物言いに対してではないことは明白だ。
「やぶさかではない……と申し上げたいのですが、生憎うちにもイマトヤキはないのです。最近になって、すべて盗まれてしまいまして……」
「エッ、マジかよ? 犯人とかわかんねーの?」
「いまだに足取りも掴めず……マッポの皆さんにもお願いはしているのですが、絶望的だそうで。よく参拝に来られるヤナシ=サンならばもしや……」
「ヤナシ=サン?」
「参道におられませんでしたか? 最近、とても熱心に拝みにくるのです。なにか切羽詰まった事情がおありなのかもしれません」
シングルラブルとエスコートは視線を交わす。その背後、カテドラルが静かに本堂を退出していた。
◆◇◆◇◆
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……」
「あの、もし」
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……」
「申し訳ありません。少しお話をお伺いしたくて」
「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……」
「……エット、シツレイしますね。よいしょっと」
参道。カテドラルは這いつくばるようにしてネンブツを唱えていた男を軽々と持ち上げる。「アイエッ!?」ようやく我に返った男に、彼女は微笑を向けた。
「ドーモ。はじめまして。カテドラルと申します。少しお話を伺ってもよろしいですか?」
「……ア、アッハイ……」
了承が取れたことに胸を撫で下ろしたカテドラルは、ゆっくりと男を参道へと下ろす。そして小さく震える彼に対し屈みこんで視線を合わせた。
「先ほどから熱心にネンブツを唱えていらっしゃいましたけど……」
「あ、ああ……私が住んでるセタガヤ・ケイヴってとこにヒデェ病気が流行ってまして」
「病気とはまた……どのような?」
「ほ、本当にヒデェんですよ。熱が出て、全身が真っ黒になって、血を吐いて死んじまうんだ。きっとネズミどもの仕業だ……」
憔悴するホームレスの言葉を、カテドラルは真剣な表情で聴き入る。その脳裏に過るのはあのカネモチの凄惨な死に様だ。あれと同じジツに襲われている地域があるというのか。
「それがなぜ、ネズミの仕業だと?」
「最近、大量に押し寄せてくるんですよ。バイオネズミが。ネオサイタマ中から来てるんじゃないかってくらいで……もう地面を覆い尽くすほどで。奴らが来てから流行り始めたんですよ。で、ネズミと言ったらネコに縁のあるゴウトク・テンプルだと思って……」
どうやらネズミがジツの媒介となっていることは間違いないらしい。カテドラルは相槌を打ちつつそう判断する。そんな中、本堂から現れたエスコートらが合流した。
「どうかね、インタビューは」
「セタガヤ・ケイヴにネズミが集結していると。あの病気も流行っているようで……」
「となれば、次なる目的地はそこか」
エスコートは深く頷く。その横、シングルラブルが男を問い詰めていた。
「なー、ヤナシ=サンだったかアンタ? このテンプルのイマトヤキ盗んだやつとか見てねえの?」
「アイエッ、そう言われましても……祈ってる時は周りを見ないもんで……」
「ああそう。じゃあさ、ネズミがイマトヤキ運んでるとことか見てない?」
「イマトヤキかはわからないけど、なにか運び込んでる奴らは見かけたことが……さ、さすがに近寄れないんで何を運んでたかまでは」
「ん、わかった。もういいぜ、アリガトヨ」
シングルラブルは勢いよく男の肩を叩き、足早に境内出口へと向かう。エスコートは苦笑しつつ、カテドラルを伴ったその後を追った。向かうはセタガヤ・ケイヴ。ネズミの巣窟だ。
【キャット・インバイト・ビッグマウス】#1おわり。#2へ続く