一級総合無線通信士試験攻略 (地理編)
前置き
前回投稿した一級総合無線通信士取得指針に資格試験を受ける際に有用な基礎知識をまとめているので良ければそちらも参考されたい。
また、私は地理の過去問の勉強には8時間程度を要したが、本ページなどを参考にし、合格点を取るだけであれば人にもよるだろうが 3, 4 時間でも十分な可能性もある。
目的
本ページの目的は、いかに時間をかけずに地理の科目合格に必要な点数 (60点) を取れるかを解説するものである。
本来の試験の趣旨である総合無線通信士に必要な地理の知識をつけることが重要であり、試験合格のための裏技的なことのみを如何なものかという意見もあるとは思う。
しかしながら、残念なことに有益なテキストなどが存在せず、また、私自身がその代わりとなるような地理の (それも無線通信に関わる) 知識を持ち合わせてもいないため、あくまで合格のための方法を解説する。
試験構成
受験案内には試験の出題範囲などの情報はないため、過去問から類推するしか無い。執筆者が過去問を10年分以上確認したところ、出題範囲や形式に変更はなく、例年以下の大問4つから構成されている。
日本の海岸局の名称や開港名、半島名/海峡名などを問う問題 (10問)
アメリカ or ヨーロッパ北部 or ヨーロッパ南部の海岸局や船舶の寄港地、半島名や海峡名などを問う問題 (10問)
中東 or 東南アジア or アフリカ or 南アメリカ の海岸局や船舶の寄港地、半島名や海峡名などを問う問題 (10問)
各地域の寄港地の国名などを問う問題 (10問)
この中で、大問4は対策が立てにくいため、大問1, 2, 3 を集中して勉強し、余裕があれば大問4を勉強する戦略が有効である。
なお、直近の過去問については日本無線協会のサイトよりダウンロードが可能なため、どの年度のものでも良いのでまずはダウンロードし、内容を確認しながら本ページを参照されるとわかりやすいと思う。
勉強方法
基本的な勉強方法はひたすら過去問を解くのみである。残念なことに受験者数が少なく採算が取れないためか、そもそも参考書が存在していない。また、過去問集ですら (実質) 存在しない。※1
そのため、過去問をウェブからダウンロードしてひたすら解く以外の勉強方法がない。
大体7年分くらい解いておけば合格点には達すると思われるが、念のため10年分 (20回分) くらい解いておくと安心である。(実際には、後述するが、出題される地域に法則性があったりするため、より少ない年度だけで合格も可能)
なお、大問1~3は地図が与えられ、その地図上の名称 (海岸局名や地名) を答える問題である。時間をかけずに最低限合格点を取りたい場合は過去問を解くだけで問題ないが、暗記が苦手な人や丁寧にまとめたい人、比較的勉強時間がある人は白地図をダウンロード/印刷し、それに地名を書き込んでいくのも良いと思われる。白地図に書き込むことで覚えられるメリットや、それぞれの場所の位置関係がわかる点、また、白地図が完成すればあとはそれを覚えるだけで良いというメリットが有る。
なお、白地図は後述するが、すべての海岸局などを調べて書き込むといったことはせず、過去問で出題された地域 "のみ" 書き込んでいくことをおすすめする。
※1 一応過去問を売っている会社はあるが、本当に過去の問題と解答 (not 解説) が売っているだけで、価格もかなり高いのでオススメはしない。
白地図は、以下の白地図専門店様のサイトにて、無償、かつ、高品質なものがダウンロード可能なため、私が勉強した際にはこちらを利用させて頂いた。
https://www.freemap.jp/listAllItems.html
以下にそれぞれの大問ごとの詳細な勉強方法をまとめる。
大問1: 日本の海岸局の名称や開港名、半島名/海峡名などを問う問題 (10問)
大問1 は以下のように毎回日本地図が与えられ、番号が振られたところにある施設や地名などを選択する問題である。
具体的に聞かれるのは
DSC 聴守海岸局 (以下、DSC 海岸局)
ナブテックスで海上安全情報を送信する海岸局 (以下、ナブテックス海岸局)
開港名
半島名
海峡名 or 水道名
である。
ポイント1: 正しい選択肢のみ覚えれば良い
ポイントその1は、"正しい選択肢 (解答)" のみを暗記し、それ以外は覚える必要がない点である。なぜかは分からないが、毎回正解となる選択肢の海岸局や地域名が同じためである。そのため、過去問を10回分くらいやると、問題の日本地図を見なくても、選択肢だけで大体 5, 6 割は正解がわかるようになる。もちろん、問1 のように、過去問に置いて解答となり得る地域が複数含まれる場合もあるが、問2の選択肢は (私が過去問を見る限り) "横浜 (下田)" 以外の選択肢の地域が回答として出てきたことは一度もない。(そして、問2の回答も "3. 横浜 (下田)" である)
ポイント2: DSC, ナブテックスの区別は不要
試験問題を見ると、一見、DSC やナブテックスを区別して覚える必要があると思うかもしれない。しかし、結論から言うと原則 DSC やナブテックスなどは区別して覚える必要はない。つまり、地図上の位置と名称のみをマッチングして覚えるだけで十分である。
過去問をやる限り DSC とナブテックスを区別する必要がある (つまり、地図上で同じ位置にあり出題されたことがある) ものは、以下の2つのみであった。
沖縄
ナブテックス: 喜屋武
DSC: 東風平
北海道
ナブテックス: 十町瀬
DSC: 昆布森
ただ、これらも選択肢の中に2つの名称が同時に入ってくることはほぼなく (確か1回だけあった?)、またそれぞれがナブテックス/DSC のどちらかを覚えるコストには見合わない。
そのため、DSC やナブテックスなどは区別せずに覚えるので合格点を取るには十分である。
ポイント3: ディファレンシャルGPSは覚える必要なし
古い過去問 (具体的には、平成30年9月以前) を解いていると気づくと思うが、ディファレンシャル GPS に関する陸上局名が問われる事がある。
しかし、ディファレンシャル GPS はすでに運用が廃止されており、今後の試験では出題されることがないと思われるため、過去問を勉強する際にはディファレンシャル GPS に関する問題は飛ばしてしまって問題ない。
参考
白地図 (参考用)
私が大問1のために勉強しながら作成した白地図は以下の通りである。(A3サイズでスキャンできず、スマホの写真のため画質などが悪いことはご容赦願いたい。)
また、自由に利用してもらっても大丈夫だが、これを印刷して覚えようとするのではなく、ご自身で白地図に書き込むほうが覚えるのにかかる時間は短くて済むと思われる。
(また、記載内容に間違いがあるかもしれないのでご留意ください。)
大問2: アメリカ or ヨーロッパ北部 or ヨーロッパ南部の海岸局や船舶の寄港地、半島名や海峡名などを問う問題 (10問)
大問2は大問1と同じく (そして、この後解説する大問3とも同じく) アメリカ、もしくは、ヨーロッパの地図が与えられ、その地図上の海岸局や地名を答える問題である。
出題内容もほぼ大問1と同じ為、勉強方法も同じで大丈夫である。ただ、日本とは違いあまり地名に馴染みがないと思われるため、大問1と比較して勉強に時間がかかると思われる。また、選択肢の地名も全て英語表記のため、これも人によっては難易度を上げる理由になるかもしれない。
ポイント1: 出題される地域には法則性がある
これが最大のポイントになるが、実は大問1で出題される地域は、以下の周期に基づいている。
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