ITストラテジスト試験午後Ⅰの解き方④
前回の「ITストラテジスト試験午後Ⅰの解き方③」に続き、今回も令和6年度午後Ⅰ問題、問1を読み進めていきます。
今回は、[Aアプリの開発]の段落です。
[Aアプリの開発]段落①
[Aアプリの開発]段落では、A-IncLudeの主要ターゲットを若者世代としたこと、その2つの理由(顧客生涯価値が高い、生活防衛や資産形成に潜在的な関心がある)が明示されています。
しかし、このストーリー内ではA社の目論見通りいかず、金融サービス販売は進みません。そしてもちろん、その「理由」の分析とその「解決」がストーリー内で進められていきます。
[Aアプリの開発]段落②
A社の目論見通り、若者世代に金融サービス販売が進まない理由は2つです。1つは「どの商品が良いかわからない」から契約してくれない。2つめは申込書類の取り寄せは簡単にスマホで行えても、手書き契約書の提出や本人確認書類の郵送が「煩雑(邪魔くさい)」ということです。
ストーリーでは、この2つの課題を解決し、金融サービス販売を進めるため、Aアプリの開発に着手していきます。
[Aアプリの開発]段落③
Aアプリには6つの機能がありますが、若者世代の2つの課題に対応する機能は2つです。
1つめの課題「どの商品が良いかわからない」に対しては、機能⑥「AIによる家計分析を行い、顧客の志向に沿った生活防衛や資産形成を提案する」こと。これでどの商品を選ぶか迷う必要がなくなります。
2つめの課題「手書きによる契約書の提出や本人確認書類の郵送が,契約の都度必要となるなどの煩雑さ」に対しては、機能⑤「個人情報などのデータを保存し,利用者の操作によって,以後のAアプリで行う処理に利用できる」こと。これで住所や名前があらかじめ記入された申込書様式が郵送されてきて後は印鑑を押すだけ状態になっていたり、スマホ上で契約まで行うことができて煩雑さ(邪魔くささ)が少しは改善されるのでしょう。
そしてここで設問3です。
設問3〔Aアプリの開発〕について答えよ
(1)で問われているのは若者世代をターゲットにする2つの理由です。これは段落①で説明しました。理由の1つめは、「他の世代と比べて顧客生涯価値が高いから(19文字)」です。理由の2つめは、「生活防衛や資産形成に潜在的な関心があるから(21文字)」です。
続いて(2)では、機能アと機能イをAアプリに備えることにした目的を問われています。これはもちろん、
若者世代をターゲットにしたのに目論見通りいかなかった。理由は2つ。その理由を解決するため、機能⑥「顧客の志向に沿った生活防衛や資産形成を提案」と機能⑤「個人情報などのデータをAアプリで行う処理に利用できる」機能を実装した
と繋がっていきます。繋がらないとお話にならない。
では、ア「全てのサービスの利用履歴をAアプリに記録」機能をAアプリに備えさせたのか。個人情報を再利用できるようにするため? 違いますよね。
サービスの利用履歴を見れば、普段どんなお金の使い方をしているのかわかります。暮らしぶりがわかります。ということは、機能⑥「AIによる家計分析を行い,顧客の志向に沿った生活防衛や資産形成を提案(34文字)」するのが目的ですね。
ではイ「個人情報などのデータを保存」機能をAアプリに備えさせる理由はどうでしょう。答えは1つしかありません。この個人情報を使って、煩雑にならないよう契約手続きに持っていくためです。機能⑤「利用者の操作によって,以後のAアプリで行う処理に利用できる」ようにするためですね。
しかし本文からそのまま抜き出すと意味が伝わりにくいでしょう。煩雑にならないよう契約手続きをさせるのが目的ですから、「利用者がAアプリで行う契約手続きに利用できるようにするため(29文字)」というように表現すると言いたいことが伝わるでしょう。
今回は、令和6年度ITストラテジスト試験午後Ⅰの問1。作戦がうまくいかない理由とその対策をストーリーから読み取ることを解説しました。