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ITストラテジスト試験午後Ⅰの解き方⑤

 前回の「ITストラテジスト試験午後Ⅰの解き方④」に続き、今回も令和6年度午後Ⅰ問題、問1を読み進めていきます。
 今回は、[J銀行勘定系システムの再構築]の段落です。

[J銀行勘定系システムの再構築]段落

 J銀行の勘定系システムは,親会社であった大手都市銀行のソフトウヱア資産を流用して構築され,“預金”,“為替”などの業務の間でシステム機能同士が密接に連動しており,これまでもサービスの追加や修正において,影響範囲の特定に多大な時間を要することや,システム改修に多くの費用を要することなどが,構想実現の足かせとなっていた。
 そこでA社は,」銀行勘定系システムの機能を再編し,細分化して整理した機能を組み合わせて業務を実現する形態にシステムを再構築した上で,Aアプリに提供する次の機能を,」銀行勘定系システムに追加することにした。

① ネットバンキングAPI
“預金”,“為替”などの業務を,API機能としてAアプリに提供する。

② データマネジメントAPI
顧客の属性や認証データをプロファイルデータとして保管する。API呼出しによつて,保管したプロファイルデータをAアプリに提供する。

③ Aポイント残高管理
J銀行勘定系システム内で,Aポイント残高に預金残高と等価交換できる価値をもたせ,相互に両替できる。


設問4〔J銀行勘定系システムの再構築〕について答えよ

(1)A社がJ銀行勘定系システムにAポイント残高管理機能を追加した目的は何か。Aアプリの機能に着目して、35文字以内で答えよ。
(2)A社はA社事業におけるどのようなA-Includeの将来構想に基づき、J銀行勘定系システムにの再構築を行ったか。35字以内で答えよ。

 まず(1)Aポイント残高管理機能を追加した目的は何か、という問いです。 Aポイント残高管理機能は、「Aポイント残高⇒預金残高」又は「預金残高⇒Aポイント残高」ができる機能です。
 貯まったAポイントを預金残高に移行できる機能は便利そうです。ではその逆は。預金残高をわざわざAポイントに移行するなんてことあるのでしょうか。
 ここで「Aアプリの機能に着目して」とあるので[Aアプリの開発]まで戻ります。すると次のような記載が見つかります。

②Aアプリ内では共通通貨として、多様な決済にAポイントを利用できる。

 つまりPayPayのように、預金残高をAポイントに移行した上で、Aポイントで支払いができるようにしたかったわけです。つまり(1)の解答は「Aアプリ内で多様な決済にAポイントを利用できるようにするため(30文字)」となるわけです。

 続いて(2)、最後の問いです。
 A-Includeの将来は、[A社の戦略]で「あらゆる金融サービス機能を、デジタル空間で統合した総合金融サービス(= A-Include)を提供する」と述べられていました。そして[Aアプリの開発]で、「全ての金融サービス機能を、Aアプリを通じて提供する。これらサービス機能は、サービスの追加に対応して順次追加する」とされていました。
 ところがサービス機能を途中で追加しようとすると、影響範囲の特定に多大な時間を要することや,システム改修に多くの費用を要することなどが,構想実現の足かせとなっていたと語られています。だから再構築をするのだと。
 つまりどんな構想を実現するために再構築をするのか、という問いに対する解答は「金融サービスの追加に対応して、サービス機能を順次追加する構想(30文字)」となります。


 いかがでしたでしょうか。落ち着いて読んでいけば難解な試験ではないことがわかります。わざわざ専用の解説本や問題集を買うほどではありません。
 IPAの過去問を使って、できれば1問35~40分以内で解く訓練をしておくと本番でも余裕をもって当たれるのではないでしょうか。

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