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中央アルプスに登ってみた。木曽駒ヶ岳とキソ

 山での出会いは大切にしなさいと誰かに言われたことがある。1人だからこそ話しかけられやすいし、話しかけやすい。そもそも山では街に比べて人が少ないので、人恋しくなる。ソロ登山ならではの楽しみの1つだと思った。以前「なぜ山に登るのか?」と聞かれたこともあるので、登山に興味のある方は参考にしてもらえるといいかもしれない。

 今回1週間の中で最も天候が良い日を狙って中央アルプスは木曽駒ヶ岳、宝剣岳を狙うことにした。宝剣岳はヘルメット推奨区間があるので、友人や知人を誘う山ではないことが明らかだったので、1人で登山計画を自然と立てていた。南アルプスに登り始めてからは完全に2000m級の稜線に魅了されてしまっている。既に今年に入ってから5回目の登山になっていた。さすがにこれが最後になるかと思われる。今回は出会った人のことを紹介する。

 山荘で隣の席だったMさんとはお互い一眼レフを持っていた事から話すきっかけとなり、木曽駒ヶ岳頂上で写真を撮ってくれた。下山時にもばったり再会し、帰りにソフトクリームを買ってくれた。子供が2人、中学3年生と小学6年生でW卒業、入学で大変な時期なのに口を聞いてくれないと嘆いていた。ヘルメットをしていたので分からなかったが、温泉でお会いした時、白髪が多かった。なんだか、リアルだ。バス停まで送ってくださり、どこかの山でまたお会いできると良いと素直に思った。連絡先を聞こうと思ったが、次の山で!ってなんだかすごく粋な感じがしたので、これ以上SNSで探さないようにしようと思う。コーヒー牛乳を奢らせてもらった。YAMAPの使い方も教えてくれたので、次からは使いこなせるはずだ。

 山荘で同室だったFさんはなんと50年ぶりに木曽駒ヶ岳に来たと言う。御歳74。新社会人の頃以来だ。理由は2000mを超えるスケールを体験したかったからとのこと。あの頃は何も考えずスイスイ登っていたが、今はそうもいかない、だからこそ楽しいといいながら、私が夜写真を撮りに行ったタイミングでぐっすり眠っていた。山荘での食事は毎回正面同士食べていたのだが、その時は一言も口を聞いてくれなかった。神戸出身でとても早口だったが、何時もおしゃべりというわけではなさそうだった。

 話は然程しなかったが、濃ケ池に私以外にもう1人いた女性は石に寝転んでスマホをいじったり、写真を撮ったり、山の自由を体現していてとてもよかった。1人山女は強いと煙たがられるかもしれないが、その方は自立が似合っていた。私が濃ケ池で景色に浮かれながら、初のクッカーでハヤシライスが温まらず苦戦している中で、振り向いたら隣で写真ポジションを探しながら動き回っていて声が出そうになった(もしかしたら出ていたかもしれない)「こんにちは!」の声質が予想よりもアニメ声でギャップを感じた。

 他にも木曽駒ヶ岳山頂で出会った動画を撮っている方は、「youtuberの方ですか?」と聞くと、「いや、動画を撮って編集したものをあげているだけです。よかったら見てください。」「それってyoutuberじゃないんですか?」「いや、youtuberではないんですよ、フォロワーも数百人しかいませんし。」「え、それって…以下略」頑なに動画クリエイターだと認めないおじさんがいた。今回は山って自由で魅力的で自由だと思える機会がたくさんあるなあ、と思った澄み渡った登山だった。秋は終わって冬の足音が聞こえる、1年で1番好きな季節だ。

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