『歯科六法コンメンタール〔第2版〕』より―― 「コラム:医療広告規制の対象」(全文公開)
3月8日発刊の『歯科六法コンメンタール〔第2版〕』から,「コラム:医療広告規制の対象」を公開いたします.ほかにも“読みやすくてタメになる”コラムを掲載しています.機会があれば,ぜひ一度,手にとってみてください.(編集部)
医療広告の規制は何人も,すなわち医師・歯科医師,病院・診療所等の医療機関だけではなく,マスコミ,広告代理店,アフィリエイター(閲覧した人を誘引することを目的としてブログ等で紹介し,その成果に応じて報酬が支払われる広告を行う者),患者,一般人等,いかなる人も対象となります.広告依頼者から依頼を受けて広告を企画・制作する者,広告を掲載する者等も広告内容に違反等があった場合には,広告依頼者とともに法および医療広告ガイドラインによる指導等の対象となります.
広告に該当する媒体の具体例として,チラシ・パンフレット,ポスター・看板,新聞・雑誌等の出版物や放送によるもの,インターネット上の広告,不特定多数の者への説明会・相談会に使用するスライド・ビデオ等が挙げられます.学術論文や学会発表,新聞・雑誌の記事,体験談,医療機関の職員募集に関する広告,院内掲示や院内で配布するパンフレット等は,通常は広告とみなされません.
しかし,例えば,記事の体裁をとっていても,費用を負担して記事の掲載を依頼することで患者を誘引するような場合(いわゆる「記事風広告」)や,患者や家族の手記でも,医療機関からの依頼に基づく場合,金銭等の謝礼を受けているような場合は,誘引性を有するものとして広告規制の対象となります.
医療機関のウェブサイトについては,従前は原則として規制対象とせず「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)について」(平成24 年9月28日付け医政発0928第1号厚生労働省医政局長通知)により関係団体等による自主的な取組が促されていました.しかしながら,美容医療に関する相談件数が増加し,消費者委員会より「医療機関のウェブサイトに対する法的規制が必要である旨の建議(美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議(消費者委員会平成27年7月7日))」がなされました.
これを踏まえ,医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)により,規制対象が「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に拡大され,ウェブサイト等についても他の広告媒体と同様に規制の対象となりました.このことから,「誘引性」,「特定性」と並んで広告の定義とされていた「認知性(一般人が認知できる状態にあること)」が定義から外れることとなりました.しかしながら,他の広告媒体と同様に広告可能事項を限定した場合,詳細な診療内容など患者等が求める情報の円滑な提供が妨げられるおそれがあることから,一定の条件の下に広告可能事項の限定が解除されることとなっています.
<歯科六法コンメンタール〔第2版〕139頁より>
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◆『歯科六法コンメンタール』〔第2版〕
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