『やさしい・失敗しない 低侵襲ソフトティッシュマネジメント』より―はじめに
林 丈一朗先生 著『やさしい・失敗しない 低侵襲ソフトティッシュマネジメント』を12月4日に発刊しました!
まだご覧になっていない方々のために「はじめに」をウェブ版として公開します(編集部)
著:林 丈一朗/明海大学歯学部 口腔生物再生医工学講座 歯周病学分野 准教授
ソフトティッシュマネジメントと聞くと,結合組織移植術や遊離歯肉移植術を思い浮かべ,「技術的に難しそうだな」と思ったり,あるいは「やってみたけど失敗して,患者様を大変な目に合わせてしまった」と,苦い経験を思い出す先生もいらっしゃるかもしれません.
本書は,歯周治療とインプラント治療で“一歩先を目指したい”先生方に向けて,患者さんに“優しく”,術者にも“易しい”ソフトティッシュマネジメントをメインテーマとして,20種類以上のテクニックの理論と手技を,18の症例を用いて解説したものです.
臼歯部インプラントのソフトティッシュマネジメントの目的は,インプラント周囲疾患から守ることです.インプラント周囲粘膜の形は,二次手術の方法次第で生涯決まってしまいます.しかし,二次手術について詳細に解説した書籍はこれまでほとんどありませんでした.
本書のPartⅠでは,まず,現時点での科学的なエビデンスと解剖学をもとに,角化粘膜の幅だけではなく,粘膜の厚さも加味し,インプラント周囲疾患から守るために必要な粘膜の形態条件を提示します.また,角化粘膜増大に用いられる術式の選択基準を明確化するために,“ヒーリングアバットメント舌側接線”という新しい基準線を設定してみました.
審美領域で大きな失敗を避けるためには,外科処置を行わない選択肢を検討することも必要です.PartⅡでは,天然歯にもインプラントにも応用できる,修復治療や矯正治療を用いたアプローチについて解説します.また, Minimally Invasive Esthetic Crown Lengtheningという,フラップレスで行う歯冠長延長術の新しい術式も紹介します.
歯科の臨床,特にソフトティッシュマネジメントは言葉で伝えることが難しいので,臨床写真をできるだけ多く,そして大きくみやすくしてみました.まずは「写真集」のような感覚でページをめくってみてください.気になる写真があれば,そこから読んでいただいても理解しやすいようレイアウトしてみました.
読者諸兄姉にとって,本書が明日の臨床を豊かにする一助となり,患者様の健康と笑顔に繋がれば,筆者にとって望外の喜びです.
2020年11月
林 丈一朗
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