自分史的なクリッピング史料

一昨日は東京都知事選の主力候補者4人が共同会見を行なっていた。確かに乱立しているとはいえ、結局は主力の候補者達に絞られるのは仕方がないのかもしれない。大都市・東京の主人を選ぶ選挙だから、当然注目が集まる。果たしてその結果は? 七夕に主人が決まる。選挙人に分かりやすい演説の数々であって欲しい。

2022年11月22日 朝日 けいざい 「迷わない地図」の開発
起業の道 息子のために歩む

この記事では東京都のベンチャー企業・ルービック(LOOVIC)が紹介されている。今映画では、大泉洋主演の『ディア・ファミリー』も娘の為に人工心臓を自ら開発するという実話だという。家族の為に必死に作るという行為は全く賞賛に値する。

さて同社の代表・山中さんは発達障害を持つお子さんのお父さん。きっかけは道を覚えるのが苦手な長男だったという記述で始まる。中学生になっても道が覚えららなくて、登下校にも付き添いが必要だったと。そこで身につける「迷わない地図」の開発に着手したとある。それも会社を辞めて。2022年秋(10月)に開催されたシーテックにも出展して注目を集めた。この製品は、首に掛けてスピーカーと振動で行き先を教えてくれる機能を付帯している。長男の方が発達障害だと告げられたのは4歳の時。その後親がつきっきりでいることに「子どもの自立を阻害しているのではないか」という思いもよぎったと記されている。きっと個別の対応も必要だから、一概に括れないけど、親は少なくとも何とか一人で社会に対応できるようにしてあげたいというのが心情だと思う。

山中さんは、会社の人にを辞めてベンチャー企業に転職、そして大学院にも通って、朝から晩まで製品開発の基本やデザインを学ぶ生活を2年間続けたという。そして2021年5月にルービックを創業。まず資金調達の壁にぶち当たる。そこである投資ファンドの方からは「儲かるの?」と問われたと。事業企画書でもマネタイズは要求される。約100社に断られたという。漸く支援してくれるところも現れ、クラファンでの資金集めもかなったけど、十分なものとは言えなかったものの、少なくとも自分の他にも応援してくれる人がいるということが分かっただけでも背中を後押ししてくれたんだろう。

東北大の先生のコメントでは発達障害だけでなく、道を覚えられないメカニズムは認知症や脳卒中の後などの高次脳機能障害として見られることもあるという。この製品の適応対象の拡張領域だ。世間でも社会的に問題になっているから、期待が膨らむ。発達障害と診断を受けた人は全国で48万1千人。そして高次脳機能障害の人は32万7千人。合計すれば80万人超の人が広い意味で対象となることになる。

同社ではデモ・体験会を繰り返し、利用者からの意見も集めて、来年度中(即ち2023年度中)に生産を始める予定と書いてある。同社を調べると日経ビジネスの記事によると資金不足により開発プロジェクトがいったん延期にと書いてある。今はどうしているのだろうかと思い同社のWebsiteを覗くと未だにメディア露出もあって、その事業の意義を認めているのではないだろうか。国内だけでなく、海外にも同様のニーズはあるはずだから、今後も期待できるのではないかとも思ったりして・・・。

山中さんの着想は明らかに、自身のことから始まって、そして同じ悩みを抱える多くの人に適用できるようにとの思いが詰まったものだろうか。ナビゲーションという行為は、今では生活領域では必須の機能。今後はもっともっと進化していくに違いない。ムダを排除したいというライフスタイルは若年層にもニーズが多いだろうし。特に身体機能を駆使する領域ではそういう傾向が強いのではないかと思う。

昨今はお年寄りの運転による事故が多い。勿論免許返納という対応もあるけど、自動運転などのより進化したテクノロジーによってもっと事故などの軽減・撲滅できる日を期待したい。どうしても必然的に移動という事象は欠かせないので。最後のセンテンスで、山中さんの『通勤、通学といった「普通の移動」が誰にでもできるように』というコメント通りの世界が現れることを期待して。





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